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#2 対話は続くよ、どこまでも〜わたしたちの民主主義/『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』特別企画

対話型の街頭演説「青空対話集会」で、市民とのコミュニケーションを行う立憲民主党の小川淳也さん。衆院選が終わってからも続く対話集会の様子を、和田靜香さんがコツコツ記録していきます。対話の先に何が見えるのか?『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』とあわせてお楽しみください。

2月1日(火曜日)晴れ(後編)

220203_青空対話集会日記②-1


(せめて写真は青空に)

 ‥‥‥対話を記録する。と決めたのに、そこにコロナ第6波がやってきてしまい、小川さんの青空対話集会は中止に。さらに、他の議員さんの集会も都内で見つけられず、2月1日、急きょオンラインで行われた、青空(?)対話集会を見てみた。

 この日の参加者はzoomのMAX100名。入れなかった人も大勢いたようで(なので次回からは300名入れるようにするという)、最初に小川さんの挨拶が短くあった。そこで、2月頭から立憲民主党が参院選に向けて公募する政策提案について話があり、「有権者に限らず、子どもさんや外国籍でこの国にいっしょに暮らしている方々もウエルカム。不安や願いを預けて欲しい」と言ったことが印象に残った。提案は誰もができるという。

 すぐに思い出したのは、「市民参加を進めるため常設型の住民投票制度の確立を目指します。豊かで多様性ある市民の力がしっかり生かされるよう、市民参加や協働の取り組みを進めていきたい」と、武蔵野市長が議会に提出した“住民投票条例案”。在住3カ月以上であれば、日本人と同じく外国籍の人にも投票権を認めるとされていたが、否決された事案だ。

 現在、「国籍を問わず投票できる住民投票条例は約40自治体が設けているが、外国人については、多くは永住者に限るなどの要件がある」そうだ。それをこの条例案では、「市内に3カ月以上住む18歳以上を対象とし、日本人と区別なく留学生や技能実習生などの外国人を含めた」(西日本新聞/2021年12月22日)と、とても画期的なものだった。なのに住民投票権を外国人参政権と混同して反対する人が多く、外国人排斥思想が表立って躍動し、否決された。それでいいんだろうか?

「少子高齢化に伴い、多くの外国人が来日する流れは避けられない。武蔵野市で起きた議論は全国の自治体に波及する可能性もある。成蹊大の武田真一郎教授(行政法)は『住民投票を通して地域の課題について外国人とともに考えることは相互理解につながる。彼らとどう付き合っていくのかが問われている』と指摘している」(同紙)

 私たちはもっと現実を見つめようよ!と言いたい。私たちはすでに外国人と共生しているのだから。

14人の声を聞く

 小川さんとは「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」の中でも移民問題について話し合った。小川さんは積極的移民受け入れの方針を持つ。私もこれから立憲民主党の政策提案に一市民として意見を出してみるつもりだが、移民問題も提案として出したい。

 さて、肝心の対話は、この日は14名からの意見を聞いた。1時間で14名だから、割とサクサク進んでいくかたちで対話は行われている。私の感想としてはもう少しゆっくりでもいいんじゃないか?と思うんだが、どうだろう。ひとつ重要だなと思う課題には周囲も声を挙げて、いっしょに話し合えたらいいのだけど、そういうのは難しいのだろうか? まだ、知らない者同士がそこまでできるほど、対話の形は育ってないのかもしれない。もしや小川さんだけじゃなく、もう一人司会で進行する人がいればいいのだろうか? わからない(勝手に言ってるだけです)。

220203_青空対話集会日記②-2モザイク

(小川さん、もう少し後ろに下がった方がいいと思いますよ)

ざっとあがった意見・質問を羅列すると、

1.批判を恐れないでほしいこと。辻元清美さんの参院選への出馬を承認してほしい。
2.野党共闘、共産党へ歩み寄ってほしい。共闘しても、若い人はイデオロギーを気にしない。
3.コロナワクチンは違法だ、問題がある。
4.斎藤幸平さんも言うような、お金中心の社会から変換を。
5.参議院議員に6年前になった人たちがどういう活動をしたか分からない。また、60代の投票率と30代の投票率が倍違う。高齢者向けの政治が悪いとは言わないが、若者向けの政治をしてほしい。
6.気候変動と畜産の問題。
7.持続可能な社会の中でインフラ整備についてどうするのか。
8.政策をカテゴリーごとに優先順位を明確にしてほしい。また党内調整のプロセスを明らかにしてほしい。
9.公約は3つぐらいにしぼって簡潔に発信してほしい。CLPの問題はその後どうなったのか。
10.がん治療の臨床試験のルールを変えてほしい。家族ががん患者で使えるクスリがない。
11.野党共闘が難しくなったが、立憲はどういう立ち位置なのか見えない。リベラルではないのか?
12.選挙制度について。知的障がいのある人にも投票がしやすい方法を取り入れてほしい。
13.子どもたちへの主権者教育について。
14.比例区、立憲はどう票を取りに行くのか?

 どうだろう? 意外と多様な意見が出ている。毎回登場する同じような質問もあるし、アッと思うものもある。

中学2年生の質問

 まず気になったのは若者向けの政治をしてほしいという5の質問。質問したのは中学2年生。小川さんの答えの要約は、

「先週、党内で有識者を集めた懇談会がありました。そこで話し合ったのは”調和”です。経済と環境、私と公、ジェンダー、今と未来、高齢者と若い世代、の調和です。今のような視点(高齢者と若い世代の選挙格差など)はだいじです。私たちは今の安心を重視しつつ、次世代への責任も大事にしたい。未来が確固たるものになるようにすることこそが私たちの責任です」

 といったものだった。翻って、若者世代の実際の投票傾向を見ると、よく言われるのが「自民党が強い」ということ。先日、上野千鶴子さんと辻元清美さんの対談をYouTubeで見ていたら、最近よく若者との対話を積極的にしているという上野先生が若い人たちに「どうして自民党に入れるのか?」を聞いたら、それは「よく見ている、知っているから」と答えたという。なるほどそうだ。特にコロナ禍になって、決していいことばかりじゃなくても自民党の政治家が出て来てあれこれ言う場面が映しだされる機会はずっと増えた。ニュース番組のみならず、ネットでも、どこでも出てくるし、気になるし、だから見る。知る。知っているから入れる。なるほど。知らないものには、入れようがないじゃないか?

 じゃ、野党は若者に沿った政策をジャンジャン出して目立てばいいのか? それもまた年齢による分断につながり、それこそ調和のある世界じゃなくなる。若者も高齢者も共に幸せになる政策があってしかるべきで、それを若者に積極的に知らせていくことが大事で、ってあ、あああ、難しいね。

※政調会長の椅子を狙っているわけではありません

 じゃ、私が政調会長だったらどうするか(笑)?
 そうだなぁ。まずは住宅扶助だよね。住宅費が重くのしかかってるのは、多くの人にあてはまる。何より私にあてはまる(って、自分勝手です)。たとえば家賃が2万5千円ぐらいだったら(都営住宅に入った感じ)。それはそれはラクになる。非正規雇用という働き方であっても(いや、でも、この働き方だって変えて行かなきゃだよね)、最低賃金が1500円に行かなくても(いや、行ってほしいけどね)、家賃が安かったら、今よりずっと心やすらかにゆっくり働き、自分の好きなこと、やりたいことが出来る。今日、笑える。明日を泣かなくていい。誰かを貶めようと躍起になってSNSを見なくてもいいし、スーパーで1個45円のコロッケばかり買わなくても済む。

 住宅問題というと、すぐに「全国にある空き家を借り上げて貸す」とかいう案が出るけど、あれ、ダメだと思う。結局は修繕費がかかるし、それよりも直接、お金として扶助をして、空き家を安く借りて直して住むなら、それは当人がそうすればいい(私は今、実際そうやって住んでいます。友人から安く借りている古い家、壁を塗り替え、直しながら住んでいます)。

 とはいえ、地方だと「家はあるし」だろうから、地方で大事なのって「公共交通の整備」じゃないだろうか? 香川1区での取材のために私が10月に高松に行ったときにも感じたのは、バスとか電車とか、公共交通の復活をしてほしいのだけど?ということ。車の維持費やガソリン代は高い。高齢者は免許そのものを返上したりする。さらに環境問題、二酸化炭素排出について考えるなら、公共交通の整備は欠かせないものじゃないだろうか?

 って。はい。和田政調会長の案です。政調会長の椅子は狙っていません。

知的障がいのある方の一票はどうなる?

 それから気になったのは、10の、がんの治療薬の臨床試験のルールを変えてもらいたいというお願いだ。今現在、がんの治療薬の臨床試験は、部位によって分けられてしまっていて、全身のがんに使えるようになるまで10年はかかるんだという。この質問をされた方のご家族は末期がん。もう待てない。ただ、厚労省にしろ、自民党にしろ、お役所的な「しがらみがある」ところにはお願いしても難しいという現実があり、「しがらみがない」立憲民主党にこれを頑張ってほしいと言っていた。なんという切実さだろうか。ここでこの人がこれをお願いした気持ちを思うと、胸が張り裂けそうになる。小川さん、これは本当に党内で話し合ってくださいね!

 それから12の方の、知的障がいのある人にも投票がしやすい方法を取り入れてほしいという意見もすごく気になった。質問された方は特別支援学校の教員をされていて、知的障がいのある方も一票が投票できるようにと、日々努力されているけれど、今の選挙制度はそういう人たちに優しくないという。言葉をそのまま引用します。

「文字がきちんと書けなかったら投票できなかったり、選挙管理委員会の方が代わりに書いてくれるといっても、その場で初めて会う方に(当事者が)お願いすることは難しかったりします。改善できると、選挙に、民主主義に参加できる。投票率も上がる。タブレットで投票できる制度などを導入してくれれば、顔写真をタップするだけとかなら投票ができるんです」

 なるほど! 本当にそうだ。小川さんもこれには「タブレットでの投票、ネット投票など、技術的なことも多々議論になっていますが、これは前向きに議論したいことです」と即答していた。本当にそう思う。めちゃくちゃ大事な提案だ。私、この方のいらっしゃる学校に取材に行きたい。

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 それから、この日は何人もの人から「野党共闘を」と言われ、「立憲はどうしたら勝てるのか?」を問われ、小川さんは「妄想のように言ってますが各野党が自我を抑えて大同団結、大合併してそれぞれが党内の派閥になるぐらいになれば」すぐに出来ると言っていた。この発言、最近ではSNSで炎上し、小川さんはばか呼ばわりもされているけれど、自民党と社会党が共闘して政権をとっていた時代だってある。1994年(平成6年)6月30日から1998年(平成10年)6月までの「自社さ」連立政権だ。何がたいせつか、何を守りたいのか、私たちがもう一度胸に手をあてて、じっくり考えるべきなんじゃないのか?と思う。

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