見出し画像

知的生命体に反した行動

不慣れな大阪の地下鉄に戸惑いながら家路を辿っている何度となくこの路線で行き来しているのだが覚えない。いや覚えにくいと言ってもいいだろう難解なパズルのようだ。

毎回出る出口も変わってしまうしグルグル方角が変わる導線で方向感覚がなくなってしまう。わりと一度行った場所への道は覚える方なのに毎度立ち止まってしまう。

この感覚が割と好きだったりもする。初めて訪れた町のような一抹の不安と圧倒的に知らないことへの期待でまるで冒険者のような気持ちになる。心が小学生くらいで止まっているのかも知れないが、好きな感覚だ。

人間生きてりゃ経験を積んでそれなりに生きていける。そういうふうに出来ているんだろう。生存率を上げるためとかその辺りだと思う。賢い生物としては無計画で知らない土地に入るのは推奨されていないはずだ。いつ何時命を脅かす生物が木陰から飛び出してくるか分からないからだろう。

それでも好き好んで知らない町に訪れたり、やったこともないことに挑戦したりする。リスクの方が高いはずなのにそういう行動を好む人がいる。何も得ないかも知れないし、最悪命を落としたり、失敗して財産を失ったりなんていうこともあるだろう。

しかし生きてるということは常に経験を重ねているということだ。仕事に至っては業界から肩書きから自然と関わりあるプロジェクトは限られてくる。作ったことないもの作りたい精神で様々なジャンルを潰していくと油の乗った良い時期に作りたいものがなくなっていた。

次何作りたいの?と聞かれても言葉を濁すようになっている。もちろん作るのは面白い。しかし見知った道をなぞり、前の旅路より少し先や毛先の方向違いな結末となる。これはとても僕の心を蝕む時間だ。ワクワクもしない知った道をまた歩く。合理的だし効率的だし収益性もあるだろう。なので僕はビジネスがとても下手くそだ。

これはとてつもないジレンマで迷子的な新しい物事作りが好きな性格はお客さんにとってみると不安でしかないど素人なのだ。生きるの難しい。必要とされる問い合わせはとうの昔にやったことある領域だったりする。これはどんどんうちの社員の初めてに置き換えて行っている。

今一番僕がやりたいことは「日本で迷子になる」というもの。ポッケにお金突っ込んで日本中の知らない街へ行き、現地の面白い人たちと出会い酒を飲み飯を食い見物を増やしたい。計画もなく面白そうな方へ流れ流れて日本中で迷子でいたい。

同じ道、同じ町で生きてると迷子なんてなく不安なんてなくて新しいことなんか何も起きない。小さくその場で振動している細胞のようなもので観察するにはつまらない生き物だなと思ってしまう。

流れ着いた先で出会った無数のワクワクを共有していきたいし日本の面白い物事をごちゃ混ぜの自己解釈でどこかに吐き出したい。ずっと前からそう思っている。日本をもっと見てみたいなと。

もう少し落ち着いたら会社を社員に預けて旅に出よう。新しいものに出逢いに行こう。来年の夏くらいかなー仕事全部終わらせとこう。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。