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90年代の「バックパッカーブーム」に一応乗っていた一人として出国人数の減少を心配する

最近、丸山ゴンザレスさんの『世界の危険思想』という本を読んだ。たぶん、この本、タイトルの付け方がよくない。危険思想を紹介する本ではなく、中南米の殺し屋やら、麻薬の売人やら、日本人の常識からすると恐ろしい犯罪や裏社会の人々のいる街に突撃取材した本です。

とても面白い本でしたが、丸山ゴンザレスさんが後半で言っている、「日本の若者が海外旅行に出る時の理由とする『自分探し』の風潮には警鐘を鳴らしたい」という点には、いささかの異論を持った。

たとえ「自分探し」という曖昧なものであっても、若いうちに日本以外の国を好奇心で覗き回るのはとても良いことのように思う。私自身が、世代的にバックパッカーブームに乗って、中東をウロウロしたことがあった人間だからかもしれんけどね。

たかが旅行とはいえ、あのとき中東を、旅行会社などの力を借りず、自分の足だけで歩いたことは、その後の人生で意外に役立ってると思う。「日本はもう後進国だ」的な論調を安易に信じない、とかね。

そういう意味で気になるのは、観光庁が出していた、以下のグラフです。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shutsunyukokushasu.html

コロナ以降、訪日外国人数は一気に回復してるが、日本人の出国人数が回復しきっていない!(=グラフの青色は復活したのに、オレンジはやけに短い!)

円の問題とか、日本国内での賃金格差の問題とか、海外の物価高のこととか、いろんな要因で、今は海外旅行がしにくいことは、わかる。

だがなんとか、この数値は回復傾向にのせたいですね。というのも、やはり、特に若い人には、なるべく「日本以外」の国にも詳しくなってほしい。

日本の良いところも、悪いところも、自分自身が経験したことのある外国のどこかの国との比較で初めて気づくものだし、他人の情報ではなく、自分のその体感をベースとした問題意識を持ってほしいからです。

というのが、「猿岩石」やら何やらがイキイキしていたバックパッカーブーム時代を知っている世代からの思い。もちろん、若い人がどんどん海外に出られるようにするには日本全体で解決しなければいけない経済問題があり、そこには私の世代のやるべき宿題も多々含まれていることは強く認識した上での発言です。

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