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平戸を走る 3

 夕陽を追いかけるように生月島を抜ける。
 平戸に宿泊するのは初めてのことだけど。
 実はよく訪れていたホテルに入る。平戸海中ホテルという、ナニコレ世界百景で紹介されたことのあるホテルだ。
 娘が幼い頃から、よくこの温泉に入っていた。
 この写真はその当時のもので、電飾のなかで多くの魚群が悠々と泳ぐ姿が見えた。その光景を間近に見ながら、身体を洗うという異空間がある。
 残念ながら今回は水槽が清掃されたものの、お魚の数がぐっと減っていたし、電飾もなくてLEDの味気ない照明になっていた。
 いや。それって大浴場に対する不満じゃないよね、普通。

この写真は2013年のもの

 このホテル、料理の評価が高かった。
 なのでちょっと夕食をグレードアップして愉しんだ。
 お刺身も美味しかったが、平戸鮑の踊焼きと平戸牛の陶板焼きは絶品でした!こんな素材のみの旨味で勝負できるほど、新鮮な食材に恵まれている。
 そうなんよ。
 長崎の食材の旨さは格別と思う。

 しかし、なんだわ。
 世の中、ままならないもんで。
 夜半に寝苦しくて何度か目が覚める。
 体調がおかしい。ベッドから立ち上がると激しい眩暈に襲われる。部屋が渦巻きのなかにいるようだ。
 ああ。
 これ。
 以前にストレスで睡眠障害の頃にあったメニエルというやつか。
 三半規管が過敏に反応して、視界が酩酊した時のそれになっている。
 ふらふらとトイレまでいって、せっかく頂いたご馳走を全て水に流してしまった・・・味わえたから、いいかと慰めるしかないね。

 しかしながら。
 バイクでここまで来ている。
 まだ吐き気の残る身体を引っ張って、早朝から露天風呂に入る。
 身体を温めて血流を循環させないと。
 それでも朝食は喉を通りにくい。
 きっと、美味しいんだろうけど。
 何とか眩暈が治まってきたので、バイクに跨ってキックで始動した。


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