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ビヨンド理屈&理性 矛盾だらけの人生

すきな人と会うときにつけて行きたくて、はじめてクリスマスコフレを買った。ローラメルシエのあまりにも可憐なアイシャドウパレット。ブラシでラメをとって、丁寧にまぶたにのせると、とたんに目元が華やぎ、光を反射してキラキラと輝く。
「プリマ バレリーナ」という商品名を体現するように、舞台でスポットライトを浴びた主役のような気分になれる。

3回目のデートを夜に控えた金曜日、在宅で仕事をしていたらネットで注文したこのパレットが夕方ごろに届き、なんて絶妙なタイミングなんだと舞い上がってしまった。
こんな些細な偶然も、すべてが背中を押してくれているかのように感じた。


「パートナーに求める3つの条件」をガチガチに固めて恋愛市場に戻ってきたわたしが恋したのは、理想通りの相手とは言い難かった。

ひとつめ、「話し合い、対話ができる」。これは付き合ってみないとわからないから保留。
ふたつめ、「リベラルである」。彼はゴリゴリのホモソーシャルで生き延びてきた保守派。
みっつめ、「見た目がタイプかどうか」。これは当てはまっていた。というか、ほとんど顔だけですきになった。

趣味も合わないし、共通点といったらお酒がすきなこと、勤め先の業種が同じことくらいしかなかった。ただ、性格は似ていたと思う。自分がいちばんすきで、我が強くて、簡単には譲らないタイプだった。

「パートナーとは対等でいたい」「お互いを尊重できる関係がいい」と宣いながら、食事を終えてお会計するとき出した財布を、彼に「いいよ」と制されるたびバッグに引っ込めた。
なにがフェミニズムだ、なにがジェンダーイコールだ。結局、男性にこういう扱いをされたら快感を覚えてしまうのだ。


ジェットコースターみたいな恋だった。彼の態度や言葉ひとつ、LINEの返信の頻度やタイミング次第で感情が激しく上下した。

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一瞬で通り過ぎていく景色、記憶の断片、ふっと浮かんでは消えていく感情。夢のような日々は、シャンパンの泡のように儚く。お酒を一杯注文するよう…

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