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笠置町民全員を写すプロジェクト『kasaginia -笠置を生きるひと-』

 僕には夢がある。

 それは昨年の9月に笠置町へ初めて来た日。いまお世話になっている坂本家のみんなや笠置に関わるひと達とはじめて出逢ったタイミングだ。みんなでなんでもない話をする中で、気付けば笑顔に囲まれていた。すごく平和で、すごくしあわせな時間だった。ふとすると、僕の中でふつふつと”ある想い”が湧き出てきた。

「この”笠置を生きるひと”を写したい」そして、いつか写真展をしたい。

 なんとなく描いた夢。純粋な想い。これが笠置に移住した大きな理由だ。そして僕はその日の夜、笠置への移住を決断した。

 東京で生活していた当時、写真家として生きたいという夢を抱えながら「写したいものってなんだろう」そんな根源的な悩みを日々抱えていた。カメラを毎日持ち歩いても一度もシャッターを切らない日々。熱源はあるが燃やした方がわからず、まさに燻っていた。そんな中で、笠置でふと思いついたその”なんとなく描いた夢”は、僕の写真家として生きる希望になった。

 笠置に移住してからも当然毎日カメラを持ち歩く。一番の違いはシャッターを切らない日が一日としてないことだ。町を歩くひと、広場で遊ぶ子どもたち、町のなかで出逢うひとたち。笠置はこんなに魅力的なひとで溢れているのだ。そして僕は自分の夢に真摯に向き合おうと決めた。

 笠置町民全員を写すプロジェクト『kasaginia -笠置を生きるひと-』  

 僕が描いた夢を笠置のために活かしたい。この魅力ある笠置の”ひと”を写すことで、この”町”の魅力を届けたい。そんな想いからこのプロジェクトを立ち上げました。2019年1月1日現在の笠置町民は1332人。その人数が今後どのように推移していくかはわからないけれど、その全員を写真という永遠のものとして残したい。それがこの町で写真家として生きる意味なんだと思う。

 この町を生きる写真家としての役割は、生きる町の歴史をアーカイブし続けることだと思っている。それは僕にとって「ひと」を撮ることそのものだ。「町」という形骸的なものを写すのではなく、”その場所を生きるひと”を写し続けること。それが僕はこの町の歴史を写し続けることだと考えている。
「町とは”ひと”」より抜粋

 僕が残せる”歴史”で写真展を開催したい。しかし、僕ひとりで開催するような規模の写真展では意味がないと思っている。それは何故かと言えば、たくさんの人達に笠置のことを知ってもらいたいし、この町の魅力をひとりでも多くの人に届けたいからだ。そのためには、大規模な写真展を笠置町と一体になって企画する必要があると気付きました。

 僕ひとりの力では出来ることは限られているからこそ、たくさんの人たちに協力してもらいながらこのプロジェクトを進めていきたいと考えています。
 そして有り難いことに、さっそく今週金曜日放送の予定のNHK京都「ニュース630 京いちにち」で僕のこのプロジェクトを取り上げていただきました。本当に有難うございます。偶然の出会いがもたらすこういった奇跡を積み上げていけたら、夢は現実になると信じたい。

 2022年に京都・東京の国立美術館で大展覧会。写真集を作成し、歴史的資料として京都府、笠置町へ寄贈。作品はすべて写ってくださったその人や家族のもとへ届けたい。それが夢です。
 そして”いま”を生きる子どもたちが「夢」を誰にも馬鹿にされることなく語り合えるような平和な社会になるためのキッカケになればと願っています。

 笠置を生きるひとりの”ひと”として、目に前にある”しあわせ”や”生き様”を写し続けていきたい。

 映画『笠置Rock』を観て、僕が笠置と繋がったように。今度は僕が笠置と誰かを繋いでみたい。

 シバタタツヤ

活動の応援をお願いします!サポートしていただいた費用は未来に写真を残すために、写真集や展示などの費用として使わせていただきます。