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【13冊分】ぶっくめも 2024年4月〜6月

最近地元の図書館に行くようになった。実に5,6年ぶりだ。

ここで1つだけ声を大にして言いたいのが、「地元の図書館の満足度が半端じゃなく高い!」ということ。本がジャンル問わずとにかく充実していて、何度か積読を検索にかけて毎回【貸出可能】の文字が表示されるので、もはや驚いている。本の管理状態もとても良く、言う事なしなのだ。

国の福利厚生に心の底から感謝である。(ブックオフに入り浸らずにもっと早く図書館に行っていればよかった…!という後悔は、忘れることにする。)

これからますます本の虫が加速していく予感がしながらも、この3ヶ月間で読んだ本の感想を書き記していく。
(★は「また読みたいか」を独断と偏見により記したものですので、お気になさらず。)

火花:又吉 直樹

★★★★☆
ストーリーの面白さではなく、人物と人物を取り巻く情景の書き方に面白さを感じた。純文学チックな書き方な気がして、初めて面白さみたいな片鱗を掴んだ気がする。読みながら色々感じたことはあったのだけど、言語化できるほどこの感情を消化することができない。

奇跡の人 The Miracle Worker:原田 マハ

★★☆☆☆
ヘレン・ケラーとサリバン先生を題材にしたお話。視覚と聴覚が絶たれた子供とどう意思疎通をとるのか、が日本verで書かれていて、習得の仕方が面白かったし、改めて「概念を認識することが言語習得の初歩だ」という気づきを得た。

777 トリプルセブン:伊坂 幸太郎

★★★★★
殺し屋シリーズ第4段。やっと読むことができた…!マリアビートルの主人公的人物だった七尾(天道虫)のほか、たくさんの殺し屋が出てくる。この話には見えることだけで勝手にストーリーを作るのが人間だよ、というメッセージが込められているように思える作品。作中にエド、カマクラ、センゴク、ヘイアン、アスカ、ナラという6人組の殺し屋が登場するが、名前の付け方がペーパーハウスのトウキョウとかベルリンの名付け方に似てるなぁと思って親近感が湧いていた。

宙ごはん:町田 そのこ

★★★★☆
落ち込んだり悲しい心の隙間にじわっと入り込むような優しさをまとった料理が5つ登場する作品。感情と味ってリンクして記憶に強く残るよなぁと、自分の過去を思い出しながら読んだ。応援したくなる人々が出てて、登場する料理とともに心温まる。

新世界より(上)(中)(下):貴志 祐介

★★☆☆☆
ファンタジー要素強めのSFで、今の現実世界のような文明が滅びた後の、人間が呪力を持つ世界の話だった。
昔ながらの日本が舞台だったので、それでSFというのが目新しかった。

2020年6月30日にまたここで会おう:瀧本 哲史

★★☆☆☆
民主主義の社会では、以下が可能だとこの本は言ってた。自分の頭で考えて行動。

・まず言葉によって正しい認識にいたり
・言葉を磨くことでその認識の確度を上げ
・その言葉を使って相手の行動を変えていくことで仲間を増やし、世の中のルールや空気を変えていく

さくら日和:さくら ももこ

★★★☆☆
ゆるくてクスッと笑えるさくらももこさんのエッセイ。ただただお世話になった”新福さん”を思い切り褒め続ける「おめでとう、新福さん」はくだらないと捉えられることを思い切り楽しむ思い切り度合いにびっくりしながら笑えた。言い間違いしてしまう仕事関係者の方の話では、角刈りの定員さんに角切りステーキを注文しようとして、間違えて「角切りステーキお願いします」といってしまった、ちびまる子ちゃんは「ちびっこまるちゃん」だと思ってたなど、とにかく想像するとクスッと笑えるゆるさが好きだった。

19分間(上)(下):ジョディ・ピコー

★★★★★
高校生の時に読んだきりだったけど、このnoteに書いたように記憶に残り続けていたので読み直した。
ピーターが銃乱射事件を引き起こした引き金がなんだったのか、が明確には分からなかった。親の視点でも「あの時こういう言葉をかけたり話を聞いていれば今頃こんな事件を引き起こさなかったのか…?」と過去を振り返ることしかできないので、人を育てることの難しさを感じた。「いじめには立ち向かえと言っていいのか」「銃に興味を持った時にそれを許容していいのか」「いじめられている人がいた時に、学校側が仲裁に入るべきなのか」など、状況によって解が変わりそうな問いが多く登場した。今の解としては、とにかく子供が思春期や反抗期で会話ができなくなっても、ちゃんと見ていること、そして見てみぬふりをせずに関わっていくことに尽きるのではと思う。

くもをさがす:西 加奈子

★★★★☆
西加奈子さんがカナダで乳がんになった際の生活をエッセイで綴った話。とにかく前向きで、色んな人の助けを借りて進んでいく姿は勇敢だったし、その中でも迫り来る恐怖をありのまま綴ってくれるので、「西さんでも恐怖を感じるのか」と、ありのままの姿に救われる作品。カナダ人の医療関係者の様子やカナダの友達の様子など、カナダの様子を通して日本との対比をしてくれている場面がいくつもあり、「カナダは空間がとにかく広くてみんな穏やかにしている」「カナダの医療従事者は口調も服装もフランク」「カナダには購買意欲を必要以上に煽るような広告がない、代わりに薬物に対する提言など文化に対して広告が使われている」など、両国の文化の違いについても知れる。

世界でいちばんやさしい 教養の教科書:児玉克順

★★★★★
この間、高校の現代文の先生にあってお勧めしてもらった一冊。歴史の流れを辿ると、日々感じる違和感や焦りは社会的構造から生まれていたのだなぁと感じて、一歩引いて自分たちを取り巻く状況を見られる糸口を見つけられた。特に読み進めながら腑に落ちたのは、以下。

・歴史
大きな物語、小さな物語、アイデンティティクライシス
・言語
私たちはありのままの世界を自由意志によって生きているのではなく、言葉によって意味づけられた世界を、言葉によって作られたストーリーに則って生きていることになる。
・文化
一体感は同時に他への差別意識を生む
文化相対主義の問題点として、「どこまで文化の異なる相手を受け入れられるのか」という歩み寄りが求められる
多様性の世の中で、何か一つに固執することが否定されると、あるべきモデルが分かりづらくなる
・社会(権力vs.自由)
自由とは、制約や束縛からの解放であり、国家などからの制約を受けない権利を得る代わりに、自らの判断で自らを制約する責任と義務を持つ。

さいごに

本とは関係ないけど、最近初めて観た「ブラッシュアップライフ」がとても面白かった。

もちろん伏線回収も見事で伏線回収好きとしてはたまらなかったし、何よりも人生を重ねていく上で、「小さいことは気にせず、自分が抱えるミッションに向かって突き進むのみ」というあさみのマインドが全面に現れていて、「人生何週も重ねた人のマインドってこんな感じなのかあ」と勉強にもなった。笑

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