【読書録】『つげ義春の温泉』つげ義春
今日ご紹介するのは、つげ義春氏の『つげ義春の温泉』(ちくま文庫)。
以前、つげ義春氏の漫画についてご紹介した。
つげ氏のシュールな漫画には、鄙びた温泉や湯治場がたくさん描かれている。
この『つげ義春の温泉』は、そのタイトルのとおり、彼が訪れた温泉についての本である。
Amazonの「Bookデータベース」には、次のように書かれている。
この本は、2部構成になっている。前半が温泉の写真集であり、後半が温泉にまつわるエッセイ集である。前半と後半を通じて、つげ氏の若干のイラストも挿入されている。
前半の8ページから141ページまでの写真やイラストは、古き良き田舎の湯治場や温泉の、情緒あふれる写真とイラストで構成されている。
古い温泉街、周囲の自然、旅館の建物、浴槽の写真などがあるが、入浴を楽しむ地元の人々の素朴な姿が納められいるものも多い。つげ漫画の世界観の元になったのも、こういう景色や情景なのだろう。貴重な歴史的資料ともいえそうだ。
後半の144から219ページまでが、温泉にまつわる7篇のエッセイ。旅好きのつげ氏が、訪れた温泉街での出来事を淡々とまとめている。
素朴な文体がとても好きだ。温泉宿のおやじさん、おかみさん、女中さんなどとのやりとりも、温かみが感じられ、微笑ましい。予約をせずにその日の宿を決める、いきあたりばったり的な旅のスタイルも、当時ならではのものだろう。現地でのサプライズをのんびり楽しむ旅の豊かさを、少々羨ましいと感じる。
備忘録として、本書に登場する温泉をリストにしておく。
つげファンの皆さまと、温泉ファンの皆さまには、とても楽しんでいただけると思う。
ご参考になれば幸いです!
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