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キラメキ内臓占いから見た薬膳シリーズ④五味

東洋医学では、食べ物の性質を五味という考え方で分類しています。

五味は五行色体表に基づいて、食べ物をその味の違いによって5つの性質に分類したものです

また、五味は五臓に分類される各内臓に影響を与えます。

疲れている時に欲しくなる味は、内臓が弱っている証拠です。

だからキラメキ内臓占いから見れば、普段から欲しくなりやすい味で自分の体質が分かるのです。

普段から特定の味を欲っするという事は、その味の働きを身体が必要としているという事です

「急に酸っぱいものが欲しくなる」

「甘いものが止められない」

「以前よりも食欲がアップしている」

これらは身体からのサインです。

肝が弱っていれば酸味が欲しくなり、心が弱っていれば苦味が欲しくなります。

妊娠中に酸味が欲しくなるのは、代謝が盛んになって肝が弱っているからです

他にも、胃の弱りなら甘味で肺なら辛味、腎なら塩味を欲しがるようになります。

ですが、五味は五臓を補う一方で過剰に摂取すると逆に五臓を弱らせてしまいます。

塩辛いものを食べ過ぎれば腎が弱ったり、酸味も摂りすぎれば肝が弱ります。

過剰な甘味は胃を脾を弱らせ、辛味なら肺で苦味は心の弱りを招きます。

大切なのは必要な味を必要な分だけ摂取することで、本来なら必要な栄養を摂取すれば満足できます

ミネラルの味

塩(NaCl)が塩辛いのは誰でも知っています。

あまり知られていないのが、マグネシウム(Mg)が苦みの主成分ということです。

またカルシウム(Ca)は薄いエグミを持っていますが、食塩にある程度含まれると全体の味をまろやかにします。

またカリウム(K)は薄い酸味を持ち、妊娠中にも欲しくなるミネラルの一つです。

だから偏食だったり、我慢できないくらい食べたくなるものがある時はミネラルを欲しているかもしれません

五味 (2)

①木タイプには酸味

酸味には
・収斂作用(しゅうれんさよう)
・固渋作用(こじゅうさよう)

があります。

収斂作用とは、タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用です。

毛穴を引き締めることで汗の出過ぎを防いだり、下痢を解消する作用などがあります。

酸味には、不要なものを排泄して必要なものを漏らさないようにする働きがあります

梅干しが下痢の解消に役立つのは、酸味の収斂作用によります。

また収斂作用は止血や鎮痛、防腐などにも効果があります。

この収斂作用が肝に働くと血(栄養)の貯蔵を促します。

そのため肝血虚の人は酸味を欲しがるようになります。

ただし過剰な酸味は胃を傷つけて水分代謝を悪化させます

固渋作用は渋みを指しますが、基本的には収斂作用と同じ作用です。

肝血が充実すると身体はストレスに強くなるので、イライラした時には酸味の強いものを口に入れることでストレスを発散させることができます。

酸味は内臓に血を集めるので、頭に昇った熱を発散する効果もあるのです。

酸味がある食材には、酢や梅干し、レモンなどがあります

レモンはとくに肝臓から出る胆汁の分泌をよくすると言われています。

五果では李が分類され酸味のある果物の代表となっています。

薬膳では清熱利水や生津化痰などの作用がある食材です。

生薬では山茱萸(さんしゅゆ)や酸棗仁(さんそうにん)があります。

山茱萸はハーブティーもあり普段から手軽に飲むことも可能です。


②火タイプには苦味

苦味には
・清熱作用(せいねつ)
・燥湿堅化作用(そうしつけんか)
があります。

清熱とは余分な熱を取り去る作用で、燥湿堅化とは柔らかくなりすぎたものを固くする作用です。

火タイプは熱が頭に溜まりやすいので、清熱作用によって熱を発散する必要があります。

また、体温が上がり過ぎると筋肉や血管が緩みます。

苦味には、体温が上がり過ぎることによる不調を解消する働きがあります

苦味のある食べ物の代表としてはゴーヤが挙げられます。

そのため、ゴーヤは夏の熱中症を予防する働きがあるのです。

実を乾燥してお茶にしたゴーヤ茶にも同様の効果があります。

苦味は主にマグネシウムやアミノ酸になり、渋みは主にカテキンによります。

食材としては、ヨモギやタラの芽、春菊などの山菜が代表的です。

生薬としては麻黄や蒼朮、白朮などが苦み成分となります。

また、コーヒーやビールの苦みも同様の効果が期待できます。

③土タイプには甘味

甘味には
・滋養作用
・弛緩作用
があります。

滋養とは身体に栄養を与える作用で、弛緩とは緊張した状態を和らげる作用です。

身体が疲れた時に甘いものを食べたくなるのは、身体に栄養を与えるとともに筋肉の緊張を和らげるためです

体がこの滋養作用を求めるのは緊張状態の時であり、緊張状態のときに甘いものを口に入れると緊張がほぐれるのは弛緩作用があるからです。

甘の食べ物であるハチミツは、喉の緊張を和らげて痛みを解消したり、喉にささった骨やとげを抜けやすくする効果があります。

甘味には糖質だけでなく、グリシンやアラニンなどのアミノ酸も含まれます。

そのため鯵やエビ、牛肉なども甘味に分類される食材です。

野菜であれば、カボチャや山芋、ニンジンにレンコンなどが滋養と弛緩作用を強く持つ食材です。

また棗(なつめ)は五果にも登場し、消化器系を助ける果物として漢方にも使われています。

④金タイプには辛味

辛味には、
・発散作用
・運行作用
があります。

汗をかくことを促進する発散作用と、気血の巡りを良くする運行作用があります。

辛い食べ物の代表はトウガラシを使った料理で、身体が温まって汗をかく食材が辛味の食材とされます

食べて辛いと感じる食材でなくても、ネギやショウガなど発汗を促す作用を持つ食材も辛味に含まれます。

またネギやショウガなどの発散作用は風邪の初期症状の解消にも役立ちます。

野菜であれば、大根やワサビに含まれるイソチオシアネートと呼ばれる成分や、玉ねぎや葱、ニラにニンニクに含まれるアリシンも気血の運行を良くします。

他にも胡椒や山椒といった調味料は、湿度が高くて気血の巡りが悪くなりやすい日本では重宝される薬味です。

⑤水タイプには塩味


鹹味(かんみ)には、
・軟化作用
・散結作用
があります。

軟化も散結も固いものを柔らかくする作用のことで、腫瘍などの解消にも役立つと考えられています。

また、便通を良くする瀉下(しゃか)作用もあるので、昔は便秘の解消にはぬるい塩水を飲ませていました

ちなみに食後に便意をもよおす人は塩分のとり過ぎが考えられます。

ミネラルで言えばナトリウムに分類されますが、昔の塩味は天然塩なので他のミネラルも含んでいるのが当たり前でした。

そのため鹹味に分類されるのは、めざしやイワシ、サバなどの魚類に加えて青のりや昆布、アサリにカニなどの海の食材も含みます。

さらに大麦や味噌、納豆なども代表的な鹹味となります。

薬膳シリーズ①五穀⇐    ⇒薬膳シリーズ③五果




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