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【毎日note201日目】『七度笑えば、恋の味』感想

こんにちは。さゆです。

私は料理が苦手なくせに、食べるのは好きなせいか、時々無性に「食べもの小説」を読みたくなります。


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(↑自分以外が作ったご飯はオシャレで美味い...)

ご飯の描写が美味しそうでとってもステキなところが魅力的なのはもちろん、「きちんと料理してご飯を食べる」登場人物は、自分のことも、周りのことも大切にして、丁寧に暮らしている様子がうかがえる...。そんなところに惹かれるのかもしれません。


今回読んだ「第1回日本おいしい小説大賞」受賞作品だという古矢永塔子さんの『七度笑えば、恋の味』(小学館)も、容姿や人生に悩む主人公が、涙を流しながら食べる7皿のご飯に心が温まる小説でしたーー。


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本作の主人公は、自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱いているため、マスクと眼鏡が手放せない日向桐子。

28歳で、結婚3年目の女性です。

19歳で故郷の田舎町を追われるように上京して今年で9年目。

幼い頃から特異な容貌のせいで仲間はずれにされてきた彼女は、誰にも心が開けないせいで、どの職場にも馴染めず、職を転々としてきました。

しかし、現在の勤務先である「優しい料理」のサービスに力を入れている自立した高齢者向けマンション「みぎわ荘」では、パート職員として調理の仕事を、節度ある距離感を保って働けていました。



しかし、ある日、新しいアルバイトとして、ソフトモヒカンの髪を黄緑色に染めた男子・バンドマンの墨田くん(19)が来てから様子が変わり始めますーー。

人懐っこくみんなに好かれるものの、仕事は雑で、桐子の眼鏡やマスク姿の理由を容赦なく突っ込んでくる墨田くん...。

桐子はそんな彼に戸惑います。

ですが、ある日、急遽お休みを取ったスタッフの代わりに、メインの調理を上司から任されたのは、桐子ではなく新人の墨田くんでーー!?

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大体こんな感じで始まるのですが、桐子は、料理には自信があるのに、自分よりコミュ力が高い墨田くんの方が上からは信用されているのか...!? と、本当に落ち込んでしまうんですね。


「もうこの職場も潮時かな...」そんな風に思っていた時に彼女の前に現れたのは、「みぎわ荘」最上階の住人で、72歳の不良老人・匙田譲治でした。


匙田さんは、桐子たちが作る自慢の料理を決して食べに来ない謎の老人...!

毎日昼すぎに出かけ、真夜中に戻ってくる生活をしているのですが、桐子はそんな彼に居酒屋「やぶへび」に連れて行かれます。


そこで、匙田さん自身が、大雑把ながらも手際よく作った「酒粕の香りがする熱いミルクスープ」を振る舞われ、桐子はとても感動するのですーー。


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本作は、料理ももちろんメインですが、様々な悩みを抱えた人々のドラマも熱く描かれています。

人と上手く関係を築けない桐子は、夫とも関係が上手くいってない。

夫は、Instagramに依存気味で、フォロワーが15万人もいるものの、そこは完全な虚構の世界観が作り上げられているーー。

また、居酒屋「やぶへび」の店主のお孫さん、後に桐子の親友となる祥太郎くんは、口が達者なものの、実際は保健室登校の小学生でした。


他にも、不倫や不妊治療、一筋縄ではいかない夫婦問題や外見のコンプレックスなど、現代人が抱える様々な悩みが登場し、誰しも、悩みながらも、仲間と支え合いながら、問題と向き合っていく過程が印象に残りました。


そしてなんといっても、本作の魅力は、匙田さんと桐子の「44歳差の恋模様💓💞」です!!


桐子はいつも、何かある度に匙田さんの前で泣きながら手作り料理を食べているのですが...。そして心を持ち直していくのですが...。


自分の生き方を確立し、困った人を助け、修羅場にも動じず、風を切って歩く匙田さんの人間力はもはや完璧...さすが年の功といいますか、もはや神レベルで。

「44歳差の恋なんてありえない!」と思った自分が恥ずかしくなったほどです。


「漬けトマトの冷やし中華」、「クレソンとあさりのふわ玉雑炊」、「きのこづくしのハンバーグプレート」など、食べる相手のことを細やかに考えて調理された匙田さんのご飯...!


とっても美味しそうで、素敵でした。


ご飯と温かな人間ドラマが描かれた本作、おすすめです(●´ω`●)💓💞


(本日の投稿は、私のアメブロとも同じで失礼致しました💦💦 皆様今週もお疲れ様でした! またおすすめの本も紹介させてくださいね(●´ω`●))



さゆ



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