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メール配信システムとMAツールの違いとは?

こんにちは。BtoBマーケターです。
私はこれまで中小規模のBtoB事業会社に複数在籍し、マーケティング業務に従事してきました。

その実務経験の中で、疑問に思い直面したこと、試行錯誤したことやその解決策、「BtoBマーケティングあるある」を、noteでまとめていきたいと思います。

今回は「メール配信システムとMAツールの違い」についてまとめていきます。

◆リードナーチャリングに必要なメールでのアクション

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BtoB領域でのマーケティング手法として広がりを見せている「リードナーチャリング」。特に最近の普及に一役買っているのは、『マーケティングオートメーションツール』だと感じます。

いろいろなメディアで「マーケティングオートメーションツール(MAツール)を使って売上を増やしましょう!」といったキャッチコピーを用いたCMや広告を目にする機会が多いのではないでしょうか。

「リードナーチャリング」とは、見込み客の醸成・育成というマーケティングアクションです。獲得したリード(個人情報)に向けて主に『メール』で定期的に情報発信することで、リードの検討確度・フェーズを上げ案件化・受注化につなげるための活動です。

つまり、定期的にリードに向けて『メール』によって情報展開を行う際にMAツールが必要というわけです。

※リードナーチャリングについては下記の記事をご覧ください。

なのですが、メールを配信するだけであれば『MAツール』でなくとも『メール配信システム』でも良いのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、そもそも『メール配信システム』と『MAツール』は何が違うのか疑問に思うかもしれません。

そこで今回は、『メール配信システム』と『MAツール』の違いとメリット/デメリット、それらを踏まえてどちらを選べばよいのかといったポイントをご紹介したいと思います。

◆メール配信システムとは?メリット/デメリットとは?

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まず、『メール配信システム』についてです。

メール配信システムとは、複数の宛先へメールを一斉に送り、その開封数やメール内のURLクリック数といった受信者の反応が可視化できるシステムです。

主に下記のような機能があります。

・テキスト形式メール/HTML形式メール
テキストのみで構成される「テキストメール」は、受信者のメーラー環境に関係なく閲覧することができます。契約プランによっては、グラフィカルな「HTMLメール」形式での配信も可能です(※)。
(※:開封数はHTML形式の配信メールでのみ判明します)

・ステップメール
事前に準備したメールを指定した日時に配信する機能です。例として、リード取得当日に1回目、その3日後に2回目のメールを〇〇のテーマで配信するといった形です。

・メールに関する受信者の反応を測定
配信したメールの開封率や、メール内のURLクリック率などが判明します。

メリットとデメリットは下記の通りです。

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≪メリット≫
・MAツールと比較すると機能が限定的でシンプル
・併せて操作性もシンプルで使いやすい
・システムへの登録アドレス数や月ごとの配信数に応じた従量制課金であることが多いが、配信数によって価格帯が変動する料金体系をとっているシステムもあり、限られた予算の中でも安価に導入しやすい

≪デメリット≫
・シンプルゆえに機能が限定的

◆MAツールとは?

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次に『MAツール』についてです。

MAツールとは、Marketing Automation(マーケティングオートメーション)ツールの略で、リードナーチャリングアクションを管理・自動化し効率的に実施するためのツールです。

基本的な機能は下記の通りです。

・テキスト形式メール/HTML形式メール
メール配信システムと同様の機能を有しています。

・メールに関する受信者の反応を測定
配信したメールの開封率や、開封後にメール内のURLクリック率などが判明します。Webサイトにトラッキングタグを設置していれば、配信メールをトリガーにしてWebサイトのアクセス履歴も取得できます。

・ステップメール
こちらもメール配信システムと同様です。

・設計したシナリオをベースに配信
特定の条件を満たした受信者に限定して、あらかじめ設定したメールを自動で配信する機能があります。例として、メール配信後開封、メール内の特定URLをクリックした人だけに指定のメールを配信するといったパターンです。

・Webコンテンツの作成
リードナーチャリングを実施する際には、着地ページやコンテンツが必要になります。MAツールには、ランディングページやWebフォームなどのコンテンツを作成する機能を有しているツールもあります。そのため、クリエイティブに携わっていないマーケターでも作成できるようになっています。ひな形をベースに、必要なパーツを当て込んでいくイメージです。

・Webサイトへのアクセス履歴の取得
MAツールには、配信するメールをトリガーにしてどのWebページを閲覧したかなど、受信者のWebサイト上のアクセス履歴を得ることができます。
こういった情報をもとに、配信メールの選定やアタックコールに活用することが可能になります。

・スコアリング
上記の取得したWebサイトのアクセス履歴や配信メールの反応(開封/URLクリックなど)をベースに、興味度合を数値化できます。
CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)システムとAPI連携させることで、オフラインの展示会やセミナーへの参加情報、問い合わせ、受発注情報などを組み合わせて精度の高いスコアリングが可能になります。

・法人IPのトラッキングによる企業名が判明
MAツールによっては、Webサイトに訪問している方の企業名がIPアドレスをもとに判明します。

・SNS連携
MAツールによっては、FacebookやTwitterといったSNSとの連携が可能で、連携するとメール配信のように登録したSNSアカウントに向けてコンテンツを配信することが可能になり、配信後の効果測定もできます。

メリットとデメリットは下記の通りです。

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≪メリット≫
・マーケティングに関わる機能を幅広く搭載している
・お問い合わせフォームやランディングページなど、配信時に必要なコンテンツを作成できる
・配信するためのシナリオ設定などの自由度が高い
・メール配信や配信後の効果測定を自動化でき、負担を軽減することが可能
・1件1件の受信者の反応を分析・可視化することができる

≪デメリット≫
・導入前の運用設計、導入後の運用にWebマーケティングの知識が必要になる
・多機能ゆえに操作が複雑
・MAツールも登録アドレス数や月ごとの配信数に応じた従量制課金であることが多いが、導入コスト・ランニングコストがメール配信システムと比較すると高価
・BtoB領域のメール配信の場合、定期的に一定数発信することが求められるため、リスト~配信準備などの作業が煩雑になりがち

◆どちらを選ぶかの判断基準

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シンプルで使いやすく比較的安価なメール配信システムを導入するか、導入と運用のハードルは高いが、さまざまなデータを分析し自動でナーチャリングを効率化できるMAツールにするかは、自社の方針や環境によって検討する必要があります。

具体的には、MAツールの導入を検討する際は、自社のマーケティング施策の成熟度がMAツールの機能性の高さに見合っているかを確認するようにしたほうがよさそうです。

仮に現在、メール配信システムを充分に使いこなしていて、SNSやブログとの連携など機能拡充の必要性を強く感じるのであれば、MAツールを選ぶとよいと思います。

その際には、自社の顧客データベースとの相性も念頭に置いて、MAツールのベンダーを選ぶほうがよいと思います。導入してから連携が難しいとわかった場合、新しく獲得した見込み客にしかMAツールの豊富な機能を使えないことになってしまいますので、理想としていた運用や成果が出せなくなってしまいます。

◆最後に

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見込み客・お客様へのアプローチ手段がオフラインからオンラインへ移行が進む中で、さまざまな種類・大量のデジタル広告に予算と人的リソースを投下してアプローチを続けている企業様もいらっしゃるかと思いますが、BtoB領域では以前として、こちらからのメッセージに目を留めてもらう可能性が高いのがメールという手段です。

もちろん、目に留めてもらうために適切なタイミング・適切な情報を届ける必要があるので、受信者の方々目線でのアクションをしていくことが求められますが、『メール』でのアプローチはマーケティングアクションの重要な1つですので自社に合うシステム・ツールを選定していただければと思います。


BtoBマーケターより。

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