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【1989年100日旅】41日目。モスクワ
1989年5月16日、41日目。夜の10時頃になってもモスクワ大の寮の部屋に妹が戻ってこない。まだ外は少し明るいくらいだったのだけれど、時間が時間だけに大騒ぎに。エレベーターホールのソファーで寝たり、立ち入り禁止の場所に入ったりといつも自由きままに過ごしていたから、捜索場所も多岐に渡り、家族で寮内を走り回った。
ソ連の治安は良いと言われていたけれど、安全対策が日本に比べて少なく、建物のあちこちに自己責任を要求する箇所があったから「穴に落ちて、出られずにもがいているのではないか」と考えた。また、治安が良いとは言っても全員がいい人とは言えないから、誘拐も疑った。
大騒ぎして知り合いの寮の部屋を片っ端から訪ねたが見つからない。知り合いの部屋を一巡し終わって、留守だった部屋をもう一度訪ねたら、日本人留学生のノリコさんの部屋でようやく見つけた。外が明るいから、まだ夕方だと思って遊んでいたらしい。大人に見えていたノリコさんも、今考えるとまだとても若かった。
そんな感じの41日目。旅は残り59日。
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