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コラム 「 ふつう 」

みんな同じなんだなあ。
なんて思うことが最近多くなってきた。

何度も読んだ小説のページの片隅。
久々に観た映画のワンシーン。
たまたま見かけた雑誌の表紙。
よく見かける広告の一文。

共感するものとそうでないものはあるとしても、多かれ少なかれ深い部分では同じようなことを伝えようとしていることが多い気がする。誤解を恐れずに言えば、表現するアプローチが違うだけで本質は同じ。現代人が抱える多くの問題は似たり寄ったりなんだと思う。

かくいう僕は、いわゆる”普通”という枠から外れているという自覚があるし、よく言われる。そして同時に、”普通”であることに対してコンプレックスを抱いている話をよく耳にもする。

「私は特別じゃないから」

そこにはいったいどんなメッセージが込められているのだろう。

特別ではないことは普通。
普通ではないことは特別。

この言葉は日本語として至極真っ当に正しいと思う。
だけれど、これでは対義語だ。

白でないものは(黒)?
男でないものは(女)?
味方でないものは(敵)?
正しくないことは(間違っている)?

ただの言葉遊びだと受け取ってもらっても構わない。けれど、色と色の間に無限のグラデーションがあるように、”ひと”も本来は千差万別で、簡単に形容することなんてできない。そのひとそれぞれのアイデンティティがあって、それぞれに悩みや苦手なことを抱えている。

簡単に答えを出さないで、自分と向き合うこと。自分を知ることができれば、自分のことも相手のことも思い遣ることができるはず。

特別ではないものは「    」

この答えを決めるのは自分自身。
みんな特別じゃないし、普通じゃない。
それはつまり。

みんな特別だし、みんな”ふつう”ってことだ。

シバタタツヤ

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