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踏み出した先にある人生の勲章

こんにちは。ヨガインストラクターの吉田紗弥です。9月に入り、少し朝と夜の気温が前より低くなってきたように感じます。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今回もヨガの哲学のお話から入っていきたいと思います。

今から約2000年前に成立されたとされるヨガの根本経典「バガバットギーター」には私たちの生活をより良くしていく賢者の教えが記されております。
その中から一説ご紹介いたします。

「慄くべきではない。ダルマに基づく戦いに勝るものは他にないから。」

このバガバットギーターという書物ですが、日本人はあまり知られていませんが、聖書やコーランの次に世界中で読まれている叙事詩となっており、戦士であるアルジュナと神様であるクリシュナの二つの会話形式のお話となっております。
そしてこの叙事詩の最大のテーマは「ダルマの遂行」というのがテーマになっており、ダルマとは日本語で「義務」と訳されます。私たちがやるべきこと、使命などと意味付けされ、戦士であるアルジュナは自分の使命の大きさに苦悩しますが、神様であるクリシュナが苦悩するアルジュナを励ましていくお話です。

 ヨガではそのダルマの遂行、つまり「経験を積む」ことが大事だと教えてくれており、経験を増やし世界とのつながりを作っていくことが自分自身の可能性を広げていくことになると教えてくれています。
 経験を積むことは、時として、まだ見ぬ世界へ飛び出していく勇気が必要となります。その勇気を出して飛び出していくことで私たちの知らないさらにワクワクした、美しい世界が広がっているはずなのです。
例えば、幼稚園から小学校へ入るとき、そして小学校や中学校へ進学するときなど大きな緊張や不安があったかもしれません。また踏み出した時も大きな抵抗がそこにはあり、踏みとどまり、逃げ出しそうになるかもしれません。けれども一歩勇気を出して新しい環境へ身を置いたとき、逆上がりができるようになったり、生涯の親友ができたり、熱中できる部活ができたりなど自分自身の可能性を開いていくことができると思います。
 このようにこの一説のクリシュナが言うように、経験の中で時には大きな恐怖心が覆いかぶさってきても、思い切って大胆に行動し、まだ見ぬ世界へ足を踏み出したとき、人生の大きな可能性を広げていくことができるはずなのです。

私のお話になるのですが、以前ホテルの仕事についていたのですが、特に私の勤めていた外資系は流動的で、転職も当たり前な環境にあったので数年経ったところで自分の経験を活かせるポジションや職はないだろうかと、考えるようになり、現場ではなく、ホテルスタッフを支えるアシスタント業務や秘書業務などに興味を持ち始めました。

そんな時、先に別のホテルに就職した同年代の友人から連絡があり、その友人のホテルで似たような職種があるとのこと。まずはマネージャーと話をしてみない?と言われます。そこから転職に必要なパソコンのスキルなどを取得し、思い切ってそのマネージャーと会うことになり、お会いしたそのマネージャーの仕事への熱意や振る舞いに感動し面接し入社を決断しました。

新しい一歩を踏み出し、ワクワクしながら会社に出勤しました。
そして転職したはいいものの、そのポジションが現場とアシスタント業務を兼ねていたため、慣れないデスクワークと現場での接客に失敗ばかりを繰り返してしまいます。
また笑顔で迎えてくれた女性のマネージャーは、愛情もある一方でめちゃくちゃ仕事に厳しくストイックな方で、怒られると何も言えず、ただただその上司の前になると怯えて仕事している日が続いていました。
そして1年少し経ったところで、私を紹介してくれた友人が、急に別のホテルに転職することとなったのです!「私を売ったな!??」と思いつつ彼の応援をしながら、そのホテルに残っていたのですが、そこから人事部長が変わったり、料飲部のマネージャーまで代わり、でホテル全体が大きく変わっていきました。
それと同時に転職を考えるメンバーが増え、どんどん人が辞めていくようになりました。

部門のトップが変わると、急に仕事内容がガラッと変わります。細かいメニュー作成や、サービスマニュアルの作成、新しいシステムの導入などで次から次へと新しいことばかりで慣れない作業の繰り返しでした。現場とアシスタント業務を兼ねていた私は、ある日は、コピー機の調子が悪く印刷ができずあたふたしていると、「遅い!!」と上司に怒られ、締切迫る書類があるにもかかわらず、「現場は荒れているから!」と現場に呼ばれ、そしてこれもあれもといろんな書類を忙しい現場スタッフに代わって作成し、またある日には上司の使っているスーツのクリーニングを百貨店へ出しに行くという、まるで「プラダを着た悪魔」のアンハサウェイになったり・・(「プラダを着た悪魔」※雑誌編集長を上司に持った主人公が膨大な仕事をこなしファッション業界で奮闘していく映画)

新しいアシスタント業務というポジションに挑戦したものの次第に「これやってるの雑用じゃん!」と不貞腐れるように仕事をしていました。こんなんだったら元の会社で秘書業務のポジションが空くのを待っていてもよかったかもと後悔し始めました。
私のイメージのアシスタントのデスクワークはデスクの中にお菓子があってそれを食べながら、ゆるりとしたスリッパを履いてゆっくり仕事して定時に上がるというのは夢の中の夢でした。。

けれどもホテルは部屋数も少なく小規模のホテルだったので、私のポジションでは、仕事上、現場とバックヤードを行き来しているうちに、ホテル全体のスタッフと多く交流を持つようになります。料飲部のマネージャーやヘッドシェフ、また現場にいるキャプテンや経理のスタッフと仲良くなり、最初戸惑っていた仕事も次第にやりやすくなってくるのを感じました。

ある日従業員食堂で休憩していると、ホテルマネージャーと共にいろんなスタッフが私を囲み「おめでとう!」ケーキとレターを持ってきたのです。それはなんと「Employee of the year 」その年の最優秀従業員賞を受賞、そしてお祝い金として現金10万円分をプレゼントしてくれたのです!!
驚きのあまり、何が起きたかわからずあたふたし、拍手されるのが恥ずかしいという気持ちでした。
 今まで新しい仕事ばかりであたふたし、迷惑をかけたこともたくさんあったにもかかわず、こうして笑顔でお祝いしてくれるスタッフに感謝の気持ちが湧き、この賞はスタッフ全員のご厚意だと感じました。
転職し、辛いことばかりだと思っていた私は、実はこんなにも暖かい人たちに囲まれていることに気づきこの会社で働いていることに誇りを持てたのです。そして今インストラクターとして別の道に進んではいるものの、そのホテルスタッフの交流はまだ続いており、大切な繋がりを築けたと感じています。

私たちは、新しい経験を踏む時、時に大きな恐怖心や緊張で足がすくみ、前に向かって進むことを諦めてしまいそうになる時があります。そして進んだと同時に大きな抵抗を感じます。
けれどもその一歩を踏み出し、そこから自分自身の許容範囲を超えていく時、私たちは大きく成長し、人生の可能性を広げていくことができるはずです。

まるで広大な宇宙を目指し、大きな抵抗を振り切って宇宙から美しい地球を眺める宇宙飛行士のように、私たちも新しい、道なる世界へ向かって自分自身の可能性を広げていくことにしましょう!


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