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20220221 「203回目くらいの失敗」

保育園の帰り、帰らないと言って途中で座り込む。やれやれまた始まった、こういう時どういう誘い文句が効くのか瞬時に頭の中であれこれ考える。

持参した息子お気に入りのトトロのぬいぐるみを遠くに投げるフリをしてみせた。「あ!トトロが遠くに飛んでっちゃった!」途端に息子の顔色が変わる。「トトロ!トトロない!」と騒ぎ出した。「トトロお家に帰りたくて先に帰っちゃったよ!早く帰ろう?」と言うと、「帰る!」と言って走り出した。

家につき、トトロはきっとリビングにいるはずだと、息子は靴を脱ぎ捨て部屋に駆け入る。その隙に私は、隠し持っていたトトロをこっそり洗面所に置いて「トトロお部屋にいないねぇ」と声をかけた。

振り向いた息子の顔は、(どうしよう、本当にいなくなっちゃった)と、悲しみに満ちた表情をしている。「おてて洗うところにいるかもよ!」というと一目さんに洗面所へ。

「トトロ…」

トトロがいるのを見つけて、安堵からか堪えきれずにわーんと泣き出す息子。あぁこりゃ可哀想なことしちゃったな、とようやくここで気づく私。

早く帰りたくていつもこんな姑息な方法しか思いつかず、後々こんなことするんじゃなかったと後悔するの、もうこれで203回目くらいか?

息子の涙は後から後から頬をポロポロ転がって落ちていく。無駄に綺麗な涙を流させてしまった。ごめんね。

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