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3月に観た映画 10選

 Twitter以外のこともちゃんとやっています。映画を観たりとか……

 3月に観た全ての映画は下記の記事を読んでください。第5週のやつは4月のやつと合算しますが、3月は全部で35本観ていたようです。『ソウシリーズ』を今月で全部観終えたわけですが、最新作になるにつれてだいぶ荒波を打つように波打つ変なシリーズだったなって。

観た映画


『キューブ2』
『キューブ ゼロ』
『アングスト/不安』
『エルム街の悪夢』
『ウィッカーマン』
『DAGON ダゴン』
『テストN』
『スプリー』
『SNS-少女たちの10日間-』
『インスマスを覆う影』
『金融腐蝕列島〔呪縛〕』
『1408号室』
『ダークシティ』
『ザ・ブルード/怒りのメタファー』
『ダークハウス』
『RUN/ラン』
『アイデンティティー』
『屋敷女』
『ピエロがお前を嘲笑う』
『ソウ4』
『ソウ5』
『ザ・バニシング-消失-』
『閉ざされた森』
『[リミット]』
『イレイザーヘッド』
『ソウ6』
『ソウ ザ・ファイナル』
『ネバーエンディング・ストーリー』
『スパイラル:ソウ オールリセット』
『隣の影』
『砂上の法廷』
『ビートルジュース』
『THE GUILTY/ギルティ』
『ジョニー・ハンサム』
『unknown アンノウン』

10選

『アングスト/不安』


 オーストリアで実際に起きた殺人事件とその犯人をモチーフにして制作されてる猟奇映画。起きてしまった殺人をフィクションにしてハッピーエンドにしようとかそういう試みは一切なく、ただただ本当に殺人犯が家に押し入って惨殺して逮捕されるまでが克明に描かれて、全体を通して殺人犯による自分の精神状態を淡々と描写していくモノローグと共にストーリーが進行していくので、ウッッッワとなるシーンでも最高に幸せみたいな独白がされる箇所いたるところにあり、ひたすらに気分が落ち込んでいくだけの作品でしたね。
 出所して即「計画立てたからやるぜ!」とルンルン気分でターゲットを探したり、乗ったタクシーの運転手を靴紐でキルしようとする姿は得体のしれないものに恐怖するのに近いものがあったね。オススメはしないけど……。猟奇殺人鬼を扱った作品としては良かったよ……
 あとこう、もっと殺人の手際や計画がスマートに行われてたら、観ていても「ああこれはそういうフィクションなんだな」と引いた目で観られたかもしれないんだけど、「俺は完璧にやってるぜ」みたいなモノローグでも実際は殺人犯の手際がかなりもたついてるように描かれていて、その乖離が余計に変なリアリティを生み出し、そういう人間による犯行ってこうなんだろうなぁということを、説明とかはされないんだけど観ているだけで理解させる描写が上手くて、そういうところが非常にキツかったね。

『スプリー』


 バズりたいという欲求に取り憑かれた泡沫動画配信者が辿る最悪の末路とは。動画配信者を題材にした作品ということもあり、主人公が投稿しているユーチューブやインスタでのライブ映像で物語を構成しているという画作りが楽しく、そのおかげでまるでリアルタイムで主人公の配信を観ているかのような臨場感が演出されていたのがとても良かったですね。
 主人公が配信者としてウケてない理由も生々しいというか、視聴者にも「そら登録者が増えませんわ……」と思わせるような空回りした行動を繰り返したり、インフルエンサーに会うとまず「自分のことをフォローして!俺すごいやつだから!」と言い出したりする姿がとにかく痛々しく、登録者数が欲しいがために暴走を繰り返しても才能がないためにバズったりすることはなく、そのせいでどんどんどんどん取り返しの付かない凶行にまで手を染めてしまうのは、なんだかこいつは現代が産み出した承認欲求モンスターなんだなぁと思ってしまったりもした。かなり好き。

『SNS-少女たちの10日間-』


 児童への性的搾取の実態を調査するため、少女に扮装した女優たちがスカイプで連絡を取ってくる様々な人間と対話をしていくドキュメンタリー。ドキュメンタリーにふさわしくない言葉ではあるが、「全部やらせであってくれ!」と観ていてドン引いてしまうくらい次から次に出てくるおじさんたちがとにかく酷く、下手なホラー映画では味わうことが出来ない恐怖を味わった。
 作品の性質上明確にこれといった勧善懲悪のオチはないんだけど、それが余計にこれが現実でも日常的に起こってることなんだろうなぁ〜と思わせることに成功していて、どこの誰とでも自由に連絡が取れるコミュニケーションツールの危険性への警鐘を鳴らすことに一役買っている映画になっていましたね。生理的にも精神的にも気持ち悪い描写がけっこうあるので、苦手な人は絶対にいる作品ではあるけれど、犯罪ドキュメンタリーとしては良く出来ていたよ。


『ザ・ブルード/怒りのメタファー』


 とある治療のために精神科医の元に預けられている妻。その妻が実は娘を虐待しているのでは? と疑う夫。この崩壊しきっている夫婦関係が、なぜか猟奇殺人と繋がっているよという話。
 一応「今起きているこの事件はどういうことなんだ?」ということを探り出すミステリ仕立てのストーリーですが、起こる事件の犯人が秘匿されているわけではなく、むしろ堂々と顔を出しながら犯行シーンが描かれているのが特徴で、登場人物たちが「あいつは何者でどういう理由で犯行を重ねているんだ?」という疑問を解き明かしていくがメインの話になっている。
 けれども、それと同時に「精神科医の元で治療を受けている妻と、そこで行われている治療とは何か?」という別軸の話も展開されていて、一見関係がなさそうなその二つの謎が異常な形で関連付けられて、終盤恐ろしい真実になって視聴者の前に現れる様が、まさにこの監督ならではのものとなっているのが実に見事。
 この監督の作品の中だと比較的シンプルなストーリーだったし、なんとも言えねぇ幕引きもやおどろおどろしい雰囲気も合わさり、楽しい作品になっていましたね。

『RUN/ラン』


 病気を抱えている娘を母親が献身的に世話をしている親子の関係性が、娘が疑念を抱いたことで恐ろしいことに発展していく作品。
 母親のいかにも娘のためを思って自分はこんなにも頑張ってます!という身の振り方が非常に上手く描写されていて、どこからどう見ても良い母親が、些細なことで娘が抱いた疑念から、実はとんでもない人物なんじゃないか?と、徐々にそのベールが剥がされていく過程が実にスリリングに描かれている。
 作中娘のために母親があれやこれやとしてくれるのだが、その全てが娘のためじゃなかったと判明した瞬間は、母親のそのあまりの異常さぶりにドン引いちゃって言葉が出てこなかった。
 母娘の一進一退の攻防や、二転三転する先が読めないストーリーはとても面白いし、伏線の張り方も巧妙で褒めるところしかないのだが、あまりにも母親が怖すぎるあまり、「こいつに何かをされるかもしれない!」という緊張感が常に発生し、観終わった後に精神的に疲弊する作品でもありましたね。
 サイコスリラーとして良く出来てたいたし、そう簡単に終わらせるかよみたいなラストも含めて傑作と言えるでしょう。人間ってこっっっっっっっっっわ……となりたい時にオススメです。

『屋敷女』


 出産を目前に控えた女性の家に押し入ってきた謎の女。ハサミを手に持って襲いかかってくる女の目的とは何なのか?
 本編がほぼ100%グロテスクで構築されているので、苦手な人は絶対に観ないでくださいね。初めてだよ、実写で七匹の子山羊の狼になりかけるのを観たの……
 特筆すべきは「え、そんなことやっちゃうんすか……」とドン引いちゃう過激な暴力描写の数々で、画面越しでも痛みが伝わってきそうなくらいのリアルさがあり、知らない女にいきなり殺されそうになるという理不尽極まりない状況が合わさった結果、観る人間を恐怖に突き落とす作品になっていましたね。
 一応物語の核として、「襲ってきた女の正体は何なんだ?」という謎があるんだけど、それが明らかになると不条理な出来事とも言えるこの状況が、実は女の中ではちゃんとしたロジックの上に成り立っているんだよというのが判明する構図も良く出来ていて、そういう狂人の論理も味わえる内容でしたね。
 ただまあ、さすがにうへぇと辟易しそうになる描写が本当に多く、どんどんどんどん被害者が増えて血みどろになっていくにつれて、思わず笑いが出ちゃうくらいの生々しいイヤさがあるんだけど、茶化しではなくちゃんとこういう路線で真摯にやっているんだなというのがわかる作りのせいか、「なんかイヤだけど……嫌いじゃない……」となる一本でしたね、ウン。

『ザ・バニシング-消失-』


 旅行中に突然消えた恋人を3年間探し続ける男。恋人の身に何が起きたのか、犯人の目的とは。
 探す側の執念と犯人の静かな狂気がぶつかり合う様を描いたような作品で、平穏だった日常が一人の人間が持つ狂気のせいで崩壊させられていく姿はかなりやるせない。いわゆる謎を解くタイプのサスペンスではなく、犯行の直接的な瞬間は終盤まで明かされないものの、序盤からわりと明確に犯人とその犯行の手口が明かされているのも特徴で、真相を探る男と事件を思い返す犯人が巡り会った先に待ち受ける絶望しかない終盤は、なんとも言えない味がしましたね。
 物語の全体像が失踪した恋人の夢という形で暗示されていたのも良く、「ああこれはそういうことだったのか……」と納得させられた瞬間に訪れる、笑えないジョークのような余韻を残すラストはもう脱帽するしかなく、個人的にはかなり好きな一作でしたね。良かったよ。

『閉ざされた森』


 訓練に出たまま消息を絶った7名のレンジャー隊。内三人は見つかったものの、一人は味方同士の銃撃戦で死亡、二人は銃撃による怪我を負っていた。外部から隔離された空間となっていた森では、一体何が起きていたのか?
 二人の生存者が互いに同じ事件の光景を見ているにもかかわらず、互いに食い違っている証言をしてくるため、「何が本当で何が嘘なのか?」ということを見定めながら、真実に近付いていく物語。そのため、どことなく芥川の『藪の中』を彷彿とさせるような内容に思えた。
 尋問を任された男がウィットに富んだ話術などを駆使して口を割らせて話を聞いていく様は楽しく、一旦見えたと思った真実の全体像が、違う人間の話でふたたび輪郭すら捉えられなくなり二転三転していく展開や、終始観ている人間と尋問官を惑わせて核心を掴めなくさせる謎そのものがとにかく秀逸で、すべての欠片が組み合わさって事件の全体像が現れた瞬間には思わず、「ああ、これはそういうことだったんだな」と膝を叩いて喜びたくなるほど良く出来ていた作品でしたね。真相の隠し方や伏線の使い方も巧妙で、その辺も丁寧にやってくれたのは良かった。とても好き。

『隣の影』


 離婚の危機に瀕した男が実家に帰ってきたら、実家は実家で隣人とトラブルを起こしており、些細なことが原因で破滅へと向かっていくことになる物語。
 全体を通してハッピーになれる描写が一切なく、ただひたすらに最悪なドミノ倒しを眺めているような感覚になれる作品。最初は「うちの庭に影が掛かるからその木を剪定してくれない?」という軽いお願いから始まったのに、いつの間にか「どうして……」と言いたくなるような結末に辿り着かせる物語の展開がとにかく秀逸で、「そうはならんやろ」とツッコミたくなるようなトラブルの積み重ねではなく、「たしかにありえるかもな……」と思ってしまえるような説得力のあるトラブルの積み重ねがねっちりと行われており、胃のあたりがずっしり重くなっていくこと間違いなし。
 並行して語られる離婚寸前の夫婦の物語では、隣人トラブル真っ最中の人間が「大人なのに話し合いで和解することも出来ないのか」と言い放つところは非常にシニカルが効いており、人間とは自分の問題は棚上げにし人にはそうやってアドバイスできる生き物であるというのが根底にある作品のような気がした。
 何も救いがなくとにかく暗い映画ではあるし、物語の終盤で飼っている犬に対して行われたとある悪逆非道な行為はマーーージで胸クソが悪くなったりするので、精神的にゆとりがある時に観ることをオススメする。グロくないのに観ていると気分が悪くなるし、話の内容や登場人物のリアルな嫌さを含めて観る人を選ぶ作品ではありますが、薄ら寒い笑いが思わず込み上げるであろう衝撃のラストまで引っ括めて、個人的には好きな作品でしたね。

『THE GUILTY/ギルティ』


緊急通報司令室にかかってきたのは、今まさに誘拐されているという女性からの電話だった。オペレーターのアスガーは聞こえてくる音や情報だけを頼りに解決に導こうとするが……。
 通報を受けたオペレーター目線で物語が進んでいくワンシチュエーション作品。設定を活かすのが上手く、現場に行って実際に手出しができないもどかしさや、間に立っている人物への苛立ちなど生々しい感情が画面越しでも伝わるようで、話をリアルタイムで聞いてるのに何も為す術がない人間の無力さと、それをどうにかしようと奮闘する姿が良く描写されていたのが良かった。
 ストーリー自体も面白く、リアルタイムで進行している誘拐事件がこのシチュエーションだからこそ使える技などが繰り出されており、最後の最後まで設定を蔑ろにすることなく使い切ったな〜〜と思わせるような力作でしたね。面白かったよ

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