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涙の黒手帳がくれた笑顔

こんにちは!ヨガインストラクターの吉田紗弥です。秋も深まり芋、栗、かぼちゃなど秋の味覚が美味しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日もヨガの哲学のお話から入っていきたいと思います。今から約2000年前に成立されたとされるヨガの根本経典、「ヨーガスートラ」には私たちの生活をより良くしていくための賢者の教えが記されております。
その中から一説ご紹介します。

「否定的想念によって妨害されたときはその反対の肯定的考えが念想されるべきである」

否定的想念が念想されるというのは「ネガティブな思考になっているとき」です。こういうときはその反対の「ポジティブな考え」が浮かんできるべきである、とヨーガスートラでは教えてくれています。
簡単にいうと「ポジティブシンキングしていきましょう」という教えです。

私たちは日常の中で、うまくいかないことが続いている時や、頑張っていても結果がなかなか出ないときどうしてもネガティブになって「自分はあの人よりできていない」「自分はまだまだだ」「自分は力がない」と悲しんだり、嘆いたり、自信をなくして自分を過小評価してしまう時があります。
けれども、考えを変えて「昔の自分だったらどうだったか」「今の自分がいるのは過去のあの時頑張っていた自分があるからだ」とどう頑張ってきたか、今どこができるのかと、自分の良い面やできたことを思い出すことでまた自信を取り戻して前に進むことができるかもしれません。

例えば、新入生の時は国語や算数が苦手だったとしても、小学6年生の卒業では、スラスラと本が読めたり文章が書けるようになっていたり。また、新入社員の時は失敗ばかりだった業務も2年目、3年目になると無意識にもできるようになり今度は自分が教える立場になっていたり、私たちは「今なかなか成長できていない」、とか「なんでうまく前に進めないんだろう」と思っていても過去の自分、努力していた昨日の自分と比べるとすこしずつでは成長できているはずなのです。
ですので何か自分の目標や夢に行き詰まり、ネガティブな思考から抜け出せない時、できたことや今までの自分の成長を思い出し、ポジティブに思考を変えていくことが、心が躍りワクワクした人生を歩んでいける秘訣だと思うのです。

私の話なのですが、私は小さい時からとても泣き虫な子供でした。母親がピアノの先生だったのですが、母親は特に怒ることもなかったのですが、自分がうまく弾けないと母の前でグスグスと泣いたり、父親が算数の宿題を教えてもらっている時もわからなかったらグスグスと泣いていました。そしてその性格は成長してもあまり変わることなく、彼と喧嘩するたび彼氏のまえで泣いたり、めんどくさい彼女で彼氏を呆れさせることもしばしば。
そして、社会人になっても泣き虫はあまり直らず、先輩に怒られ泣いたりしていました。
社会人になった時私はホテル業界で働き始めたのですが、レストランのレセプションという役割を担うことになりました。このレセプションはお客さんの来店時とお帰りが重要な役割で特にお客さまのお帰りなどで満足されたかそうでないかがはっきりしています。
また電話対応なども臨機応変さや丁寧かつスピード感がないとお客様の満足度にはつながりません。特に星付きホテルだったのでお客様の期待値はぐーんと高いので、そのホスピタリティーがお客様の期待値より下がってしまうと即、クレームに繋がります。

当時私の勤めていた和食レストランは常連のお客様が多くおり、お客様の顔と名前をおぼえていないとご機嫌を損ねるお客様の多数いらっしゃいました。
一日に何回か、かかってきた電話に出るのですがほとんどが優しく礼儀正しいお客様ばかりなのですが、時として最初から電話口で怒っていたりご機嫌斜めの方に当たると、後から悲しさで泣いたり、マネージャーや先輩を困らせていたりしました。

その中で今田さん(仮名)という男性の常連のお客様がおり、そのお客様は電話に出ると名前を名乗らず真っ先に「マネージャーいる?」と聞いてこられる方でした。
転送に手こずるとすぐにお怒りになったり、マネージャーが電話に出ないと声を大きくし何度も電話越しに怒られ、その度に泣くのもしばしばでした。
直接来店されても、私たち新人や若手の社員には目も合わせてくれず、お食事やお会計がちょっとでも遅れると顔を真っ赤にして怒られるのです。

また他の常連のお客様も、このレストランを利用することに慣れているので、私が席にご案内する前に、彼らのお気に入りの席にさっとすわってしまい、予約の方の席がなくなるという事態になり、先輩に怒られることもしばしば。

そのような状態でお客様アレルギーとなり、泣きたくない気持ちもあり、自分でお客様手帳を作るようになりました。無印の黒い小さな手帳に、
「Aさん すぐ怒る アディダスのスニーカー」
「Bさん タワマン住んでる パーマ」
「Cさん メガネ 髪薄い ダルマ」
などと常連のお客様の名前と特徴を書いていくのです。
電話や来店時ですぐ〇〇さまと案内できるように、自分の手帳に書き入れる作業とシステムの予約履歴にも「今田さん お茶はほうじ茶だけ 左利き」などと他のスタッフが後から確認してわかるようにメモを残していきました。

そうしているうちにこのお客様アレルギーはいつしかなくなり、お客様の顔と名前も覚えさらにお客様と仲良く話すこともできるようになっていったのです。レストランの中で一番お客様の情報をもっていると言っても過言ではないくらいになっていったのです。

そして後輩ができ、入社2年目のレセプション若手社員とマネージャーと三人で話をした時、マネージャーが笑いながら「10年前はよくこの受付で泣いてたよね〜」という会話になりました。
たまに泣いているその若手社員からすると、私が泣いていたことが想像つかなかったのかびっくりしていましたが、私も今振り返るとあの頃は本当に良く泣いていたなぁと懐かしく思い出され、昔の自分が愛おしくなるくらいでした。

そして今は姪っ子や甥っ子の運動会をの動画を見て泣いている私です。。

私たちは、今自分の夢や目標に向かっている時、なかなか結果を出せず、悔しい思いをして、自信をなくし涙することもあるかもしれません。
けれど見方を変え、一週間前の自分、1年前の自分、そして10年前の自分を振り返った時、自分が大きく成長していることを思い出すことができるはずです。自分の成長を振り返った時、また明日から新しい自分に成長していこうと思えるかもしれません。

まるで悔しい思いをしながら必死になって練習し、運動会で笑顔いっぱいになって走る子供たちのように、私たちも自分のできたこと、できることに目をむけ涙を笑顔に変えていくことにしましょう!



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