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小さな組織のためのブランド戦略

私たちの会社では「ブランディング/リブランディング/新規ブランド立ち上げ」というジャンルの相談を受けることが多い。ブランドの定義は各所でされているので割愛するが、最近ある課題に直面していた。

従来のブランドロジックが当てはまらない

文字通りなのだがこの課題に直面していた。従来のブランドロジックは弊社の場合VMV(Vision/Mission/Value)で組み上げる(MVVで組み立てるチームもある)。各ブランドごとに持っている接点をブランドリーゾームと呼び、その接触ステップでどのような情報・体験を提供していくかを立体的に構築する。

特に当てはまらないのがVMVのピラミッド型のモデル。先日ベンチャーのためのブランディングコンペに参加し、模索する中で感じた違和感を掘り下げてみると新しいことに気づいた。
(コンペはいいところまで行ったが負けた。悔しい…)

ピラミッド型ではなく、アメーバ型のブランド体系

私のメモ書きを起こしたのがこの図です。研究者でもなんでもないので野生の直感で構築されたロジックなので突っ込まれる点多いと思うのですが、グニャグニャなんです。

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従来のものはピラミッド型のVisionを頂点とした構図。このVisionある世界を生み出すための方法がMission。その根源たる社員の行動指針としてのValue。この図解を見たことある人も多いと思います。

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この図が1点の北極星を目指して、全員がそこの駆け上がるモデルなんだなと非常によくできた構図であるが、とても昭和的だなと思ったんです。そして、巨大企業向けのロジックでもあると。何百・何千・何万と社員がいる会社には欠かせないロジックだと思うのですが、世の中見渡せばもっと小規模で、でも社会的インパクトをもつ組織が増えているわけです。

極端な言い方をすれば従来の方法は「帝国式」。
私が思ったのは「共和国式」みたいなものがあるのではないかと思ったんです。つまりスタートアップのためのブランドロジックが今ほとんどないのではないかという意見です。

変化の速度が桁違いな現代で
可変性あるブランドロジックが必要ではないか

新しいブランドロジックを書いておきながら、これは自分の会社にも当てはまるな…と半ば半分自分たちのためにも頭を使っていた。
創業4年目の弊社やベンチャーにとってVisionこそあれど、強みは小回り効く速度とチャレンジ量である。なんならVisionだって間違ってることがあるかもしれない。まだ4歳なので。

逆にこの時代の速度に対応できないと即死してしまう。
歴史ある会社が豪華客船だとしたら、弊社だと小池のアヒルボートくらいの規模だ。でもめっちゃ小回り効く。

そして、このロジックはVisionより、Valueをコアとしているのがポイントだ。ベンチャーほどコアとなるのはValueではないかと思ったのだ。だって規模は小さい。そこでVisionが共有できてない方が逆に不安だ。小さい組織にとってVisionが相当間違っていない限り、浸透に時間はかからない。

であればValueをコアとするのは自然である。だって今のVisionが北極星のように不動ではない可能性があるから。Valueがもっと正しいVisionまで到達する可能性があるから。これを私は当初見落としており違和感を感じていたポイントである。このアメーバ上はVision(目指すべき世界)が共通認識されている前提で生態系を広げていく生物的であるべきだという持論だ。

共感型のブランド拡張戦略は、
自社の価値をパラサイトさせ世界を変えていく行為

もう一つ、従来と現在で違うと思うが交換されるお金とプロダクト/サービスだけのシンプルな信頼関係ではなくなってきたという点。

私たちは企業が大切にする方針を理解し購買を決定することが増えた。
より人間的な関係性を構築することで(それが擬似的にでも)ブランドの信頼は強くなる。パタゴニアがなし遂げたことは、企業人格の心情を購買動機まで昇華させたことであるし、ヤ○ザ的運営なタピオカ屋が翌週にはマスク屋に変わっている尻軽さの差分で実態として見えにくいブランドという存在が体感できるのではないかと思う。

極端な話、パタゴニアを指示する生活者が増えれば環境はよくなる。
タピオカ屋を指示し続ける生活者が増えれば世界は雑多になっていく。
極端だけど、裏付けも根拠もないけど、そんな想像はできてしまう。

あるブランドの心情は、生活者の購買を変え、そこで得た資金でブランドの心情に基づいて世界を改善していく。これが次の企業像である。ブランドというのは人工的な企業キャラクターでもある。これを数名のステークホルダーによってガッチガチに定義されることが果たして今の時代正しいのか。それを私は悩んでしまった。そしてVisionというのは構造上とても抽象度の高い言葉になる。それゆえワークしていない事例も多々見受けられる。

ここでむしろValueにこそブランドを成長させる本当のコアがあるのではないかと思った理由である。会社の最小単位は社員1人である。バイト1人とも言える。その人がVisionを理解した上でどのようなValueを抱くのか。クレドに集約されずに、その人らしさとVisionがブレンドされたValueの開発ロジックが次の時代の決め手なんじゃないかと思っている。

アメーバは分裂する。
強い意志のもとに派生する。
同じ目的をともにして。

生物の授業で習ったやつだ。アメーバは分裂する。そして、うまくいけば増殖する。わかりやすいのはGoogleかもしれない。アルファベットという親会社の元にA-Zで無数の子会社が誕生している親子関係だ。

大きな組織体に無数の事業違いの部署をぶら下げるより、一定の生存率が確保できれば分裂して独立させた方がいいと思っている。これは個人的な考えでもあるのでご注意を。それを社外に置くでもアルファベットのようにぶらさげるでもそれは経営者判断だと思う。

このアメーバ状のブランド体系は、育てば派生してもう一体誕生する。
同じ生態系の中で自生し、各々の判断で生態系を広げていく。
それらが会社だとしよう。同じ母体から生まれた組織同士が同じVisionを目指し、広げるべき世界を押し広げてく。

改めて言うと、時代の速度は恐ろしく速い。
母体が今強くとも時代とともにキャッシュポイントが変わるように母体が母体の力を持たなくなることもある。もうそういう時代だ。
であれば母体がロストしても同じ生態系を生きる子を次の母体とすべきではないか。

改めて、従来のブランドロジックを見てみると、この派生アメーバがとても作りにくい構造になっている。正しい頂点は1点でそれを実現するためのMissionが定められている。そして、それを正しく実行するためのValueが定められる。とても強固なブランドロジックだと思う。従来のものが悪いと思ってるわけではない。天才やんとも思っている。しかし、この時代の激動の中にこの強い構造体は逆に耐震構造上不安になってくる。一点が瓦解すると総崩れする気がしてならないのだ。

次のブランドは限りなくコミュニティと
近い存在になっていくのではないか?

そんな柔らかすぎるブランド体系だと統制が図れない。と思うだろう。
確かにその弱さもある。同時に社員1人の強さを信じることを忘れているのかもなとも思う。
少数チームのためのブランドロジックかもしれないが、ピラミッド型のブランドロジックは弊社には全然フィットしない感覚がある。終身雇用でもないし、宗教でもない。

今、転職が当たり前だ。ガッチガチのブランド体系の中に転職組が浸透するのはとても大変なことだと思う。フィットする会社があれば最高だろうが、ほとんど多くの大手企業は昔から守られた規律のように定められている。

もし、自分が転職した企業に自身のValueを活かせる場があるとどうだろう。うまくいけばそのValueを土台にVisionを達成する新しいMissionが誕生するかもしれない。そして、見事成長すると新しい組織になるかもしれない。親元の母体はそばにいる。よちよち歩きでもサポート圏内だ。伸び伸びと育つのではないかと思う。

まずは自分の会社から。
このブランドロジックをテスト稼働させてみる。

とはいえ、どこでも実証できてないロジックを顧客が買うわけでもないわな…と思っているので自社でテストしてみようと思う。方法はこうだ。

1)Visionを明確に示す
2)Visionを社員に浸透させる
3)Valueを社員にヒアリングする
4)社員とMissionを定めていく

最後は社員をコアに分裂する。になるのだろう。1)2)はある程度これまでのスタンスを社員把握しているので言語化するとパッとクリアになるだろう。3)は社員個別の人間性に起因するので一番面白いところかもしれない。Vision理解した上で君は何を大切にしている?という問いなのか。ちょっと楽しみだ。4)は言語化された上でVisionを実現する方法もしくは事業を開発していくのだろう。あらやだ。なんか面白う。

まずは実験として自社から、思いついてしまったブランドロジックの成果はまたnoteで報告しようと思う。


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