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[re:view] シンデレラ -Amazon Video-

おとぎ話は信じない私が、はじめて信じたくなった作品。観た後しばらく余韻から抜け出せなくなった。

アップデートされた現実的なプリンセスの世界

小さい頃からディズニープリンセスや童話のキラキラストーリーはどうしても共感できなくて、周りのみんなが「ディズニープリンセスで誰が好き?」という会話で盛り上がる中、私はパワーパフガールズが好きなタイプだった。

何かを得るために何かを失うことなんて考えられなくてどっちも手に入れたい派だったし、白馬で迎えに来る王子なんて見せかけでしかないじゃないと思う小学生だった。

その中で『現代版シンデレラ』(世間でそう言われている)はかなり現実的で強気で共感具合が素晴らしく高かった。舞台は昔の世界のような気もするけど、登場人物のスタンスやマインド、言い回しが超現代的。

『生き方は選べるんだと初めて知ったんだ』『人生は自由だと知ったんだ』『つまり僕は僕を選んだんだ』『王になるより』

王子のセリフ。普通のキラキラストーリーだったら「僕は君を選んだんだ」というようなシーンで、自分を選択できたことを伝えているところがかなり現実的でいい。現代も問題視されている家父長制にまた新しいアプローチをしつつも、昔も今もずっと同じ問題が存在していることに気付かされる。


フェミニズムを全面に押し出したキャスティングと衣装

最初にこの映画のキャプションがツイッターに回ってきたときは衝撃を受けた。人種や色、ヘアスタイル、ドレスが、現代仕様にかなりアップデートされていたから。

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こういうの言及するとすごいダサいからあまり言いたくないんだけど、言わないと分からないってこともあるから。白人+ブロンドヘア+ピンク水色白ばかりだったこういうシーンに、肌が小麦だったりスキンヘアだったり黒のドレスだったり、個人が最も輝く衣装・スタイルで舞踏会シーンが彩られていて目新しかった。こういう世界がみたかった。

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魔法使いも最高にクレイジー。スタイリング素晴らしい。実際に魔法を掛けたみたいに元気や勇気をくれるのってこういうタイプの友達だったりする。

王子が国を継がずに、妹が女王になって様々な政策を打ち出していこうとするシーンも、国王(王子の父)の妻が自分の主張を押し通して伸び伸びして行くシーンを観ても、家父長制に立ち向かうフェミニズムをすごく感じた。最高。


再認識された過去の名曲のメッセージ

名曲をカバーし、新しく映画用に生命が吹き込まれた楽曲が多々登場している。はじめ聴いたときは、映画のために作られた曲でメッセージ性が強いなあなんて関心したけど、2回目観たときに「あれ、なんか聴いたことある?」と思ってみたらほとんどカバーだった。

過去の名曲派すでに”現代版”と言われるアップデートされたシンデレラに沿ったことを音楽に載せて訴えていたんだ、と圧倒された。

映画に乗せることによってまた楽曲は生まれ変わり、改めてメッセージを伝えてくれるなんて細部まで拘りがすごい。多分この規模なら映画に合わせた新曲なんていくらでも書けたと思うけど、あえてカバーと言う選択肢をした制作陣にリスペクト。

もし100万分の1しか可能性がなくても
私がその1人になってみせる

カミラが書きおろしたこの『Million To One』のこのフレーズも素晴らしい歌詞で何度も泣いた。自信をなくしてしまっている人、すべてに当てはまって背中を思い切り押してくれるリリックとメロディ。シンデレラって誰もが主人公になれる物語ね(シンデレラに限らず)



珍しく映画をレビューしてみたけど3点でまとめるには申し訳ないくらい素晴らしくシンプルでありつつ、盛りだくさんな作品だった。こんな世界をずっと作りたかったし、少しでもこの作品を観て共感してくれる人が増えてくれたら嬉しい。作ったわけでもなんでもないけど、とにかくこの作品について語りたくなった。

挫けそうなときもやる気で満ち溢れているときも、ずっと観ていたい映画でした。


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