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『梅雨バテ』その漢方的予防法とは?〜後編〜

前回より梅雨時に体調が悪くなる『梅雨バテ』についてお届けしております。


前回はなぜ梅雨時に体調を崩してしまうのか?その原因と仕組みについてお届け致しました。

【前回のnoteはこちらから】

今回は
食べて『梅雨バテ』を防ぐ
おすすめの食材からご紹介したいと思います。

☆梅雨時におすすめの食養生とは?



前回は梅雨時の養生の1つとして、入浴についてお届けしました。

お風呂で軽く汗をかいておくことは海洋性気候でもともと湿度が高い環境で、カラダに湿気が溜まりやすい日本人にとっては大切な養生法の一つです。

そして入浴などで発汗するのと同じぐらい梅雨バテ対策で大切なのはなんといっても食養生です。

季節の物にはその時期にちゃんと食べる意味がある、と言われています。

カラダの余計な湿気、湿邪はカラダに貯まるものなので、口から入れる飲食物はとっても重要なのです。

まず梅雨時や夏場のような暑くて湿気が多い時期におすすめの食材は薬膳的にはなんといっても

キュウリやゴーヤ、スイカなどの『ウリ科』の野菜です。

近年は季節に関係なく、一年中夏の野菜、キュウリやナスが食べれますが、
このような野菜の真価が発揮されるのがこれからの時期なのです。

きゅうりを代表とするウリ科の野菜は薬膳では

『利水』

と言って体の余計な水をはかせる手伝いをしてくれます。

また

『清熱』

と言って暑さにより体に熱がこもった時は熱を冷ます働きもあるので、暑いところで仕事をしている方には特におすすめです。

ただし夏や梅雨時でも

冷房の中で一日中過ごすような方

夏冷え、梅雨冷えになりやすい方はウリ科の野菜はカラダを冷やす働きがあるので食べ過ぎにはきをつけましょう。

おすすめの食べ方は温性の性質をもつ『味噌』をつけて食べる『もろきゅう』にして食べるとバランスが取れておすすめです。

☆美味しいだけじゃない!冷奴に薬味を乗せる意味


また、この時期おすすめの食材の2番目は薬膳的には
カラダの湿気をとり
カラダに溜まった老廃物を発散させてくれる作用があると考えられている

しょうが、ネギ、サンショウなどの薬味としてよく使われる食材です。

薬味は料理を引き立てるだけでなく、実はカラダを温めてくれたり、メインの食材の弱点を補ってもくれる本当に素晴らしいものなんです。

冷奴に薬味をのせるのには美味しく食べる以外にも、カラダを冷やしやすい冷奴の弱点をネギや、生姜で補うという意味もあるのです。

シソなども梅雨時が旬なのでオススメの薬味です。

次におすすめ食材はけっこう意外なものかもしれません。

☆梅雨バテ対策の意外な食材とは?


梅雨バテしやすい、カラダに余計な湿気がたまりやすい人の特徴として、水分代謝の悪いことがあげられます。

水分代謝の悪い人は体内に湿気を溜め込みやすく、梅雨から夏にかけて、湿気が多くなる時期になると頭痛や吐き気などを中心とした様々な不調がおこります。

そんな胃腸が弱く、湿気が溜まりやすい方におすすめなのが

お米、長芋、かぼちゃ、ナツメなど胃腸の機能を補うものです。

これらはカラダの元気を補い、過剰な水分でダメージを受けた胃腸を整えてくれます。

また、水分代謝の悪い方には先程も紹介した、利尿作用のある夏野菜、キュウリやゴーヤなどのウリ科の野菜

また、緑茶など苦味のあるもの

小腸の働きを助けたり、カラダの余計な水分を出してくれると薬膳では考えるので夏から梅雨にかけてはおすすめです。

特に緑茶は寒い時に温かいお茶を飲むイメージもあるかもしれませんが、カラダの熱を冷ます涼性の特徴を持ち、さらに茶カテキンは殺菌作用があり、夏の食中毒の予防も期待できるので、積極的に夏の水分補給に活用しましょう。

ミネラルも一緒に補給できるので、梅干し入りの緑茶もおすすめです。

☆蒸し暑い時期もやっぱり温かいものを


そして梅雨バテ対策、梅雨時や蒸し暑い時期の食事の注意点といえば、忘れてはいけないのが

『冷たい飲食』

冷え冷えのビール、アイスクリームなどは夏の楽しみでもありますが、冷たい飲み物は、ついがぶ飲みしがちで、かつ胃腸を一気に冷やしてしまいます。

胃腸が冷えると機能が低下してしまい、せっかく補った水分もしっかり吸収できなくなってしまい下痢などの原因にもなってしまいます。

夏でもできるだけ温かいものゆっくり飲むようにしましょう。

そうは言っても蒸し暑い梅雨時、冷たいものを取りたいと思います。

そんな時は冷たい飲み物でも口の中にゆっくりと含んで、一気に胃腸に入れてしまうのではなく、口の中で冷たさを楽しんで、常温に近い状態にしてから胃腸に入れていけば冷えることが少なく、冷たい食感も楽しめます。

☆肉類・油っぽい物が好きな方もカラダの湿気に注意


カラダに湿気が滞りやすい、梅雨バテし易い方の2つめの食事の注意点は、これもある意味当たり前のことなのですが

脂っこいものや辛いものの食べ過ぎです。

脂っこいものや辛いものはカラダの中で余計な熱を生み出すと漢方では考えます。

カラダの中に余計な熱が生まれて、そこに湿気が加わると湿気と熱で

『湿熱』

という、例えて言うなら熱帯雨林のようなジメジメ、ムシムシ状態となり、これまた様々な不調の原因となると漢方では考えます。

湿熱はお肌の調子も悪くします。

ニキビや肌荒れ、アトピーなど、皮膚トラブルが多い方は特にこの湿熱には注意しましょう。

おすすめの対策は湿気と熱なのでまずはしっかり汗をかいておきましょう。

有酸素運動中心にしっかり汗をかくことでカラダの熱を冷ますこともできますし、除湿もできます。

普段はエアコンで汗を閉じ込めているので、体温調節のためにも湿熱タイプの人は1日1回はしっかり汗をかいておきましょう。

軽い筋トレやヨガ、ストレッチをしてから湯船につかるのもおすすめです。

カラダのデトックスをしっかり行いましょう。

食養生は『何を食べたら良いか?』ではなく、湿熱の方は避けるべきものをしっかり避ける

脂っこいもの、味の濃いもの、冷たいものは極力避けて

先程も登場したキュウリやニガウリ、トマトなど湿熱を取ってくれる野菜や、海藻類などは積極的に摂るようにしましょう。

湿熱タイプはとにかく生活の質を見直しましょう。

2回にわたり『梅雨バテ』対策についてお届けしました。

梅雨は胃腸の弱りだけでなく、気圧変化や天候変化、朝晩の寒暖差などで自律神経のバランスも崩しやすい時期です。なので梅雨バテは体の不調だけでなく、心の不調まで表れるのです。

一番体力を使う時期であり、活発にいろいろと活動したくなる夏を元気に過ごすためにも梅雨時の過ごし方は大切です。

今回紹介した様々な養生でカラダを常に「カラッと」させて

晴天の時のような状態にしておきましょうね。

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