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【読書】下流へ落ちることは恐怖なのか/『下流の宴』(林真理子)

4月突入しましたね…。

私は5年ぶりに高知県から出て、実家の関西に帰ってきてるのですが、今日はその話ではなく、本の感想を…:( ;´꒳`;)

今回読んだのは、林真理子さんの書籍。

努力をする意味や勉強の大切さ、様々な価値観の人間がいる世の中でいかに生きるかを考えさせられた…とっても面白い小説『下流の宴』(文藝春秋)を読みました。


本作は、医者の娘として生きてきたことが誇りでもある、東京の中流家庭の2児の母・由美子を中心に物語が展開します。


由美子の心配事は、専ら、手塩にかけて育てた息子・翔のこと。

翔は、高校を中退したまま家を出てしまい、沖縄育ちのフリーターで22歳の珠緒と同棲を始めます。


それだけでも心配なのに、ある日、翔は「珠緒と結婚する」と言い出すのです…!


由美子は珠緒を露骨に馬鹿にして、「うちとは育ちが違う」と結婚に大反対すると同時に、翔が結婚することで「うちが下流へ落ちてしまう」と恐怖を抱きます。

一方、沖縄で働き詰めの豪快なシングルマザーに育てられた珠緒は、由美子の言葉に怒りを覚え、「だったら私が医者になる」と宣言。


翔と結婚するために、周りの力を借りて猛勉強を始めるのですがーーー⁉️


😊😊😊

本作は、新聞で連載され、ドラマ化もしたんですね。

もうめっちゃ面白かったです。一気読みしました。


何とか家の体裁を保ちたい母・由美子。

母とは比べ物にならないくらい豊かで充実した人生を歩むため、将来の結婚相手を視野に入れ、必死で就活をするお嬢様大学に通う娘の可奈。

翔をまともな道へ戻そうと、とんでもない提案を持ちかける人生経験豊富な祖母。


色んな立場の人が登場する小説で、誰に感情移入して読むかで、感想がわかれそうな気がしました。


私は、将来に向けて何も行動せず、気ままに生きている翔に説教する、彼のおばあちゃん(苦労人)の言葉がとても印象に残りました。


「何の意欲も持たない、将来のことも考えてない。お金もいらないって言う。これじゃまるっきり死んでる人と同じじゃないの。おばあちゃんはびっくりしたわよ。翔ちゃん、まだ二十歳だけど、死んでるのね……」


ーーおばあちゃんの言葉は、私にとっては、目標もなくフラフラ生きることがいかに恐ろしいかを感じる言葉でした。



与えられた生命をどう使って生きるべきか。ずーっとフリーターでい続けることにどんなデメリットがあるのか。本作はあちこちで描かれている……のですが、翔の最後の選択にはこれまた驚かされました。



でも結局、親が子に勉強しろ!とガミガミ言っても何も聞きやしなくて、ただ子供を応援する姿勢を見せ、自分の生き様を見せることしか出来ることはないのかな…と『下流の宴』を読んで思いました。

あと医学部に行くために死ぬ気で勉強したタマちゃんは魅力的でした。

また、娘の可奈ちゃんの生き方も、私から見ると立派な努力だと思いました。

勉強する意味や様々な価値観に触れる大切さ、親が子に与える影響や格差社会について考えさせられる物語です。


実家の犬


さゆ


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