【英語】outlier
今日ご紹介するのは、英単語 "outlier"(読み方は「アウトライアー」)について。
まずは、この単語についてのオンライン辞書「英辞郎」の解説を見てみよう。
外資系日本法人に勤務する私が、 "outlier" という単語をよく耳にするのは、このうち2番目と3番目の「異常値」「外れ値」という意味においてだ。
特に、グローバル本社や、日本法人が属している上部のRegion(アジア・パシフィックなどの統括エリア)から、
"Japan is an outlier."
つまり、
「日本は異常値だ。」
といわれることが、時々ある。
これは、黄色信号だ。こう言われると、ドキッとする。
なぜなら・・・
外資系企業では、グローバルの本社が外国にある。その本社が存在する本国を中心に、世界にある子会社や拠点を統括する。日本はそのうちの1つの国にすぎない。
本社としては、世界中のグループ子会社におけるビジネスを、本国と同じ価値観や、システムやプロセスなどを含め、同じやり方で統括したい。
しかし、当然ながら、それぞれの国には、それぞれの国ならではのルール、商慣習、文化などがある。特に、日本には、欧米とは異なるルール、商習慣、文化などが多くある。
そういった日本ならではの独自性に基づいて、本社や他の国とは異なるビジネスの運営をしているとき、本社がそのことに気づいて、問題意識を持った場合に、この表現、"Japan is an outlier" というフレーズが投げかけられる。
そして、多くの場合、それを是正して、グローバルのやり方に合わせろ、という指示が飛んでくるのだ。
たとえば。
日本では、冠婚葬祭において、仕事で知り合いになった取引先関係者の結婚式や葬儀に参加することもあるだろう。その際、現金を封筒に包んでご祝儀やお香典を持参するのが普通だ。
しかし、欧米では、現金を、取引先など仕事上のつきあいのある個人に支払うのは、賄賂とみなされるリスクがあるということで、ご法度とされる。
だから、欧米の本社からは、このような指示が飛ぶ。
「取引先関係者の葬儀に参加して、現金を渡すなどは、他の国では行っていない。Japan is an outlier(日本は異常値)だ。だから、そういう慣習は即刻、止めるように。葬儀に参加してもよいが、香典は支払うな」などというものだ。
日本人からすると、「葬儀に参加して香典を払わないなど、そんな失礼なことができるか!」と、思わず反発を覚える。
ここで、外資系企業の日本法人の管理者としては、どのように対応するか、悩ましい。
本社の指令を受け入れて、「取引先の葬儀で香典は支払わないように」とか、そもそも「取引先の葬儀には出席しないように」などというルールを新設する、という対応もあり得る。
しかし、この場合は、それまで自由に葬儀に出席して香典を渡してきた営業部員たちにとって、お取引先に不義理をするような難しい対応を迫ることになり、営業現場に大きな混乱をもたらすだろう。
あるいは、日本法人だけは、特別に例外を認めてもらうえるように、本社と交渉する場合もある。
「日本では取引先の葬儀に出席するのは普通で、葬儀には香典を持参するのが社会的慣習だから、賄賂だと解釈されるリスクは低い。だから、日本だけは例外的に、葬儀で香典を渡すのを認めてほしい。その代わり、金額は過大にならないようにするから。」などと言って、本社と交渉するのだ。
本社の指示をそのまま受け入れ、日本法人の従業員に、今までと違うやり方を強いるか。あるいは、本社の指示に反対し、日本だけ今までのやり方を踏襲できるよう交渉するか。いずれにしても波風が立ち、厄介な状況に陥る。
そういう状況をうまく解決に導くことこそが、まさに、私のような、外資系現地法人の管理職に期待されている役割なのだ。
私自身も、さまざまなトピックについて、本社の指示をそのまま受け入れるべきか、あるいは、日本だけ例外を認めてほしいと頑張るべきか、そのあたりのバランスに、いつも悩んでいる。
ご参考になれば幸いです!
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