2016年9月の記事一覧
(劇評)新世界にて願う
ヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』の劇評です。
2016年9月18日(日)13:00 本多劇場
各地にて上演中です。ネタバレはしていないと思いますが、情報を入れたくない方は閲覧をお控えください。
舞台上には、寂れた下町の商店街が表現されている。ヨーロッパ企画の舞台装置は、いつもよく作りこまれていて、開演前からその物語の雰囲気に誘ってくれる。それだけではなく、舞台にある物が、話の進行上重
(劇評)あるものからないものを
『おいしい おかしい おしばい わかったさんのクッキー』の劇評です。
2016年9月3日(土)15:00 金沢21世紀美術館シアター21
長い人気を誇る児童書『わかったさんのクッキー』が子どものためのプログラムとして舞台化された。台本と演出はチェルフィッチュの岡田利規、美術は現代美術家の金氏徹平、劇中歌をシンガーソングライターの前野健太が手掛ける。
会場に入ると、真ん中に円形の空間がある。そ
(劇評)新しい水の湧き出る場所
『太田省吾TRIBUTE』の劇評です。
2016年9月2日(金)20:00 金沢市民芸術村ドラマ工房・アート工房
2016年9月4日(日)15:00 金沢市民芸術村ドラマ工房
腕時計の秒針が動く音さえ聞こえるほどの、沈黙があった。その状態を制御できるのは、舞台上の演者だけだった。いや、観客もその空間を体中で支えていた。金沢芸術村ドラマ工房とアート工房に満ちた沈黙、それが『太田省吾TRIBUTE
(劇評)ちいさな、から、はじまる
100いまるまる『いまるまるのおどりの公演6 ちいさなうそをつく』の劇評です。
8月28日(日)2000開演 金沢アートグミ
演じられるスペースは、アートグミの板張りの床そのままである。奥の中央に正方形の大きな白い壁がある。この壁に、映像が映し出されて、パフォーマンスが始まる。
回る地球儀、めくられる本、スイッチを押される扇風機。部分だけの映像は、日常の風景を引用しているかのようだ。
しば