現地で今も信じられている!みだりに名前を呼んではいけない妖怪ポンベーロ【アルゼンチンオバケの話#10】
以前より紹介している書籍『南米妖怪図鑑』の中でとりわけ面白いエピソードが、著者が有名観光地イグアスの滝を訪れたときの話。
ホテルのウェイターさんに「このあたりにはポンベーロという妖怪の伝説があるんですよね」と話を聞くと、
「シー!その名前を言っちゃいけない!」と返されたそうです。もちろん、そのボーイさん一流の切り返しユーモアだったのかもしれませんが、
こちらの動画(アルゼンチンではなくパラグアイ発信の動画ですが)を見ていると、
たしかに、地元の人々が、「その名前は口にしちゃいかん!シー!」とやるのですよね
少し詳しい話を語らせていただけるなら、
この辺り(アルゼンチンとパラグアイの国境あたり)はグアラニという先住民族の多い土地
「世界の言語」に詳しい方ならピンときたかもしれません。グアラニー語はパラグアイで公用語のひとつに正式に認められた先住民の言語。多くの先住民文化が危機に瀕している中でキチンと国家に復権を認められた言語であり、
それを話す人々がいまだに伝統的な妖怪を信じて恐れているというのはなんだかホッコリする話なのでした
ところがこの妖怪、日本の番組『映っちゃった!』で取り上げられるほど、現地では「衝撃映像」にとらえられがちな存在で、多分に漏れずそういうものは実にインチキくさいから困ったもの。たとえば以下(撮影者がギャーギャー自分で悲鳴をあげてうるさいので、音量注意映像です)
「どこまでをサブカルな妖怪文化として継承すべきで、どこからが迷信として断ち切るべきで、どこからがインチキと批判すべきか?」
私のように「オモシロ楽しい文化としてオバケや妖怪の知識を継承しよう!」というスタンスの人には、時にこの境界線をどう決めるかが本当に悩ましい、、、。
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