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僕にできること

東京に行くことを前日に決めて、0泊弾丸で原宿にあるヘアサロンboy tokyoでのイベント【Herbie's BAR】に行ってきました。ゲストである落語家の立川志の輔師匠と、写真家のハービー山口先生の”生の言葉”を最前列で聞けたこと、そしてその場に居合わせることができたことに感謝したいです。お誘いいただいたboy tokyoのみなさん、本当にありがとうございました。

今朝、京都に着いて日付は3月11日。
決して忘れてはいけない日。東日本大震災があった日です。僕にとって生まれてはじめて体験した大きな地震。あの恐怖はいまでも忘れません。
そして、いまもなお5万2千人の方が避難者として生活しているようです。すべてのことに目を向けることは出来なくても、目を向けるべき現実があることを忘れてはいけないんだと思う。

昨日のイベントで見せていただいたハービー山口先生の被災地の方々のポートレイトのスライドショー。そこに写っていたひとたちの笑顔、希望。僕が知らない被災地の姿がそこにありました。気付けば涙が出るほどにその写真の意義を感じたと同時に、僕自身が自分の目で確かめて、感じてみたいと心から思いました。この同じ日本で起きていることを他人事にしてはいけないな、と。知ってしまったことに対して見て見ぬふりはしてはいけない。
僕にできることなんて所詮小さなことで限られてはいるけれど、写真家として、ひとりの人間として僕になにができるのかを考えていきたいです。

ハービー山口先生と志の輔師匠はお二人ともに被災地での自分の活動はとても勇気が必要だったと語っていました。写真を撮ること、落語をすること。見方によっては不謹慎と捉えられかねない。そんな中、勇気を持ち、誠意をもって自分に出来ることをする。そうして生まれる新たな繋がりや、笑顔。なんて素敵なことなんだろう。
あの同じ空気の中、とても貴重な言葉をこの耳で聞くことが出来たことが僕は純粋に嬉しい。

いまはインターネットやYouTubeなどの普及や進歩で、なんでも知った気がしたり、身近に感じたりしやすくなった。そのお陰で、広がるスピードや伝染していく範囲は凄まじい。僕もそのチカラを信じてこのnoteに言葉を綴っている。
でも、それは『目の前で起こっているリアルな出来事と、どこか遠くで起きていることの境界線が曖昧になってきている』と、志の輔師匠も仰っていた。どちらも現実。グローバルな世界になればなるほど、壁や境界は簡単に越えることができるようになった。でも、その中にどれだけの”本物”があるのかを僕らは選んでいかなければいけない。

自分で感じて、自分で選ぶ。
とてもシンプルだけど、とてもむずかしい。

目の前で起きていることの大切さや、リアルな空気に触れることの意義は昨日のイベントで僕は身をもって体験することができた。往復約20時間の移動距離もすべて無駄じゃなかったし、決断してよかったと、大切なひとたちに会うことができてよかったと心から思っている。

僕は写真を撮ることや言葉に興すことで”目の前にある本物”を伝えていこうと、新たな気持ちで今日を迎えることができた。

写真のチカラを信じたい。

ひとつの思い出や、何気ない日常のヒトコマ。家族の記念写真。”ひと”と”ひと”とが向き合ったポートレイト。瞬間を切り取ったスナップ。
流れていた時のほんの一瞬を、時間を超えて目にしたとき。思い掛けないほどのチカラや感動、勇気をもらったりすることがある。その感情の動きの尺度はひとそれぞれでも、僕たちが残す”写真”というものにはきっと計り知れないほどの大切な意味があるのだと思う。

あの時とは違う姿やカタチ。日々変化し続ける”ひと”や”町”。
僕にできることは残すことや繋いでいくこと。笠置で出会ったひとや出来事に対して真摯に、責任をもってシャッターを切り続けていきたい。

いつの日か。写真を見て、ほんの少しの勇気が生まれたり、それが微笑みに変わったら。

「まず、愛すること」ハービー山口先生からの言葉を胸に刻んで。
少しでも世界が良い方向に向かいますように。

シバタタツヤ

活動の応援をお願いします!サポートしていただいた費用は未来に写真を残すために、写真集や展示などの費用として使わせていただきます。