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社長のひとりごと(41)

『言葉が足りているか』

「世の中のいざこざの因(もと)になるのは、奸策(かんさく)や悪意よりも、むしろ誤解や怠慢だね。」ドイツの詩人、ゲーテによる小説「若きウェルテルの悩み」の中にある名言です。

前回、事業所にスタッフが定着しなかったり人材不足に陥ってしまったりするのは上長の部下への向き合い方が足りないからという話をしました。この、「足りない」向き合い方には二つの要素があります。

ひとつは、向き合う「時間や頻度」が足りているかどうか。

私は男性なので、どうしても男性目線での例えになってしまい申し訳ありませんが、つまりは、異性を口説くのにどれだけの熱意や時間をかけて相手に向き合っていくのかという話と一緒です。
乱暴な例えになりますが、「口説き落として初めて関係性が発生する」くらいに考えておくといいのではないでしょうか。

そしてもうひとつは、「かける言葉」が足りているかどうか。

昔と違って職人さんのように「オレの背中を見て、勝手に覚えろ」なんてことでは人は残ってくれません。
職人さんの世界でさえ、手厚い対応をしないと後継者不足で苦労されています。

ましてや、私たちは対人スキルが求められる仕事です。お客様への対応と同じように、特に新人スタッフさんには向き合わなければ、たちまちのうちに辞められてしまいます。

言葉の少ない人は、誤解を生みやすいです。「言ったのだから分かれ」ではなく、「分かっていただけるまで言葉を重ねろ」なのです。
それをしないのは、話すことや伝えることが苦手だからとかではなく、単に部下に向き合うのが面倒くさいという上司の姿勢の問題です。

自分の考えや想いを伝えることは、訓練でいくらでも上達します。

「不得手であること」を理由に行動しないのは、コミュニケーションが下手くそな上司をもつ部下のことを考えられない、自分本位の怠慢でしかありません。

したいかしたくないかではなく、部下に応えられる上長であるために、まずは自らが成長するための勉強や積み重ねが必要なのだと思います。

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