見出し画像

新しい風

笠置に移住して、気付けば4ヶ月という時が経っていた。"長いような短いような"なんて、よくある常套句が脳裏をよぎった頃には新しい季節が訪れてきていた。最近はポジティブなニュースも多く、春らしいフレッシュな気持ちでカメラを持つ手にも活力が漲る。日々写真を通じて”ひと”と向き合ううえで、自分の心がポジティブでいることは不可欠だ。だからこそ、自然と心がいい方向へと向かう明るい話題は素直に嬉しい。

笠置駅前の商店街の空き家を使って、ケーキがメインのカフェが夏頃オープンする。正直、商店街とはいってもほとんどのお店はクローズしていて、賑わっていた頃の商店街の様子は影を潜めている。そんな中で、新しい風はいったいどんな空気を笠置に吹かせてくれるのだろうか。
そのお店のリニューアル工事に呼んでいただき、少しだけ手伝いをさせていただいた。素敵な空気の流れを感じさせる古き良き佇まいは、まだ見ぬお店、そしてそこに集まるひとたちを想像する僕の心をよりワクワクとさせた。

店内には、まるで秘密基地にでも続いているかのような床下への階段があった。そこを降りると、骨組みが丸見えでがんらんどうとした地下のスペースがあった。ガラガラと音を立てて床に敷き詰められた割れた瓦のようなものを踏みしめながら歩いていると、頭の中を色々な空想がよぎる。そして、まるで僕の思いを言い当てるような言葉が待っていた。

「ここをギャラリーにするのはどう?」

なんて夢のような話なんだろう。
僕には笠置のみんなに見て欲しい写真がたくさんある。今年度から動き出そうとしていた各地での写真展への布石に打ってつけの提案だった。笠置に僕の写真を見てもらえる場所ができることは僕の活動にとってこれ以上ない程の追い風だ。ここ笠置にポジティブな空気を吹かせたい。その思いを具現するための第一歩。そのためのギャラリーを作ること。運命を感じた。

そしてつい先日、笠置ROCKの馬杉監督が尽力し、ウッドミルブルワリー・京都の協力で、笠置町産のはちみつを使用した地ビール”KASAGI ハニーエール”が誕生した。ほんのり甘く、飲みやすい。まさに笠置町のやさしさが詰まった町おこしビール。笠置駅横のカフェ『STATION!!』にて行われた試飲会のときには、職種関係なしにたくさんのひとが集まり、ワイワイと楽しい時間を過ごすことができた。僕がはじめて笠置を訪れた時に感じた”笠置のひとのやさしさ”がフラッシュバックするような思いだった。こうやって自然とひとが集まる平和な空気が僕の移住を決断させたことは言うまでもない。

だから僕は笠置が好きなんだ。

ギャラリーに子供たちの絵や作品を飾るもいい。
いつでも"笠置を感じる場所"にしたい。

またひとつ夢の蕾が膨らんでいく。

シバタタツヤ

活動の応援をお願いします!サポートしていただいた費用は未来に写真を残すために、写真集や展示などの費用として使わせていただきます。