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うわー! めっちゃリアル! お仕事小説『言の葉ノ架け橋』レビューしてみた。


昨年の創作大賞で、ベストレビュアー賞を受賞された豆島圭さん。春ピリカグランプリ2023 で個人賞も受賞されています。すでに有名で、たくさんのファンがいらっしゃる豆島さんの感想文を書かせていただきます。

豆島さんの『言の葉ノ架け橋』を最初に目にしたとき、読んだら辛くなってしまうのではないかと、懸念していました。

というのも、小説の舞台が不登校児童が通う「適応指導教室」だからです。娘はその「適応指導教室」に通っています。リアル過ぎて、近づいて良いのか迷いがありました。

だけど、読み始めたら全然そんなことはなくて、めちゃくちゃおもしろかった! 実際に、「適応指導教室」ってどんなところなの? それを知りたい不登校の親の情報源にもなるのではないかと思いました。情報源としても、物語としても秀逸な作品、『言の葉ノ架け橋』を紹介させていただきます。

あらすじはこちら

念願だった小学校教員を数年で辞めてしまった門馬希生もんまきいは、現在、不登校児が通う市の適応指導教室『かけはし』に勤める。祖母の飼っていた老犬、パグのウメ子は「誰かの後悔している一日を食べて、なかったことにしてくれる」と生前の祖母は言っていたが、希生は信じていない。

ところが誰から聞いたのか噂を信じる人々が「不登校のきっかけとなった息子の日を」、「家族に暴言を吐いた日を」、「彼女と別れた日を」、食べて欲しいと頼んでくる。

ウメ子に不思議な力があるのか。希生は、どう解決していくのか。希生先生と犬のウメ子、お喋りな「ヨウちゃん」たちが織りなすハートウォーミングな、お仕事小説。

言の葉ノ架け橋【第1話】あらすじ

このあらすじにあるように、面白い設定なんです。パグのウメ子や、ヨウム(大型のインコ)のヨウちゃんが出てきます。しかも、ウメ子は「誰かの後悔している一日を食べて、なかったことにしてくれる」。ほんとに? 舞台となる「適応指導教室」の背景はしっかりしていて、リアリティーがある完成度の高い小説です。

わたしのように、不登校の親が読むから共感できたんでしょ! そう思われるかもしれませんが、そんなことはなく、ハートウォーミングなお仕事小説です。

小説を読み終えたら、すっかり豆島ワールドのファンになっているでしょう。とにかく、一つ言わせて! セリフがめっちゃリアル! 

「学校の別室登校なら給食も出るし。ああ、給食費はずっと引き落とされてるんです。すぐ戻れるように。なあ?」

あー、あるあるなんです。学校にいつでも戻れるように娘の給食費をずっと払い続けていました。

「学校に行けるなら行けって言ったんですよ。ここまで妻が車で送り迎えするのも大変なんです」

これも! 我が家の場合は、わたしが仕事を辞めて、送迎をしています。

「本人が、何かをしたいと思うようになったら、そのために必要な行動や勉強を自分で進んでするようになります。その時でいいじゃないですか」

うわー! まんまです。娘はしばらく家で過ごしていましたが、その期間に休んだお陰でエネルギーチャージできました。現在は適応指導教室に通いながら、テキストで勉強を進めています。そうそう、親は何もしていないけど、自ら必要な行動をしている。明日は高校の見学に行きます。どうしてわかるんだろう? すごーい!


セリフのリアルさも良いのですが、パグのウメ子が後悔している一日を食べてくれる設定が良くって、なぜなら、誰しも後悔している日、消したい一日ってあります。それを無かったことにできるなんて夢のようだなと。本当にウメ子は、後悔している一日を食べてくれるの? 代償もなしにそんな力を使えるのでしょうか。それは、ぜひ読んで確認してみてくださいね〜

セリフにリアリティーがあるから、きっと豆島さんは、現役の教師だー! と思ったあなた、『残夢』読んでみてください。あれ? 豆島さん教師じゃなくて警察官? そんなふうに思うはずです。

こちらは、本格ミステリー。本当に同じ人が書いたの? 多才すぎん? 一気に読んじゃった。この話はまた違ったおもしろさです。豆島さんの引き出しの多さに驚きます。

noterさん必見! 創作大賞のイベントレポート。やっぱりオフラインで得るものは大きいようですね。わたしも次回こそは行ってみよう〜

ベストレビュアー賞を目指しているnoterさんに、オススメ! こちらもぜひ〜


#創作大賞感想


秋には干し芋を買って、12月までに新しい手帳を買いたいです。