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幕張の奇跡をどう見たか~ある大阪人ロッテファンの家での記録~

点がてんで入らない。
10月16日クライマックスシリーズファイナルへの切符をかけた一戦。千葉ロッテ対福岡ソフトバンク。
これまでも数々の激闘を繰り広げたこのチーム。この日もバチバチとした試合になっていた。

小島和哉と和田毅という早稲田大学の先輩後輩対決は和田が5回を、小島が7回途中まで無失点という素晴らしい投手戦だった。
そのあともお互いの投手陣がしっかり抑え9回を終わった時点で0対0。

このまま引き分ければロッテのファイナル進出。というところでソフトバンク打線が火を噴いた。
1死から柳町達が澤村拓一から二塁打。しかし澤村も次の打者を三振に取る。
ここまで来たらもう安心…と思ったところを周東右京にやられた。センターへのタイムリー。さらに川瀬にもタイムリーを浴び0-2。代わった坂本も柳田にタイムリーを浴びた。完全に試合はソフトバンクのペースだ。

その時私は何をしていたか。
家の中でPCをモニターにして試合を見ていた。
3アウト目を取ったらトイレに行こうと決めていたのだ。
試合が始まってからだいぶ時間が経っていてトイレに行くタイミングを完全にミスった。

2アウト目を取ってから周東、川瀬、柳田と来た。もう限界だった。いったんトイレに向かった。
その時の表情で妻はロッテの負けを悟ったらしい。

トイレから戻ってきた。
私は「とりあえず楽しいことを考える」方向にスイッチが向いていた。

9番からの打順。この点差。奇跡を起こすとしたら…岡大海かな?5番の岡大海なら2アウト満塁で回ってきてホームランでも打つんじゃないか?なんてことを考えていた。

そしてどうなったか。
角中が粘りに粘ってセンター前にヒットを放ち、荻野貴司はどん詰まりのサードゴロ。これが内野安打。
そして打席に藤岡裕大。

打席に入る藤岡を見てふとXにこんなことをつぶやいた。

2020年11月8日、コロナ真っただ中のZOZOマリンでの西武との一戦。
2位をかけての試合。たまたま千葉にいた私。先制されて追いついて、4回裏の2アウトで打席に立ったのが藤岡。
この年はとにかく打撃に苦しんだ藤岡。「ここでカッコいい藤岡が見たいなぁ…」そう漏らした瞬間、ライトスタンドに藤岡らしい打球速度の速いホームランが飛び込んできた。
スタンドは大盛り上がり。コロナなんであんまり立ったりしたりできなかったけれど。そのホームランから7-2で試合を制した—

そういえばあの時も先発小島だったな…なんて思った次の瞬間。藤岡が初球を振りぬいた。藤岡らしい打球速度の速いホームランがライトスタンドに飛び込んでいた。

そこからはもうモニターを見れなかった。
藤岡ぁ?!と叫んだあとずっと布団に突っ伏して泣いていた自分。心配した妻が様子を見に来た。試合の経過を見て理解した妻が「なんなんこの試合」という。ホンマなんなんこの試合。

そういえば…2001年ダイエーだった通称ボーリックナイトも延長10回に3点取られてそこから4点取って勝ったんだよな…

いけないいけない。まだ試合は終わっていない。引き分けでもいいけれどまだ2イニングある。どうせならこのまま勝ちたい…!

そのまま2アウトで予感通り岡大海に回ってきた。
その岡はヒットで出塁。続く安田尚憲のライト前ヒット(という名の右中間を割った打球)で岡はそのままホームに還ってきた。4-3で勝利した。

最後まで諦めたらあかんよなぁとか、いやいやもっと早く点を取っておけば済んだものをとか、終わってからなら何とでもいえるけど、まあ濃かった。現地だったら3回ぐらい倒れる自信さえある。

近所迷惑にならない程度になっておいてよかった。

まあそんなデタラメな勝ち方をしたロッテだが、クライマックスシリーズではオリックスにほぼ歯が立たなかった。奇跡だけでは越えられない壁がやはりどうもあるらしい。

奇跡を必然に変える力。これが来季必要な力なのかもしれない。
それはまた、カッコいい藤岡が見せてくれるのか、それとも平安藤原トリオなのか、朗希種市西野の3人なのか。

来季の今頃どうなっているかが楽しみだ。

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