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旅のいいところは覚えてないこと!

私が旅をして覚えてること。
インドでカレーを食べた後にコンタクトレンズを外して涙が止まらなかったこと。ラスベガスのトイレの床の上で迎えた2019年1月1日。南イタリアのホテルのプールパーティーに忍び込んだこと。ニューヨークのエアビーで夜中にトイレのドア開けたら中で知らない人がセックスしてて慌てて閉めたこと。フィリピンのタクシーでぼったくろうとする運転手と2時間対決したこと。二日酔いでサーフィンした朝5時湘南。ホームレスからウィード買って理由もなくマリブからサンディエゴまでぶっ飛ばした夜。

私は京都で生まれ、16歳でノースカロライナ州に住み、京都に帰り、17歳でひとり旅をイタリアでデビューし、次はLAに住み、その間海外5カ国を旅し、また京都に戻ったと思いきや、次は東京に住み、その間国内10県を旅し、最近鎌倉に引っ越した。

人生生きてる中で、大抵のことはどんなメリット、デメリットがあるのかあるのか前もってわかるはず。
ジムに行ったら筋肉が増えてスリムになるとか、語学のクラスをとったらその言語が上達するとか、ネットフリックス見だしたらその後三日間は寝不足になるとか。

けど、旅って違うんだな。

旅も大抵どうなるかは把握できる。けど思ってもないことがついてくるのも旅だ。自分が知らない世界を教えてくれるだけではなく、自分が知らないことすら知らないことも教えてくれる。

旅をしてる中で、素晴らしい景色を見たり、自然に触れ合ったり、文化や歴史についてたくさん学んだ。けど、旅の中で学んだ一番大切なことは、自分が思ってもなかったことを知ったことだ。

例えば、自分はひとりで大丈夫だと思ってなかった。けど多分フィリピンを旅してた時大丈夫だと気付いた。
私は昔、自分がひとりで長い時間いると、自分は何かがおかしいと思っていた。みんな私のこと嫌い?私って友達いなかったっけ?そんな焦りにいつも人と一緒にいないといけないと思わされていた。パーティーにできるだけ多く参加したり、たくさんの人と連絡を交換して関係を保ったり。
けどそれがアジア旅をしている時あたりに急に止まった。どこでいつかは正確に覚えていないけど、半年ぶりに大阪に帰る飛行機の中で「あ、ひとりでも大丈夫や」と思えた瞬間があった。

「気にしない」ことを学んだのも多分アジア、それかイタリアかな?あまり覚えていないけど。それまでの私は時間厳守は当たり前、遅れてくるやつあり得ない。人間は目的があって生きている。だから今の時間はなんのために行われているのか常に知りたいタイプだった。
これまたどっこい。ある日気にしなくなった。自分の感情的なエネルギーは限られていることが明白になって、それは大事なときのために取っておいたほうがいいということを学んだ。だから10分遅れてくるバスに対して怒ることもなく、どうでもいい話をしてる友達に「今なんのためにその話してるの?」と聞かなくなった。(今思うとまじうざいやつだったね私w)

これもいつかは覚えてないけど自分の感情を言葉で表現することを学んだ。これはLAに住んでたときのことかな。多分。
それまでは、相手と違う意見を言うのが怖かった。相手を怒らせてしまうかなとか、居心地悪くさせてしまうかも、とか言う理由で。
けど今は、自分の意見を言葉で伝えられるようになった。やり過ぎくらい(笑)いま母は私のことを「長所は正直なところ。短所は正直すぎるところ。」と言うくらい。

自分の異なる人生観、意見を持つ人を受け入れることもいつ始めたんだろう。ノースカロライナの高校時かな?言葉が伝わらない、理解できない状況の中でどうやって人とコミュニケーションを取るか、これもいつの間にか学んでいた。

こうやって旅の中で学んだことって、いつ、どこで、どんな風に、誰といた方、とか思えてないんだよね。
写真だってないし、ただ、学んだことは確かなだけ。

振り返ってみると、自分が気づかないうちに「気にしない」ことを学んでいた。ひとりでいることを気にしない。遅れることを気にしない。他人のスケジュールなんて気にしない。

記憶っているのは自分が気にしていることから生まれるもの。ローマで食べたカルボナーラ。私これに関してはとても重要だと考えます。だから写真もとるし思い出も鮮明に残っている。
けどそのカルボナーラが重要ではないと考えるとしたら、写真なんて撮らないし、翌日には忘れてるただ胃袋を満たした昼食になるだけ。

自分の旅で撮った写真はグーグルフォトにしっかり残っている。ビーチで寝転ぶ自分。友達とお酒持ってはしゃぐ自分。写真って素晴らしいしそのときの記憶だって素晴らしい。

けど人生なんでも同じように、旅の思い出だって自分の記憶からだんだん消えていく。高校生の時友達といるのが楽し過ぎてこれがずっと続くと思っていたときのように。最高な時間を過ごした旅の思い出だって時間が経つとともに薄れていく。その時人生を変える大きな経験に見えたとしても今はその時ほど影響はないかもしれない。思い出してにやにやする程度でしょ?

旅っていうのは素晴らしいことだけど、それは自分自身じゃない。自分が経験すること。自分が大切にすることでもあり、友達に伝えるネタにもなる。

けど、自分自身ではない。

覚えている思い出、覚えてない思い出、自分の失敗に対する慰め、支えてくれている人への感謝、自分自身を信頼するスキル、これら全部旅が与えてくれる贈りものな気がする。これらが全部自分で自分が全部これら。

写真として残らないものが、ずっと自分の中にい続けるはず。



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