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現役経営コンサルタントがマイナースポーツを真剣に考える#1 ~ホッケー競技の現在地~

 スポーツに興味のあるみなさん、こんにちは。

 この記事を探し当てたあなたは、スポーツにかなり詳しく、どんな競技もどんとこい!というスポーツマニアだと思うのですが、案外"ホッケー"という競技を知らない・観たことない、という方は多いのではないでしょうか?

 それもそのはず、日本で競技人口約1万人都内に公共のホッケー場は2つ(大井・駒沢)しかなく、試合のテレビ放送は年1回、となかなかに見る機会のないスポーツなのです。

 しかし、そんな時代ももうすぐ終わります。そう、佐蔵が立ち上がるからです。

 ・・・・え、お前誰だよって???

 はい、たしかに佐蔵、ただの一般人です。都内大学のホッケー部監督であり、外資系コンサルの経営コンサルタントでしかありません。競技に負けず劣らずマイナーです。

 ですけどね、自身の持つコンサルスキルと、15年間育んだホッケー知識をかけ合わせれば、プロ選手や有名人ではない自分でも、ホッケーのわかりやすい魅力や将来性を伝えられるのではないか、と思ったわけです。

 そして、Webを通じてホッケーが広まる過程を示すことで、仕事で悩んでいる方マイナースポーツの発展に苦労している方に、わかりやすくLesson & Learnをお伝えでき、そうしたお悩みの解決の一助になるのではと。

 何より、自分の好きなスポーツが知られていないのは悔しい!笑

 そんな弱小ですけど、ホッケーの「見る」・「関わる」・「する」楽しさをお伝えしていきたいと思います。

※ここでいうホッケーはアイスホッケーではなく、世間でフィールドホッケーと呼ばれることもある夏季オリンピック競技を指します。

ホッケーの認知度はなぜ低い?~イシューツリーを作る~

 まずコンサルタントたるもの、課題を検知したら、課題を分解して原因の深堀をしてみます。

 イシューツリーと呼ばれる方法を用いて、次のように課題を分解します。ここでのポイントはMECE(=漏れなくダブりなく)です。MECEについてはここで触れるまでもなく人口に膾炙しているので解説は省きます。

 もう少し深さと広さを出したいところですが、今回はこの程度で。
※自分の作ったツリーを公開する恥ずかしさに耐えつつ(苦笑)

認知度= 認知機会 × 認知内容

と定義してみました。今回認知内容については定性・定量ともに調査するには時間もないので、クイックに定量分析の可能な
①見る(読む)機会
②体験する機会

について、みていきたいと思います。

①見る(読む機会)~ホッケーの現在地 

 まずはこちらのパワーポイントのグラフをご覧ください。

  こちら、佐蔵がホッケーについて真面目にTwitterに投稿した最初の記事で使いました。(投稿時点からグラフの軸を入れ替えています)

 さて、このグラフをみてみなさんどう思いましたか?

・「やっぱり野球よりサッカーのほうが認知されてるじゃん」
・「思ったより自分の球技が高い(低い)ところにいるなぁ」

いろんな声が聞こえてきそうですね。

おそらく多くの方々が肌感覚で感じている球技の順位を、

情報発信量×競技認知度

で表したのがこちらの図です。因果関係は正確に検証する必要がありますが、競技者数・Webでの検索量・情報量・出版点数などから、順位付けをしてみると、綺麗に相関がとれることがわかります。
つまり、認知度には情報発信量が影響しているので、見る(読む)機会の不足はホッケーの認知度の低さの原因といえます。
※あくまでクイック分析であることは留意が必要

 ホッケーの位置を見てください。不幸中の幸いなことに、情報発信量以上の認知は得られているものの、主要20種目の中では最下位に近いレベルです。。。

②球技をTier(階層)に分けてみる

 次に、こちらのグラフをご覧ください。

 こちらは、先ほどの情報発信量と認知度のグラフに、学校の体育で授業に取り上げられる機会の有無をマッピングしたものになります。学校スポーツであることが認知度に影響しているように思えます。
 つまり、ホッケーは学校教育で触れる機会が少ないことが、認知度の低さにつながっているといえるのです。
※水球のような例外あり

 では、学習指導要領に載せてもらい、授業でホッケーを出来るようにすればいいのでは?という意見も聞きます。それは正論だと思いますが、官僚にホッケーを授業で取り組む優位性を説明し、安全性を各学校に示して授業に採用されるまでに何年かかるのでしょうか。。。

プロ化の影響と認知度

 さきほどのグラフで、さりげなく3つのTier(階層)分けを試みてみました。
もうお分かりですね。認知度が上がるにつれ、スポーツの成熟度(新興スポーツ⇒プロ化途上スポーツ⇒プロスポーツ)も高まるようです。
 しかし、以下のグラフのように、少なくともTierが低いうちは、プロ化が認知度向上の原因ではないようです。

 サッカーやバスケットボールはプロ化したから認知されているのでは?という意見もあるかと思います。しかし、スカッシュやビーチバレーのように、トップ選手が多くプロ化していても残念ながらメジャーとは言えないスポーツもあります
 それに、ホッケーがいまプロ化したとて、誰が見に来るのでしょうか。プロだから見るという行動を取る人は少ないのではないでしょうか。
 プロ化は少なくともTier3のスポーツにとっては認知度向上の材料とはならず、Tier2⇒Tier1への移動のためのきっかけだと考えられます。

ホッケーは独自の道を行く必要がある

 今回、「ホッケーは認知度が低い」という課題の分析を通じて、定量的に測定できる範囲で課題原因の裏付けをしてみました。

 ・ホッケーを知る機会が少ないことが認知度の低さを裏付けている

という、ある意味自明な結論なのですが、きちんとデータで証明することが重要だと思いますし、他競技と比較して現在地を掴めたことも大きかったと思います。また、学校教育の重要性という見逃しがちな観点を得られたことも収穫でした。

 さて、では課題の裏返しとしてホッケーは知る機会を増やせば課題解決するのでしょうか?

 現在の佐蔵の答えは”否”です。
もちろん、ホッケーは情報発信量が少なすぎます。まずは情報発信量を増やして、認知度向上との感応度を確認するべきでしょう。

 ではなぜ情報発信を増やすだけの解決に否定的なのでしょうか。それは、先ほどのグラフから、球技の情報発信と認知度の経験曲線が既存のメジャースポーツに有利な構造になっているからです。

 情報発信とはいわば投下リソースを指します。通常、投下リソースが大きいほど経験曲線が働き、有利になります。つまり、ホッケーのように投下リソースが小さく、これから拡大する見込みがないスポーツでは、規模の経済で勝負すればするほど、サッカーや野球に敗れる未来が待っているだけと言えるのです。

 では、ホッケーが規模の経済に飲み込まれることなく認知度を向上させる方法はあるのでしょうか。

 その答えは、今回分析しなかった「知って興味につながる」に解があると考えられます。すなわち、一回あたりの情報発信で得られる興味を最大化すれば、発信あたりの生産性を高めるのです。

 おそらく、特にマイナースポーツの現場で発信力向上を意識した取り組みは限定的かと思います。ある程度の発信量がなければコンテンツ力はついてこないので、継続的にメディアに露出できないスポーツでは、発信力が伴わないのです。

 こうした課題への取り組みは既にホッケー界でははじまっていて選手がテレビに露出したり、SNS(Instagram)を強化する動きがあります。しかし、現時点では効果は限定的で発展途上にあるといえるでしょう。

 選手の発信力強化だけではなく、協会をはじめとした競技全体の発信力強化が重要です。SNSでたまたま出くわした時に、思わずフォローしてしまうような、そうした発信力のある競技はまだ少ないと思います。こうしたあたりに、ホッケーだけでない、新興スポーツのチャンスはあるように思えます。

 以上、国内主要球技におけるホッケーの位置づけを、主に情報発信と認知の観点から分析しました。正直ホッケーまだ始まってないな!!という感想です。今から目を付けると伸びるかもですね。けど、のびしろどれくらいあるんでしょうね。知りたい、知りたいよなぁ(わくわく)

 今後は、ホッケーのポテンシャルや、ポテンシャルを発揮するために必要な取り組み、そもそもホッケーって?など様々なコンテンツを用意してまいりますので、気長に応援いただければ幸いです。

記事の内容に共感するだけでなく、サポートまでしていただけたらこんなに嬉しいことはありません。ホッケー普及をご支援いただけると幸いです。