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(感想)嵐が起こらなければ、変わらない

(以下、筆者Xアカウントより転記)

『風よ あらしよ 劇場版』観賞。伊藤野枝の生涯を描いたテレビドラマの映画版。映画として観賞できたのは個人的にありがたい。テレビ版を見ていないので比較はできないが、野枝と彼女をとりまく人間関係を中心とした物語が、密度高く構成されているのだと思う。

女性の自由のために活動した野枝の悲痛な叫びが、願いという言葉では足りなくて、これはもう「呪い」なのではないかと感じさせられた。勉強したい、好きなことをしたい、男性のためではなくて自分のために動きたい。そんな願いを打ち砕く世界への悲しみと怒り。

何度も何度も人は間違いを繰り返す。多くの人を殺傷し、その反省をしているのかしていないのかわからないままに、また次の過ちを犯す。劇中、関東大震災直後の描写に心が痛んだ。救いを求める民衆の声を聞くこともせずに、自らの保身のために野枝達を殺害する憲兵。

まるで今じゃないか。被災者に救いの手を差し伸べないどころか、自分達の利益ばかり考えている政治家。そんな愚かな姿に、ずっと昔から怒りの声はあげられていたのに。やるせない。でも、それで黙っていてはいけないのだと思う。


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