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異世界転生

 離島に住んで1年数ヶ月。
 郷里を訪問するが、まるで異世界転生した気分。
 見慣れたはずの街の表情が変わっている。何かが違う。そして今回も馴染みの銘店に貼り紙があって、シャッターが閉ざされていた。
 
 この違和感は情報量の多さだと思った。
 以前はネタバレにならないように、観たい映画の前評判やその予告映像を見るまいと、相当の努力を裂いていた。離島にいてテレビも見ない生活になると、それが全く入ってこないのは助かった。
 街中に溢れる情報の洪水というのは、その渦中では気づくことはない。
 耳慣れない音楽も届いてくる。
 見慣れない商品や料理が並んでいる。
 その渦の中に異世界があるんだなと思った。

 JRの輪行でフェリー便のでる佐世保に戻って、海を渡る。
 夜半に真っ暗の自宅に戻り、灯りを灯して暖をとる。そこでほっとして、いつもの寝床で深い睡眠を取ると、いつものように鳥の声で目が覚める。
 異世界は果たしてどっちになるのか。
 大晦日の朝に、ひとりで苦笑してしまう。


 

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