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誰かにとっての親切は、他の人の親切とイコールじゃない

夏休み、子供を連れてイオンに行った。

フードコートでソフトクリームの列に並んでいると、前に買った男の子(小2くらい)が買ったばかりのソフトクリームのアイスクリームだけを床にベチャッと落としてしまっていた。

持ち手のコーンの部分だけは手元に残り、見事にソフトクリームのアイス部分だけが床に顔をつけ、無残な姿になっていた。

男の子は30代くらいのお母さんと一緒に来ていて、「なにやってるの!?」「ボーっとしているからでしょ!」とお母さんに叱られていた。

ソフトクリームを男の子に渡した店員さん、アルバイトの女子高生は居た堪れなくなったようで、素早く2つ目の新しいソフトクリームを作って男の子に渡すと、男の子はホッとしたと同時に目を輝かせた。

店員さんはソフトクリーム作る側からお客が並んでいる側に周り、落としたソフトクリームの残骸も素早く掃除して見事に床はピカピカになった。

1分もかからずに、あっという間にキレイになった。

手際の良さにも私は感心していた。

店員さんは「私の渡し方が悪かったのかもしれないから。」とお母さんに気遣うように話していた。お母さんは店員さんにお礼を良い、フードコートの座席に男の子と戻っていった。男の子もお母さんから叱られなくなり、ほっとしているようだった。店員さんは、新しいソフトクリームを男の子に渡したが、その分の料金は受け取っていなかった。サービスしたのだろう。

私は一連の出来事を感心した目で見ていた。良い子だなぁとホンワカした気持ちで見守っていた。掃除を終えた店員さんはフードコートのソフトクリームを作るポジションにいつの間にか戻っていた。

手を洗い、アルコール消毒もして、店員さんは注文を受けると再び、ソフトクリームを作ろうとした。そうしたら、洗い場にいた店長さんらしき人が素早く駆け寄ってきて、店員さんに注意をしていた。

内容はこうだ。

「勝手な自己判断で、サービスをしちゃダメ。」

「サービスでソフトクリームを渡す前に、店長に相談してほしかった。」

「これからは勝手なことしないでね。」

一瞬驚いてしまった。と同時にそういう見方や考えだってあるんだなぁとも。店長さんの意見も一理ある。いちアルバイトが勝手なサービスをしていいのかという視点。でも、なぜか私の心はモヤモヤした。店員さんは店長に「勝手な事をして、すみませんでした。」謝罪し、再びソフトクリームを作り始めた。

ようやく私の番にきて、ソフトクリームを店員さんから受け取った。接客は常に感じが良かった。コロナ禍だから毎回きちんとアルコール消毒もしていた。店員さんとって、正しい行いをしたはずなのに注意をされて少し落ち込んでるようだった。声も暗かった。社会の洗礼を受けてしまった女子高生の店員さんに、心の中でエールを送った。



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