#329 波乱の出発

高校時代から続く女子に対して意識しすぎて、上手く話せないという課題は浪人2年を挟み、克服出来ずにいた。
確かに大学に入学して、高校の時よりは少し女子とも話せるようにはなったが特に意識している女子とはどうしても上手く話せなかった。
それに加えて親しい友人が気になる子と部屋の奥に消えていったので余計踏み止まってしまった。
そうしたことから下手に起きているよりは寝ていて気付いていないと思われた方が自分も楽だと思ってしまった。
僕はこの日の昼過ぎにニュージーランドへ行く為に成田空港へ行かなければならなかった。一切の荷支度もしていなかったので、急いで帰宅して準備をする必要があった。
僕は朝が来て始発が動き出した頃、友人達に帰る旨を伝えて急いで駅へ向かった。
気になるあの子と全く話せなかった上に、知らない間に親しい同級生と気になるあの子がいい感じになっていたのがショックで動揺と一睡もせず朝方まで飲んでいた気分の悪さが一気に押し寄せてきた。
電車の中で寝落ちする訳には行かなかったので、気を張って最寄り駅まで起きていた。
折角のニュージーランド行きなのに気持ち良く、行くことができない気分だった。
家に着くと母に怒られた。大事なニュージーランド行きの準備もせず、朝帰りするとは何を考えているのかと最もだった。静かに説教を受けるには時間に余裕がなく、頷きつつ、急いで15分程で準備を済ませ、家を出た。
旅行や遠征の荷造りはいつも忘れ物なく、短時間で出来るという特技を持っていた。
今回の為に購入したスーツケースを引っ張りながら最寄り駅へと足早に向かった。
僕は何とか少しずつ気持ちをニュージランドにラグビーをやりに行くことができる喜びへと変えていくことができた。
初めてとなる海外旅行だったが、行く前の余韻に浸ることもなく慌ただしい出発となった。
このタイミングでニュージーランドへ行けるのも気分転換にもなり、良かったのかもしれなかった。
続く…

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