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3月第3・4週に観た映画とか本とかの話

 ラララ ラララ 2週間ぶりだよ 更新が
 
 内村さまぁ~ずをアマプラで1月からずっと観ています。旧作からずっと観ています。面白いコンテンツは長く続くんだなぁと思いました。日本にはいっぱい芸人の方がいるらしいです。皆さんどのくらいご存知ですか? ぼくはこれのおかげで初めてぺこぱのネタを知りました。
 
 新作だと『シン・仮面ライダー』を公開日に最速上映で観たりしました。個人的にはいいシーンとかっこいいカットなどが多々あった作品だけど、全体的に見るとなんか変だよこれ!!! となる作品でした。詳しい内容は後日書けたらいいなぁ。


観たやつ・読んだやつ


映画
『ザ・バニシング-消失-』
『閉ざされた森』
『[リミット]』
『イレイザーヘッド』
『ソウ6』
『ソウ ザ・ファイナル』
『ネバーエンディング・ストーリー』
『スパイラル:ソウ オールリセット』
『隣の影』
『砂上の法廷』


法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』
浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』



『ザ・バニシング-消失-』


 旅行中に突然消えた恋人を3年間探し続ける男。恋人の身に何が起きたのか、犯人の目的とは。
 探す側の執念と犯人の静かな狂気がぶつかり合う様を描いたような作品で、平穏だった日常が一人の人間が持つ狂気のせいで崩壊させられていく姿はかなりやるせない。いわゆる謎を解くタイプのサスペンスではなく、犯行の直接的な瞬間は終盤まで明かされないものの、序盤からわりと明確に犯人とその犯行の手口が明かされているのも特徴で、真相を探る男と事件を思い返す犯人が巡り会った先に待ち受ける絶望しかない終盤は、なんとも言えない味がしましたね。
 物語の全体像が失踪した恋人の夢という形で暗示されていたのも良く、「ああこれはそういうことだったのか……」と納得させられた瞬間に訪れる、笑えないジョークのような余韻を残すラストはもう脱帽するしかなく、個人的にはかなり好きな一作でしたね。良かったよ。

『閉ざされた森』

 訓練に出たまま消息を絶った7名のレンジャー隊。内三人は見つかったものの、一人は味方同士の銃撃戦で死亡、二人は銃撃による怪我を負っていた。外部から隔離された空間となっていた森では、一体何が起きていたのか?
 二人の生存者が互いに同じ事件の光景を見ているにもかかわらず、互いに食い違っている証言をしてくるため、「何が本当で何が嘘なのか?」ということを見定めながら、真実に近付いていく物語。そのため、どことなく芥川の『藪の中』を彷彿とさせるような内容に思えた。
 尋問を任された男がウィットに富んだ話術などを駆使して口を割らせて話を聞いていく様は楽しく、一旦見えたと思った真実の全体像が、違う人間の話でふたたび輪郭すら捉えられなくなり二転三転していく展開や、終始観ている人間と尋問官を惑わせて核心を掴めなくさせる謎そのものがとにかく秀逸で、すべての欠片が組み合わさって事件の全体像が現れた瞬間には思わず、「ああ、これはそういうことだったんだな」と膝を叩いて喜びたくなるほど良く出来ていた作品でしたね。真相の隠し方や伏線の使い方も巧妙で、その辺も丁寧にやってくれたのは良かった。とても好き。

『[リミット]』

 目を覚ましたら木製の棺に閉じ込められていた男が、一緒に埋められていた携帯電話だけを頼りに脱出を目指す話。
 閉じ込められた棺の中が舞台というワンシチュエーション物ということもあり、主人公と電話相手との会話劇で物語が進行していくのが特徴。悠長に落ち着けと言ってくる相手に対し、「こっちは命の危機なんだぞ!!」と終始キレ気味に対応するライアン・レイノルズの演技が見事で、こういう状況に陥った時の人間の絶望や、ちょっと希望が見いだせた時に見せる表情なども良く、そのおかげで最後まで画面が保ったような映画だった。
 ただこう、ストーリーがだいぶシビアな展開なのと主人公を取り巻く事態がどんどんどんどん悪い方向にしか転がっていかないこともあり、観ている間ずっとイヤぁな空気感に襲われ続ける作品でもありましたね。悪くはなかった。

『イレイザーヘッド』

 主人公のヘンリーは彼女のメアリーが身籠ったという話を聞かされる。だが、彼女が産み落とした彼らの子供は名状しがたい謎の生物だった。
 ストーリーはちゃんとあるっちゃあるんだが、要領を得ず終始ふわふわとした調子で進行していき、最初から最後までどの場面を切り取っても意味が分からないというか、常に「なんなんだよこれ!!!!!!!」と叫びたくなるようなものばかりなため、観ている人間は「今自分が観ているこれは何なんだ……?」と不思議がること間違いなしの作品になっている。
 この作品には色々な変な人が出てくるが、中でも中盤以降に登場するヘンリーの子供というのが生物なのか無機物なのかすらわからない異形な存在で、一目見ただけでヒィッと慄くビジュアルをしており、この監督はアレをどうやって撮ったのか未だに明かしていないという裏話を踏まえ、非常に恐ろしい存在であった。
 デヴィッド・リンチの作品が観たいという人や、カルト映画に興味があるよって人以外は観てもあまり楽しめない作品でしょう。悪夢の中にいるような変な映画でした。

『ソウ6』


 前作のラストであの人がああなった後のお話。ほんっっとうにシリーズを重ねるごとにゲームが変にグロくなっていくな……。
 後継者が新しいジグソウとして始動していくんだけど、かなり明確に「この後継者とジョンは人間性とゲームが違うんだぜ」ということが如実に描かれていて、結果としてそれによって生じた不信感や違和感を、死してなおジョンがまだゲームを支配しているというふうに繋げてくるのはまあまあ良かった。
 誰が死ぬのかを決める権利が生者にあるのか? に重きが置かれたゲームはこのシリーズへの皮肉が効いているように思えてわりと楽しめたが、しかし後継者のゲーム外での行動がザルすぎたり、過去作のキャラに意味を持たせすぎたりと、軸になるストーリーにおいてはツッコミたくなる箇所が多々ある出来になっており、ファイナルでどう決着をつけるんだこれ……との不安が増すような作品でもありましたね。箱の中身、前作で隠す必要あった?

『ソウ ザ・ファイナル』

 前作のラストで辛くも生き残ったあいつが、新たにゲームを始めると同時に、ジルに復讐しようと企む話。
 シリーズ完結作ということもあって、冒頭からビックリするようなキャラが登場したり、これまでのゲームの生存者が再登場したりと、過去作の要素を要所要所に散りばめていたのは好印象。
 最後くらいは原点回帰した展開にしてほしかったが、またしてもメインのゲームと本筋となるジルへの復讐があまり交わることなく別軸で進行されてしまい、そこにはだいぶウーンとなってしまった。
 勿論、もはやシリーズ恒例となってしまっているミスディレクションによる認識ずらしが今作でも効果的に使われていたが、それの驚きよりも、「これまであれだけ過去作を擦ってきたのに、そういえばこれだけはずっとひた隠しにされていたな……」と、これまでシリーズを追ってきた視聴者なら一度は疑問に思ったであろうとあるカードがとうとう切り出され、しかもその出されたタイミングが非常に効果的ということもあって、これまで色々あったけどそれを出されちゃったら完結作としてはまあ良かったなと思っちゃうじゃんね……となるような作品に仕上がっていた。
 綺麗にはまとまってないけど、曲がりくねって凸凹した道をどうにか舗装して多少なりとも綺麗にしようという熱意は感じられたよ……。
 なんでこの後リブートしちゃうんだよ。

『スパイラル:ソウ オールリセット』

 次々と起こるジグソウのゲームを模倣した警官殺害事件。はたして犯人とその真相とは。 前作でリブートした新生ソウシリーズ2作目……のはずなんだけど、ぶっちゃけソウもジョン・クレイマーもその後継者もまったく関係がなく、ただただジグソウの模倣犯がジグソウのゲームのような猟奇殺人を行っていくよみたいな話なので、これまでのソウシリーズを期待して観ると、完全に裏切られるような作品になっていた。
 まあシリーズが複雑化しすぎたし、前作で新しく始めたからサブタイトルのようにオールリセットしたかったんだろうが、もはやここまでオールリセットするなら別にソウじゃなくてもいいじゃん!となるような内容だった。
 ということで、一応これまでと同じようにゲームも展開されるわけだけど、それも「まあ模倣犯だな……」みたいなクオリティの物ばかりなのが難点で、ジョンのように生還したら改心するような物でもなく、ただ痛めつけるだけの拷問みたいな出来なのもよろしくなかった。
 総じてソウシリーズの新作として観ると「えぇ……」みたいに困惑する出来とストーリーではあるが、単発の猟奇殺人物として観れば犯人の意外性とかもあるのでまあまあ楽しめるかなぁ……といった一作でした。ソウとして出してくるな。

『ネバーエンディング・ストーリー』

 ミヒャエルエンデの代表作でもある『はてしない物語』を実写化した作品……のはずなんだけど。なんかきみ……思い出と違く……ない?
 小さい頃に、それこそ原作を読んだことが無い時に観た時は、「わぁ~~~楽しいファンタジーだねぇ~~~~」と享受したような覚えがあったのだが、改めて観るとマジで全然別物というか、「あれ!? これ本当にそうか!?!?」と思うようなところが多かったり、調べてみると原作者が訴訟を起こしたりもしていたので、なんというか思い出の中でキラキラしたままでいさせてたかったナァという気持ちになってしまった。
 映像面では色々とがんばっているところもあるのでそこは素直に褒めたいですね。

『隣の影』

 離婚の危機に瀕した男が実家に帰ってきたら、実家は実家で隣人とトラブルを起こしており、些細なことが原因で破滅へと向かっていくことになる物語。
 全体を通してハッピーになれる描写が一切なく、ただひたすらに最悪なドミノ倒しを眺めているような感覚になれる作品。最初は「うちの庭に影が掛かるからその木を剪定してくれない?」という軽いお願いから始まったのに、いつの間にか「どうして……」と言いたくなるような結末に辿り着かせる物語の展開がとにかく秀逸で、「そうはならんやろ」とツッコミたくなるようなトラブルの積み重ねではなく、「たしかにありえるかもな……」と思ってしまえるような説得力のあるトラブルの積み重ねがねっちりと行われており、胃のあたりがずっしり重くなっていくこと間違いなし。
 並行して語られる離婚寸前の夫婦の物語では、隣人トラブル真っ最中の人間が「大人なのに話し合いで和解することも出来ないのか」と言い放つところは非常にシニカルが効いており、人間とは自分の問題は棚上げにし人にはそうやってアドバイスできる生き物であるというのが根底にある作品のような気がした。
 何も救いがなくとにかく暗い映画ではあるし、物語の終盤で飼っている犬に対して行われたとある悪逆非道な行為はマーーージで胸クソが悪くなったりするので、精神的にゆとりがある時に観ることをオススメする。グロくないのに観ていると気分が悪くなるし、話の内容や登場人物のリアルな嫌さを含めて観る人を選ぶ作品ではありますが、薄ら寒い笑いが思わず込み上げるであろう衝撃のラストまで引っ括めて、個人的には好きな作品でしたね。

『砂上の法廷』

 父親を殺害した容疑で逮捕された少年だが、彼は何を聞かれようと黙秘を貫き続けていた。何も語られることなく開かれることになった法廷で、明かされることになる真実とは一体何なのか?
 裁判の開廷で始まり閉廷で幕も降りるという、全てが裁判という舞台で進行する物語。被告人や被害者、そしてこれがどういう事件でどんな状況なのか?という全ての情報が裁判が進行していく中で明かされていくため、さながら陪審員のような目線でストーリーに没入できた。
 被告人が一切何も語らないという設定がちゃんと理由を持って活かされており、核となる裁判自体も興味深かったが、そういった物語の展開上、事前に情報の開示というか、視聴者が推理できる隙を見せることができなかったため、「ああそういうことだったんだ……」となる丁寧に積まれていたブロックを崩すかのようなインパクトのある終盤が、やや強引で唐突気味なオチに思えてしまうのがちょっと残念だった。実際ミステリとして見ると決してフェアとは言えない真相ではあるのだが(想像は出来ても手がかりがねぇ)、そこまでの過程は楽しめるものではあるので、法廷モノとしては良かったとは思います。

法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』

 西村頼子の事件で失意の底にいる倫太郎のもとにかかってきた一本の電話。それは以前彼が関わった月蝕荘事件の関係者でもある畠中有里奈からだった。
 前作『頼子のために』の後ということもあり、探偵役の綸太郎がひたすらに事件に向き合うことに葛藤し、「本当に自分は事件に関わっていいのだろうか?」と、自身の探偵としての役割について作中ずっと自問自答しまくるのが特色で、ああでもないこうでもないとクイーンの後期作を紐解いて、探偵役としてのクイーンを引き合いに出し解決の糸口を見出していこうとする姿は、さながら作者の後期クイーン問題を彷彿とさせるもので、「この人って本当にクイーンが好きだからああいう論とこれを書いたんだろうな」と納得させられる一作になっていた。
 起こる事件とその内容もとても良く、どうしてそうなったのかわからない事件状況や、各々が抱える秘密や複雑に絡み合う人間関係などをパズルのように嵌めながら、「なるほど!」と唸らせるような真相に論理と推理で詰めていくのが楽しく、失意の底から探偵として蘇る倫太郎の活躍も含めて良かった作品でした。好き。

浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』

 夢遊病の恋人を探してケンが辿り着いたのは、ダブ(エ)ストンと呼ばれる伝承でしか聞いたことがない島だった。住んでいる者すべてが迷うその島で、はたしてケンは無事に恋人に巡り合うことは出来るのか?
 自分が本当に目的地に進んでいるのかもわからないほど迷いやすい土地であるダブ(エ)ストンを舞台に、主人公が居なくなってしまった恋人を探すためにひたすら彷徨うファンタジー小説。奇妙ながらもどこかほっこりするような人々や、人語を解する動物。はたまた海を漂う幽霊の海賊船など、「こういうファンタジーって良いよな〜」となるような要素がてんこ盛りで構成された作品で、昔読んだ様々なファンタジー作品のことを思い出しながら読んでいた。良いお話でした、好き。

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