夏は駆け足で
離島の秋は虫の音が知らせてくれる。
断熱効果のない薄っぺらい掃き出し窓の向こうから、鈴虫の群れが交響曲を届けてくれる。
それでもうエアコンには頼らずに、自然風に包まれている。
海風が吹き付けるので、陸地と比べて数℃は低いようだ。
お盆の帰省客も観光客もぐんと減って、これほどのビーチにただひとりで泳いでいる。それもあと一週間くらいが頃合いだろう。
透明度が上がった海は、生き物が溢れている。
幻想的な光景をじっと見ている。
先日は産卵するペアの姿を追っていた。
生物は連鎖するものであるから、死骸に集る小魚たちも当然だが目に入る。
ようやく美しくクラゲが撮影できた。
これは毒性のないもので安全だが、触手をもった危険な奴も多くなった。そろそろ潮時かと思う。
何度もクラゲを撮影するが、どうにも現物の透明さが伝わりにくい。
砂地にはハコフグがよく寝ている。
水温が温かい層に触れて、下が砂地なら大抵はそこにいる。
かつて私の影がさすと驚いて逃げていたが、最近は慣れてきたのか、無害認定をされて平然と惰眠を貪っている。
去り行く夏の残り香を拾い集める初秋の日々だ。
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