【21】小児科医ママが解説「BCGの痕ってこんなに赤くなる?様子をみて大丈夫?」

話題になっている「コロナとBCGワクチン」について、以前に記事をupしました。(記事:BCGワクチンは、コロナに効果があるのか?

そもそもBCGの接種痕について、こんなに赤くなっていいのか?膿(うみ)みたいに見えるけど大丈夫なのか?など、こちらも外来でご質問をいただくことが多いので、書いてみました。

今回の参考文献はこちら。

●結核予防会 結核研究所
「BCG接種におけるコッホ現象への対応」
https://jata.or.jp/rit/rj/bcg_nagai_21.12.18.pdf

●日本BCG製造株式会社
「コッホ現象ってなに?」
https://www.bcg.gr.jp/general/bcg/bcg_1.html

●Uptodate
"Vaccines for prevention of tuberculosis"
https://www.uptodate.com/contents/search



【接種7日後~2ヶ月後】の赤み・腫れ・かさぶたは、正常。


BCGを打ってから、赤みが目立ってくるまで、普通はどれくらいかかるのでしょうか。世界的な研究報告を集め、総論を提唱してくれているuptodateや、また日本の資料を参考にまとめると、以下のようになります。

BCGを接種してから・・・
●7~10日後くらい:赤みが目立ち始める。
●1~2ヶ月後くらい:赤みが一番目立つ。5mmくらいの膿疱ができてくる。
●3ヶ月後くらい:赤みや膿疱などが引いてきて、痕になる。

※接種して2~3週間後くらいまでに、95%のお子さんで、接種部位の赤みや腫れが見られます。また同じ時期に、接種した場所から、液がでたり・かさぶたができたりするお子さんも、70%くらいでいます。

どうでしょうか。

外来で一番よく聞かれるのも、BCGを接種してちょうど1ヶ月たった頃です。「なんか赤みやかさぶたが目立つけど、こんなもんですか?」と。打ったワクチンに体がきちんと反応している証拠なので、大丈夫ですよ!とお伝えしています。



【接種7日以内】の変化は要注意。


一方で、接種して7日以内に何かしらの変化が出る場合は、要注意です。
「コッホ現象」のうたがいがあるから
です。

「コッホ現象」とは、BCGワクチンを接種した直後~遅くても7日以内に、接種したところに強い反応(赤み・腫れ・液だれなど)がでる現象です。これは、実はBCGワクチンを打つ前に、知らない間に、結核に感染していた可能性を示唆します。

日本では年間15,000人以上が結核を発症していて(人口10万人あたりの新規患者数が13.3人@2017年)、アメリカの4~5倍の数にもなります。赤ちゃんは結核に仮にかかっても、症状が出にくいこともあります。BCGワクチンを打った後の反応をみて、はじめて実は結核にかかっていた、とわかることもあるのです。

先進国でここまで結核が蔓延しているのも日本くらいなので、「コッホ現象」やその疑いについて、世界的・絶対的なガイドラインはありません。
しかし日本でのコッホ現象の報告例などをもとに、以下のような対応が提案されています。

●BCGを接種して1週間以内に、赤みだけでなく、シコリ・膿のような腫れや液・かさぶたといった変化がある場合は、定期的に受診して、様子をよく観察する。
●その後1週間くらいかけて、徐々に変化がおさまっていくようであれば、基本的にはコッホ現象ではなかった、つまり接種したことによる通常の範囲内の反応だった、と考えられることが多い。
●その後様子を見ても、変化が改善しなければ、ツベルクリン反応を行う=結核菌をふくむ液を皮膚に注射して、その皮膚の反応を見る。おそくとも、BCGを接種して2週間以内に行えると良い。もしツベルクリン反応が陽性=発赤が10mm(あるいは20mm以上)なら、過去にすでに結核菌に感染していた、つまりコッホ現象が陽性の判断になる。レントゲンなどの検査や、薬での治療にすすむ。


要は、BCGを打って1週間以内に(とくに赤み以外にも)皮膚の症状がでた場合に、さらに1週間様子を見る。その間に皮膚の症状が改善しない場合は、結核にかかっていないかどうかをちゃんと検査しましょうという流れです。

私たちも、打って直後~数日間は、ただの注射針による物理的な赤みなのか・実は過去に結核にかかっていてコッホ現象の前ぶれとして反応がでているのか、判断がむずかしい場合も多いです。迷われた場合は、電話などで症状をお伝えいただき、まず受診をする必要があるかどうか、ご相談いただければと思います。

上記の参考文献にもあげた資料の中に、実際の皮膚の赤みの写真ものっています。こちらも参考になればと思います。

●結核予防会 結核研究所
「BCG接種におけるコッホ現象への対応」
https://jata.or.jp/rit/rj/bcg_nagai_21.12.18.pdf

●日本BCG製造株式会社
「コッホ現象ってなに?」
https://www.bcg.gr.jp/general/bcg/bcg_1.html


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
12
■医師免許、日本小児科学会専門医、小児科オンライン(https://syounika.jp/)、IPHI 妊婦と子どもの睡眠コンサルタント、キッズ・マネー・ステーション認定講師 ■2児ボーイズの育児ブログ:http://sayokoshirai.com/
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。