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SNSはメディアですか?

しっかりコミュニケーションをとったはずなのに、なんか掛け違ってる。
そういう時は使っている言葉が違うのかもしれない。
言葉が通じるからこそ、理解や見え方の違いに気付けないことがある。

ここ何度か、広報系の仕事をしていて、合意したはずなのに実際に動き出すと何かが違うと思うことがあった。
その原因のひとつに、相手と「メディア」の概念が違ったことがあったように思う。

「バナナはおやつですか?」的な話を何度もしているような感じ。
「おやつ」とは何ぞやを考えるように、「メディア」って何だ?と思ったのだった。

たとえば「メディアにでたい」というご要望があって、そのために何をするか話し合っているとき。

何度か「あれ?」を繰り返した末、
・相手は自分が「メディア」だと思っていないものもメディアと呼んでいる
・「メディアにでる」ことの意味やその方法に関する理解の解像度が違う
ことに気付いた。

あるいは「メディアをつくりたい」という会社やショップとの仕事。
相手が何をしたいのかが分からなくて混乱したのは、
・自分では「メディア」の要件に足りないものをメディアと呼んでいる
・「メディア」をつくることの大変さを感じた経験が違う
からのようだった。

自分のなかではうまく消化しきれないのだけれども、頭のなかに浮かんでいるイメージを無理矢理アウトプットしてみたい。

通信・報道機関という意味でのメディア

新聞やテレビ。広報分野でメディアと言った場合、おそらくここがスタンダードというか、伝統的?な部分だと思う。
メディアには国民に対して知られていない情報を伝えるとか、体制に対しての監視機能とかの社会的役割があって、大企業のPuplic affairsみたいなものの中で語られるメディア。企業側からすると、「記者会見」とか「プレスリリース」とか、”マスコミ対応”をする相手。
企業自体の社会的な存在感が大きくて、新商品なり合併なり、発表すると報道されることは確定で、自社の報道のされ方をコントロールする、みたいな感じ。リークとか、駆け引きとか、そういう世界。

私のなかでは、昔ながらのメディアというか、電気屋とかお金持ちの家でテレビ見るみたいなイメージともつながってて、普通の人とメディアとの間に持ってる情報量とかスピードに偏りがあって、放送しているみたいな、マスコミュニケーションの世界として分類されている。

図にすると、こんな感じかな?なんか違うか?

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広告媒体という意味でのメディア

同じように、昔のイメージと紐づいているのが、大量生産・大量消費の社会というか、CMバーンの売上バーンみたいな時代の「広告媒体」。
お金払えば効果あるみたいな世界、これはマスマーケティングの世界っていうのかな。広告費、最低100万からだよね。100万切ってたら安いよね、みたいな感覚。

どれだけリーチできたかとか、どのぐらいの頻度で見たかとか、消費財の買い回り品だったら、売上との因果関係が数字とかで見えたりするのかな?
企業側からすると、広告枠として見ている感じ。

図にすると、こんな感じかな?図解って難しいな。

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タッチポイントという意味でのメディア

もうちょっと最近の、Webマーケティングとか何とかって話のなかでいうメディアはタッチポイントと言えばいいのか、顧客との接点のひとつみたいなイメージなのか。
4大媒体+インターネットとか言うけど、インターネットっていうカテゴリすら古くさい印象があって、通信・放送みたいな世界と違って、双方向のコミュニケーションというのがベースにある世界。
自分たちでも発信できるようになってるし、口コミとかレビューとかも盛んだし、全方位で言ってること違っちゃダメだよね、ブランディングとか顧客体験とか大事だよね的な。
場合によってはアプリとかプロダクトとかも並列で語られるような感じかな?

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コンテンツが集まってればメディア?

オウンドメディアやWebメディアをつくりたい、といわれた時、私はメディアというのは「編集方針」があって、発信にあたっての責任というか、諸々の関連法の遵守だったり、そういったところまでも考えていくのがメディアだと思っていたので、単に「記事のまとまり」ぐらいにメディアを認識している人と話すと、「あれ?」と思ってしまう。

実際、それっぽい体裁のサイトをつくるのは誰でもできるけど、それを事業として続けようとすると、見栄えやビューを稼ぐのにヒトもおカネもかかる。広告をとるか、紹介するか、物販するかでもしないとお金にならないので、今まで一緒に仕事をしたメディアを見ていて、気楽に始めるとあんまり続かないなぁという印象もある。
なので、「メディアをつくりたい」と言われると、どういうテンションで言ってるんだろう?と思うし、メディアをつくるから記事をつくってほしいという話では、どういう記事を目指せばいいんだろう?と悩む。

SNSアカウントはメディア?

「メディアに出たい」という話ですれ違った時に、初めて知ったメディアの存在にSNSだけでやっているメディアというものがあった。
YouTuberやインスタグラマーとは違う種類だと思う。団体や個人が決まったデザインの投稿で、特定ジャンルについて情報発信していて、メディアと呼ばれている。中の人はネットショップのオーナーだったり、保育士やセラピストのような個人向けの仕事をしている人だったり、有志の学生団体だったりする。

こういうメディアとの関係づくりは「寄稿」や「記事広告」みたいな関係ではなくて、「コラボレーション」と呼ぶ方がふさわしいみたいで、金銭は発生せず、お互いにフォロワーやいいねを増やし合うために共同で企画をするような、そんな関係性がある。
メディアに「出してもらう」というのとは違う感じがする。
インフルエンサーマーケティングというのとも違う、不思議な世界だった。自分のなかではメディアとは呼んでいなかったけれど、これをメディアと呼ぶ人は感覚的には40代以下を中心に結構いそうな気がする。
出し抜き合う世界とは違ってちょっと優しい感じもして、私は好きだなと思った。

なんか食い違う時は多分「メディア」が違う

別にメディアを定義したいわけではない。ほかにもファンコミュニティみたいなものは何なのかとか、厳密に分けようとすると難しいと思う。
そうではなくて、たくさんのメディアがあって、人によって接しているメディアの数もタイプも接している時間も違うからこそ、自分のイメージで話すとすれ違う。SNSにも新しい機能が出ては消えていって、日常的に使っていないと全然知らない機能もあったりする。
この間は具体的なメディア名や具体的な活動内容を挙げても、食い違いを解消するのに1ヶ月くらいかかったから、仕事をしていて、なんか話が食い違うぞ?と思ったら、メディアという言葉を疑ってみてもいいかもね、という最近の発見でした。

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