見出し画像

【goodな仲間 #7】フードバンク渋谷

【goodな仲間 #7 】フードバンク渋谷

今回のgoodな仲間はフードバンク渋谷さんです!
フードバンク渋谷の活動内容や立ち上げに至った過程、渋谷への想いを​フードバンク渋谷の久保田寿江さんに伺いました!


フードバンク渋谷について

久保田さん:私たちは食の支援を主としていて、渋谷区近隣にお住いの生活困窮世帯を支援しています。利用・登録世帯は700世帯で、述べ件数でいうと1年で1000世帯ほどを主に支援しています。
 
「フードバンク」は環境の課題と福祉の課題を併せ持っていて、それを解決していく活動です。
過剰在庫や廃棄せざるを得ないようなものなどの、食品ロスになっているものを必要な人にあげるといったことをしています。高齢者の公共施設など、フードドライブの常設窓口が渋谷区の中に8か所あり、区民の方や企業さんに、まだ安全に食べられるけど家では食べきれないものや期限までには売り切れないものを寄付していただいて、それを活用しています。食品ロスではなくても、善意の寄付もあります。2020年で974kg集まりましたが、去年は1年間で2.3tでした。この取り組みも2016年から始まったんですけど、年々増えていっています。
 
今は食品ロスが大きく問題として扱われるようになって、特に企業では企業廃棄しないっていうのが常識になってきているので、どのように有効活用しようかが課題になっているのかなと思います。

企業さんから寄付された食品の例

フードバンクを立ち上げた経緯

久保田さん:夫が牧師だということもあり、キリスト教会の運営に携わりながら、2010年から海外のフードバンクに寄付するという形でずっと支援していました。そして2016年に、浅草のセカンドハーベストジャパンという日本で1番古いフードバンクについての雑誌の記事を目にして、日本でもフードバンクをやっていることを知りました。教会でも生活に困っている人がいたので、そういう方々を対象に、初めは3、4世帯とかだったのですが、セカンドハーベストジャパンさんから食品を提供していただいて、教会で困っていた人の支援を始めたのがきっかけです。
 
その後、食品を集めて配るという作業自体は同じことなので、地域の人たちにも利用してもらおうというところで、教会メンバーが中心となって、2016年の12月にNPO法人フードバンク渋谷を立ち上げました。
 
初めはセカンドハーベストジャパンさんにいろいろやり方を聞いて真似をしていきました。寄付してくださる企業さんからは売り物をいただくので、マーケットを侵害しないように気をつける必要があります。買える人にあげると企業さんも困ってしまうので、信頼関係では1番大事なことです。セカンドハーベストジャパンさんがそういったことも教えてくださいました。きちんとどういう状況の人が利用しているのかをデータにして、説明責任を果たせるようにしていくことが、この活動をしていく上で大事なのかなと思います。
 
それで、初めは自分たちで食品を集めることもせずにもらってやっていて、続けていくうちに集まるようになっていったという感じですね。

フードバンク渋谷のターニングポイント

活動規模の拡大

久保田さん:初めは1か月に10世帯という小規模でやっていたのですが、コロナがきっかけで学校給食がなくなった時期に、ひとり親さんが大変だということが区の方に寄せられました。そこでこちらに、企業から食品を集めるなどしてもう少し範囲を広げられませんかと区から要望がありました。ここ2、3年ぐらい前から企業からの食品の受け入れも始めて、少しずつ規模が大きくなっていったというところですね。
 
他にも、フードバンクの活動当初は、区の相談窓口が平日の17時までで、ひとり親さんの繋がる術がなかったために、50代とか60代とか割と高齢の単身の方で、非正規雇用の方が利用される流れが主流だったんです。
 
コロナ前も潜在的な利用や必要性もあったのですが、コロナ禍でちょっと浮上して。区の方からの申し出もある中で、渋谷区の子ども青少年課から、チラシを郵送物に同封していただくことになったんです。このチラシがきっかけで対象者にダイレクトにお知らせが届けられるようになり、ひとり親の利用者がぐっと増えました。

チラシ

親子カフェから広がる活動

久保田さん:フードバンクをやっている中で、更なる活動も始めました。夏休みに暑い中、小さいお子さんを連れて歩いて食品を取りに来てすぐに帰ってしまうのが見るに忍びなかったんです。そこで親子カフェをはじめて、食品を取りに来る時に、お子さんを見てあげますから親御さんはゆっくりしてくださいという感じで、親御さんからお話をいろいろ聞きました。そこから食べ物以外の必要なものも見えてきたので、これをきっかけに食品以外の支援もスタートしました。
 
この親子カフェで、子どもの学習の悩みとかも聞いたので、親子カフェの時にスポットで学習支援というのもやっていました。しかし、スポットで学力を上げるのは難しいと気付き、なんとか継続的なサポートがしたいということで、去年から本格的にNPO法人のマナビファクトリーさんと連携して、代々木の方で毎週火曜日と土曜日に学習支援を始めました。ターニングポイントというか、フードバンクをやっていくことによって、こういう必要もあるよねという気付きから、多岐に渡っていろいろやってきたという経緯はあります。

フードバンク渋谷の今後の目標

久保田さん:渋谷区は1万5000世帯のうちの3000世帯、大体2%ぐらいがその低所得者層と言われる世帯なのですが、その3000世帯がいつでも困ったらアクセス出来るようにしたいです。そういう3000世帯と繋がっていることで、何かあった時にすぐ察知出来る、そういうセーフティーネットになったらいいなと思っています。渋谷区は世帯年収の平均で言うと全国3位なので、低所得者層はマイノリティになっていて目につきにくいんです。なので、渋谷区の中で低所得者になる可能性がある世帯と満遍なく繋がる規模になるという目標があります。

久保田さんが考える“goodなshibuya”


渋谷のgoodなところ

久保田さん:渋谷における貧困ってニュースとか報道とかで目にするものと違うんです。だからみんなそういうものだけ見ていると、「なんで渋谷に住むんだろう」ってなっちゃうんです。だけどそれは大変だよねって言うのが見えにくくて、他の区ではこれが貧困だけど、渋谷は渋谷で独自の事情があっての貧困があるので、一般的な貧困に当てはまらないシチュエーションが多いのかなって思います。
 
渋谷の良いところは、協力してくれる人がすごく多いところです。フットワークが良い方が多くいて、若い世代からシニアの方までたくさんの方がボランティアをしてくれます。地域住民が多いっていうところでも、渋谷で活動するということはすごく恵まれていると思います。

渋谷がもっとgoodになっていくためには

久保田さん:渋谷のために何かしたいという気持ちと渋谷愛があるので、それが上手く拾えればもっと大きな力になるのではないかと思っています。最近は他の団体と連携するということもしていて、笹塚の商店街にあった八百屋さんのオーナーさんが高齢の方で、5月にリタイアされたのですが、その商店街は人の出入りがとても活発で、もったいないからそこをいくつかのNPOさんで活用して、街の居場所や福祉拠点にしていこうみたいなプロジェクトが10月から始まりました。それにフードバンク渋谷も参加しています。
 
あとは協力団体さんとの関連で、恵比寿の影丘の家さんという子育て支援施設が協力してくれています。利用者が多い世帯では、今年の4月から幡ヶ谷の児童養護施設の若草寮さんが協力してくれて、そこでもフードパントリーを始めました。1つのところに集中するのではなくて、色々な地域に根差した団体さんが、ちょっとずつの世帯を担当してくれています。そうすると顔見知りになりやすいし、何か困った時に対処がしやすいので、そういう拠点が地域にたくさん出来ていったらいいなと思います。

フードバンク渋谷からのお知らせ

クラウドファンディング
2023年12月31日(日)まで

ふるさと納税型クラウドファンディングに挑戦中!
誰ひとり取り残さない社会へ。 みなさまの支援お待ちしております!

親子カフェ
場所:地域交流センター大向

学習指導員・相談員がいます。
スタッフがお子さんを見ている間に、 ホッと一息つきませんか?
メールからお申し込みいただけます!

マナビファクトリー
毎週火曜日・土曜日
代々木スペース

中学生のための無料塾を開催しています!
主に数学、英語の学習サポートと進路相談などの相談サポートを実施!

フードバンク渋谷公式ホームページ


さいごに

近年、SDGsなどによって食品ロス問題が話題になることが多くあります。
そうした中で、余ってしまった食品を有効活用出来るフードバンクの存在は多くの人の助けになっているのではないかと思います。

また、渋谷区だからこその「見えづらい貧困」。
それぞれが複雑な事情を抱えて生活している現状にも大変驚きました。

渋谷区だけでなく、私たちの住む場所でも生活に困っている方がいらっしゃるかもしれません。
食品ロスや貧困という面に限らず、困っている人に手を差し伸べる一歩を踏み出してみませんか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?