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岐阜視察記録① ~70年代から環境共生を掲げるオークヴィレッジ

 釜石地方森林組合での仕事の一環で1月8~10日に岐阜県に視察に行く機会にめぐまれた。
今回は主に広葉樹の活用がテーマ。
訪問したのは
オークヴィレッジ
・飛騨市、西野製材所、飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)
・岐阜県銘木協同組合
・小林三之助商店各務原営業所

 全体を通じて改めて感じたのは、岐阜北部の飛騨地方を中心に、岐阜県には木材を使う家具メーカー、木工職人や作家が今も多く、その集積=販売先が多数あるからこそ、その原料である国産広葉樹の製材や乾燥をする製材所、丸太の市場も活発だということ。さらに岐阜県立森林文化アカデミーや森林たくみ塾のような森林や林業、木材加工にかかわる人材育成機関もできて、(傍から見ると)すべてが良い形で循環しているように見えた。

 以下、備忘録を兼ねてそれぞれ視察させていただいた企業・団体の感想をまとめます。
●オークヴィレッジ
 1974年創業の40年以上の歴史を持つ高山市の同社は創設時から「環境共生の家具づくり」を掲げ、一貫して国産材のものづくりを続けてきたという先進的な家具メーカー。家具メーカーであるだけでなく、棟梁も社員として抱える建築部門も持ち、建築(施工含む)、家具、雑貨(小物)という木で作る大きなものから小さなものまでを手掛ける会社だ。

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 木材加工業の方には当然のことかもしれないが、例えば、机や棚の引き出しひとつをとっても、樹種の特色(粘りが強い、とか、硬い、細かい細工に適している、など)によって、底板、サイド、つまみ(取っ手)など部材によって違う樹種を採用していて、椅子でも座面はサワグルミ、足はブナ、細かいピンはカエデといった具合に使い分けている。

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(ほんの少しの木材も高い技術力をもってすれば高価な商品に) 

 環境共生や持続可能を謳っている企業だけあって、購入した丸太をほぼ無駄なく木取し使い切っており、高価で希少な大径材ではなく、50~70年生前後の広葉樹にしては比較的若い部類の木材でものづくりをしている姿勢も今日的だと感じた。


 対応してくださった佐々木さんのキャッシュフローや在庫管理についての経営感覚も学ぶところが大きかったほか、木材に精通し国産広葉樹の世界のパイオニアだからこそ、スタジオジブリや明治神宮などなど日本を代表する(と言うと語弊があるか……)企業や組織からも声が掛かるのだと思った。
 「合い見積もりを取られる時点で敗け」と明言する独自性と「木製品製造業ではない」と言い切るブランディング。一見するとマーケティングにたけているように見えるが、実際には木材の知識と高い加工技術があるからこそだ。
 取引先に関係する部分なので詳細は省くが、広葉樹の調達や製材・乾燥についても多くのヒントをいただいた。

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