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恋愛掌話

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ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。
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2022年2月の記事一覧

海猫屋のドリア

 茜空が幾何学的に割れていた。  林立するコンテナの群が連なり、夕映を黒くさえぎっていた…

百舌
2年前
5

亡霊

 昨年に見た夢なのですが、今日にお話しようと思います。  例によって私の夢はとてもリアル…

百舌
2年前
5

ON AIR

 背中で触れてきた。  僕ははっと息を飲み、キーボードを叩く指が止まった。背中にかかる重…

百舌
2年前
10

流転

 幻の一杯がある。  父親の遺した墓を、月命日に掃除に行ったご褒美に食べていた。  田舎に…

百舌
2年前
5

コバルト・ブルウ

 コバルト・ブルウのクーペ  V型6気筒のエンジンを積んでいる。猛獣のように顎を低くして、…

百舌
2年前
6

ROOF HOUSE

 湾岸戦争中にぼくはマレーシアにいた。  マレーはイスラム教を国教としていて、その当時は…

百舌
2年前
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舞桜

 桜が散っている。  私のロードスターは、高台のパーキングに停まっている。  ふたり乗りのちっぽけなロードスター。  オレンジに塗られたボディに、漆黒の布製の幌が掛かっている。  急勾配の傾斜の途中に、巨人が指でつまんでこしらえたような平地が、虚空に向かって突き出している。そのパーキングのへりに平たく張りついている。  仕事がかさんでいる時期には、帰宅が深夜になることも、ままある。  エンジンの鼓動が止まり、車外に出ると、眼下には夜景が広がる。星が吹き散らされたような眺めだ。