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#1 怒りを抑えられないのはなぜだろう

加藤隆行さんの最新刊『「会社行きたくない」気持ちがゆるゆるほどける本』の発売を記念して、前作『「また怒ってしまった」と悔いてきた僕が無敵になった理由』の一部を無料公開します(全5回)。

アイツもコイツもムカつく!

ああ、また部下がミスしてる……。
昨日も注意したのに、スタッフがおしゃべりしてサボってる……。
またコイツらの尻拭いのせいで残業だ。オレの貴重な時間が消えていく。いつになったら自分から動いてくれるようになるのか……。ほんとうにイライラする!
いやいや怒っちゃいけない、優しく教えなきゃ……。

また部長の呼び出しだ。報告、報告うるさいなぁ……。
なにが会社の方針だよ。上からの指示を全部下に回してくるだけ。現場の苦労なんて全然わかっていない!
わかったよ、言うこと聞くからデカイ声を出さないでくれ! こういうヤツは大っ嫌いだ! ……でも、どうせ従うしかないんだから、子どもみたいなことを言ってもしょうがない感情的にならない、ならない……。

うわっ、お客さんからの電話だ!
あ、システムトラブルですか。わかりました、すぐ直します。
まずいなぁ、あそこのシステム、大きな設計ミスがあるのを、ずっと見ないふりをしてきてるんだよ。ヤバいぞ……。いや不安なんて感じてちゃダメだ、もっとしっかりしろ
もとはと言えば、前任者が悪いんじゃねえか。こんなポンコツ、引き継ぎやがって。クソッ! 腹が立つ

とにかくトラブル対処だ。ちょっと打ち合わせしたいんだけど、Aくんはいるか? なに、今日は風邪気味だから帰った!?
ふざけるな! オレだって残業続きで体調ボロボロで働いているんだぞ!

アイツもコイツもムカつく! ほんとうにバカばっかりだ!!

これが数年前、システムエンジニアとして働いていたボクの日常です。
怒りを筆頭に、嫌悪や不安などの「ネガティブ感情」にいつも振り回され、ストレスまみれで働く日々。
そして、「こんなにガマンしてがんばって働いているのに、だれも自分の気持ちをわかってくれない!」、そんな思いにもとらわれていました。

部下がうつで休職、やがて自分も……

なかでも「怒り」の感情には、ほとほと手を焼いていました。
ボクの場合は、怒りがすぐに表に出るタイプというより、怒りをガマンして内にため込むタイプです。表向きは平静を装いながら、上司にはガマンして従い、部下や後輩に対してはネチネチと説教。時々ドカンと爆発してしまっては、「ああ、また怒ってしまった……」と、後悔を繰り返していました。

そんなある日、スタッフが会社を辞めました。さらにその半年後、今度は手塩にかけて育てていた後輩までもが会社を休職します。診断は「うつ状態」。
アイツらが弱いからだ。自分のせいじゃない。彼らには仕事が向いていなかっただけだ……。そう思いながらも、彼らに対する罪悪感は消えませんでした。

また、その「怒り」はつねに、自分へも牙をむきます。
マネージャーになってもうまく仕事を回せない自分。コミュニケーションが下手で、上司や部下とスムーズに意思疎通ができない、ふがいない自分。そんな自分に対して「怒り」や「イライラ」が止まらず、そのストレスがさらに仕事をつらいものにし、体調もどんどん悪化させていきました。

やがてガマンもがんばりも限界に達し、カラダもココロも壊して1度目の休職。最終的には、勤続20年の間に計3度の休職を経験することになります。

怒らないためには、どうしたらいい?

怒りをガマンし、ただがむしゃらにがんばるしか知らなかった自分も、さすがに入社12年目、2度目の休職をしたときに考えました。
これはちょっと自分のやり方がおかしいのではないのか。ガマン、がんばりだけではムリなのではないか、と。

怒りを静める呼吸法、感情的にならない方法など、たくさんの本を読みました。ちまたで流行りの「怒りをコントロールするセミナー」にも行ってみました。しかし、一時的によくなったとしても、またすぐにもとに戻ってしまいます。

休職から復帰後、「部下の育て方」という研修を同期のマネージャー仲間で受講しました。そこでは「信じて任せる」ということを教わります。
そうはいっても、簡単にはできません。信じて任せようとしても、「イライラ」をガマンするしかやり方がわからないし、「不安」で見ていられない。
ところが、一緒に受けた同期のマネージャーたちは、「なるほど、信じて任せるのかー、難しいもんだなぁ」と口では言いながらも、けっこうできているようでした。
アイツらと自分の差はなんだろう。オレの部下の出来が悪いんじゃないか? いやいや、部下のせいにしていたら、いつまでたっても、まともな上司にはなれない……。

問題は「外」にはない、自分の「内」にあるはずなんだ。

でも、「怒り」をガマンするのではない。自分がすぐ「怒り」をためてしまうのはなぜだ? それに、昔はこんなに怒りっぽくなかったぞ。
この「怒り」や「不安」、どう扱ったらいいのだろうか……。

ここからボクの、「怒り」や感情と向き合うながーい旅が始まりました。

感情はアナタの最高の味方にできる

「感情」って不思議ですよね。だれもがもっているものなのに、その扱い方はだれも教えてくれない。だから、今でも世の中のかなりの人々が「感情」に振り回されているし、感情は扱いづらいものだと感じています。
でも、感情と付き合うことって、ほんとうはとてもシンプルなのです。シンプルすぎてじつは1ページで書くことも可能なのですが(笑)、今から詳しく説明していきます。
長年こじらせてきてしまったボクのような大人には少々コツがいりますが、だれもが感情を仲間にし、最高の味方にしていくことが可能です。

「感情を味方にする? 怒りみたいな感情は、味方になんかできないよね?」
「ネガティブな感情は敵でしょう?」
「コントロールして出さないようにすることが大事なんじゃないの?」

そう思った人は、まさに以前のボクと同じです。
ご一緒に一歩ずつ、感情を味方にするコツを手に入れていきましょう。

(連載第2回はコチラから)

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