愛だの恋だの分からない

人を想うってどんな気持ちだろう。

私には分からない。

自分のことのように、自分以上に大切にしたいと思える人があなたにはいるだろうか。

私はいつも自分のことばかり考えている。

他人のことを考えている暇などなくて、得体の知れない何かから自分の身を守り続けている。

家族に愛されなかったわけではない。

でも分からない。

子を想う母の気持ちは、なんとなく、自分の腹を痛めて産んだから、自分の血を分けた子だから、愛情があるんだろうと想像する。

でもじゃあ子は?

子は自分を産んでくれたから母に愛情が生まれるのだろうか。

私にもあるのだろうか、愛。

毎日、生きづらいな、いつまで続くんだろうなと思いながら生きている私は、命のありがたみとか、母からの愛情とかに対して、素直に返すことができない。

分かっている。

生きているのではなくて、生かされているということは。

頭では分かっている。

でもどうして、何に、感謝することができるのか。

教えてほしい。

もっと本を読まなくちゃだな。

ここ数年、この世には自分の求める希望なんてものはないと気づいてから、もう何も学ぶことはないと思ってしまっている。

学びたい、知りたいと思う気持ちがなくなってしまえば、私は生きる意味を失ってしまうみたい。

いや、まだやりたいことはある。

まだ死ねない。

ダメだな。時々忘れてしまうな。

疲れると同じ黒い考えがぐるぐると渦めいて、負のループにはまる。

私には何もないと思ってしまう。

私には何もないけれど、わずかに好きなものがあって、それは音楽で、いつも音楽に助けられてきたんだった。

音楽を聴こう。

愛だの恋だのは分からないけれど、私にも分かる美しい曲はたくさんある。

分からないものは、分からないでいいよ。

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