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【英語】Parting is such sweet sorrow.

シェイクスピアのロミオとジュリエットに出てくる美しい名言、"Parting is such sweet sorrow"

バルコニーでロミオと語り合ったジュリエットが、別れ際に、おやすみの挨拶とともに言った言葉(第2幕・第2場)(Act 2, Scene 2)。ネットの検索で出てくる定番の和訳は、「別れはこんなにも甘く切ない」

Partingは「別れ」。sorrowは「悲しみ」。"Parting is sorrow."「別れは悲しみ」だけだと、何の変哲もない、当たり前の表現だ。

だけど、その「悲しみ」(sorrow)に、「甘い」(sweet)という形容詞をつけるところが、さすが、シェイクスピア。別れと言っても一時的で、またすぐに会える楽しみがあったからだろうか(後にそうではなくなるのだが)、ジュリエットの恋する気持ちが、とても美しく表現されていると思う。

ちなみに、この部分の和訳は、訳者によって異なる。

◆原文
"Good night, good night! Parting is such sweet sorrow, / That I shall say good night till it be morrow."

◆中野好夫訳(新潮文庫)
「お休みなさい、さようなら! 別れといっても、考えてみれば悲しいような、嬉しいような。だからいっそ夜明けまで、私、こうして言い続けているわ。」

◆松岡和子訳(ちくま文庫)
「おやすみ、おやすみ! 別れがこんなに甘く切ないなら/朝になるまでおやすみを言い続けていたい。」

個人的には、上記松岡和子さんの訳のほうが好き。"sweet sorrow"を「甘い悲しみ」ではなく、「甘く切ない」と訳しているのは、日本語訳として、名訳だと思う。

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このフレーズは、英語圏では、いろいろなところで引用されているようだ。

たとえば、昔、大学生のときに読んだ、イギリスの作家であるNoel Coward氏の戯曲、"Blithe Spirit"(『陽気な幽霊』)という作品では、大変印象的なラストシーンで、色男の主人公が、2人の死んだ妻の幽霊に向かって、このフレーズを言い放って幕が閉じる。

そのほかにも、一つ一つ覚えていないが、英語の映画や、スピーチで、このフレーズが引用される場面にも何度か出くわした。

そこで、私も、時々、これを真似してみるようになった。

たとえば、旅行先でできた外国人の友人や、海外出張先で一緒になったグループ会社の同僚に、帰国のため、さよならを言うとき。外国人の同僚が、異動や転職で、勤務先を去ってしまうとき。そういう、外国人に対してさよならを言う場面で、「この人と別れるのは寂しいな」という、切ない気持ちになったとき、このセリフを使ってみるのだ。

"I have to say good bye now."(もう行かなきゃ。)などの、シンプルな別れの言葉に続けて、"Parting is such sweet sorrow..."と言ってみるのだ。相手の目を見つめて、切なげに、ゆっくりと。

すると、結構な割合で、ニヤリとされる。シェイクスピアは、英語圏の人たちにはとても馴染みがあるのか、このフレーズの出典を瞬時に理解する人がとても多い。

反応としては、「シェイクスピアだね!」と言われたり、「オオ、ジュリエット!」と、オーバーなリアクションで、ハグしてくれたり。こちらの切ない気持ちが伝わるうえ、相手の笑顔も引き出せる。

外国人の恋人がいらっしゃる方には、特に、効果抜群なのではないでしょうか。是非、お試しあれ!

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