見出し画像

【英語】state of the art / state-of-the-art

今日ご紹介する英語フレーズは、"state of the art"  読みは、「ステイト・オブ・ジ・アート」

これは、「最先端」「最高水準」という意味の名詞だ。技術のレベルについて、最もハイレベルであることを指すものだ。

このフレーズは、"state", "of", "the", "art" という4つの英単語から成るところ、これら4つの単語をハイフンでつないで、"state-of-the-art" とすると、「最先端の」「最高水準の」という形容詞となる

ビジネス英会話においては、この形容詞としての使い方がポピュラーだ。特に、最先端の技術を使った製品やサービス、手法などを評価する文脈でよく使われる。

例文を見てみよう。

We have recently launched a new product using state-of-the-art technology.
(私たちは最近、最先端の技術を使った新製品を発売しました。)

ところで、どうしてこのフレーズが、「最先端」「最高水準」という意味なのだろうか。ふと疑問に思った。

このフレーズの成り立ちを見ると、"state" は「状態」。また、"art" は、「芸術」という意味もあるが、ここでは「技術」という意味だ。そこで、直訳すると、「技術の状態」という意味でしかない。どうしてこれが、「最先端」「最高水準」という派生的な意味を持つことになったのだろうか。

いろいろググって調べているうちに、次のサイトを見つけた。

どうやら、Michael Quinion(マイケル・キニオン)氏というイギリスの語源研究家の方によるサイトのようだ。この方はWikipediaでも解説されている著名な学者であり作家で、この"World Wide Words" というサイトも、大変評価の高いサイトのようだ。

このサイトには、"state of the art" というフレーズが、なぜ「最先端」「最高水準」という意味になったか、その起源についての解説が掲載されていた。以下に引用させていただこう。

The suggestion in the Oxford English Dictionary is that the phrase started out in the late nineteenth century as status of the art, in other words, the current condition or level which some technical art had reached. By the beginning of the twentieth century, the phrase had changed to its modern form with the same meaning of “the current stage of development of a practical or technological subject”. It may have changed its form by a simple mistake, or by the process that grammarians call folk etymology or popular etymology, by which words change to fit speaker’s misconceptions of their real meanings. By the 1960s the word had shifted sense slightly to the way we use it now, which implies the newest or best techniques in some product or activity.

これを日本語に要約すると、以下のとおり。

オックスフォード英語辞書によると、このフレーズは 、19 世紀後半には、技術の状態、言い換えれば、ある技術が到達した現在の状態または水準、としいう意味で用いられたのが始まりだという。 20世紀初頭までには、このフレーズは、「実用的または技術的なテーマの発達の最新段階」と同じ意味を持つ現代的な形に変化した。その変化は、単純な間違いによるものかもしれないし、あるいは、文法学者が語源学や通俗語源と呼ぶところの、真の意味についての話者の誤解に合わせて単語が変化するプロセスによるものかもしれない。1960 年代までには、この言葉の意味は少し変化し、現在使われているのと同様、製品や活動における最新または最高の技術を意味するものとなった。(サザヱ訳)

このように、もともとは「技術の(現在の)状態」という意味が、話者の間違いや誤解により「最新段階の」という意味に変化していったという。そういえば、日本語にも、言葉の意味が、誤解によって変わっていく例がある(たとえば、「情けは人のためならず」など)。

言語というものは、年月を経て、色々な人が色々な場面で使ううちに、自然と少しずつ意味が変わっていくものなのだろう。なかなか興味深い。

ご参考になれば幸いです!

私の英語系の記事へは、以下のリンク集からどうぞ。

Kindleで出版中の私の電子書籍2冊(国際会議の英語と採用面接の英語についてのノウハウ本)も、よろしければ是非ご覧になってください。Kindle Unlimited対象です。

この記事が参加している募集

英語がすき

サポートをいただきましたら、他のnoterさんへのサポートの原資にしたいと思います。