キラメキ内臓占いから見た薬膳シリーズ②五菜
五菜はビタミンとミネラル源となり身体を充実させます。
東洋医学には、体質を分類する五行色体表というものがあります。
その中には、体質によって相性の良い野菜があります。
体質別に相性の良い野菜を五菜(ごさい)と呼び、
・韮(にら)
・薤(らっきょう)
・葵(あおい)
・葱
・霍(かく)*もやし
が五菜に該当します。
聞き慣れない野菜もあり、スーパーなどでは手に入らないものもあります。
そういった野菜は身近で手に入る似たような野菜に置き換えて解説します。
木タイプ
韮は疲労回復や滋養強壮の効果がある野菜として知られています。
韮には、ニンニクと同様に硫化アリルの一種であるアリシンという物質が含まれておりビタミンB1の吸収を助け糖の代謝を促します。
糖代謝が促されることで疲労回復の効果が高まります。
さらにアリシンには免疫力を高め、血行促進や動脈効果の解消にも役立ちます。
韮のような緑黄色野菜には多くのβカロテンが含まれ、βカロテンは体内でビタミンAに変換され目や胃の粘膜を守ります。
そしてビタミンAは肝臓の修復を促すので、肝臓に過負荷を与えやすい木タイプにはとても重要な栄養成分です。
加えて抗酸化作用の高いビタミンC・Eも豊富なので、活性酸素を消去して疲労回復を促します。
韮は夏の暑さにとても強く栄養面でも非常に優れる葉野菜です。
ですが旬は春頃で、春先の韮は香りも強くてとても美味しいのです。
韮を最も生産しているのは高知県で、高知では韮を使ったグルメも多くあります。
薬膳から見ると
ⅰ温陽解毒(おんようげどく)
⇒身体を温めて分解を促す
ⅱ活血化瘀(かっけつかお)
⇒血流を良くして滞りを解消する
などの効能があります。
そのため瘀血(おけつ)の解消に効果的なのが韮です。
基本的に代謝が高く肝鬱気滞を起こしやすい木タイプや火タイプと相性が良い野菜です。
火タイプ
ラッキョウは生薬としても用いられるほどに効能の高い野菜です。
生薬としては薤白(がいはく)と呼ばれ、健胃や整腸などの作用が漢方薬として利用されます。
ラッキョウは酢漬けにされていることが多いですが、生のラッキョウは5~6月頃に出回ります。
あまり知られていませんがラッキョウには水溶性食物繊維が豊富で糖や脂肪の吸収を穏やかにします。
ラッキョウに含まれる水溶性食物繊維はフルクトースの重合体であるフラクタンです。
フラクタンは血中コレステロール値を下げたり塩分の吸収を抑制し、さらにビフィズス菌などの腸内細菌を成育する作用が知られています。
そして、ラッキョウに含まれるフラクタンの含有量は玉ねぎやニンニクなどと近縁種と比べても極めて高いことが特徴です。
また、ビタミンCもニンニクの約2倍の量が含まれているので高い抗酸化作用を発揮します。
普段から外食が多く血圧が気になる人にはラッキョウは役立つ野菜です。
ですがラッキョウを1日に食べる目安は3~4粒までと言われます。
薬膳から見ると、
ⅰ降気行滞(こうきこうたい)
⇒胃腸の未消化物の排泄を促し気の巡りを高めます
ⅱ通陽散結(つうようさんけつ)
⇒熱の巡りを良くして腫瘍を小さくする
などの効能があるので、肝鬱気滞(かんうつきたい)の解消に用いられます。
土タイプ
オクラはネバネバとした成分の中にガラクタンやアラバン、ペクチンなどの食物繊維が豊富に含まれます。
特にペクチンは整腸作用が注目されており、便秘や下痢を予防してくれます。
また、ペクチンなどの水溶性食物繊維はコレステロールの排泄を促してくれるので生活習慣病の予防にも役立ちます。
オクラには、βカロテンやビタミンB1、Cも豊富です。
食べたものの消化を助けて胃の機能を高めるので、食べることが好きな土タイプにはぴったりです。
さらにオクラにはカリウムを多く含むので、ナトリウムの排泄を促して高血圧や動脈硬化などの予防も期待できます。
オクラの旬は7~8月で、夏に弱りやすい消化器系を元気にする薬膳食材です。
薬膳から見ると、
ⅰ健脾消食(けんひしょうしょく)
⇒消化器系の機能を高めて消化を促す
ⅱ潤腸通便(じゅんちょうつうべん)
⇒大腸を潤して便の排泄を促す
ⅲ補陰活血(ほいんかっけつ)
⇒身体に水分を補って血流を良くする
などの効能があるので、脾気虚の際に用いられます。
金タイプ
葱は昔から薬効が多い野菜として知られており、主な薬効はアリシンによるものと言われます。
アリシンはニンニクや玉ねぎなどものユリ科の植物に多く含まれる成分です。
辛味や香り成分でもあるアリシンはビタミンB1の吸収を助けるので、糖質の分解を促して疲労回復の効果が期待できます。
アリシンは刻むと香りとなって失われるので、食べる直前に調理することが大切です。
昔から風邪をひいたときには葱を喉に当てていたのは、アリシンの香りを嗅ぐことでアリシンの効果を吸収していたと考えられます。
アリシンには殺菌作用もあるので、風邪の際に食べるのもおすすめです。
葱は一年を通して流通していますが旬は11~2月と言われ、その時期に葱は甘く美味しくなります。
薬膳から見ると、
ⅰ発汗解表(はっかんげひょう)
⇒発汗を促して体表面の熱をとる
ⅱ散寒通陽(さんかんつうよう)
⇒冷えを解消して身体を温める
ⅲ解毒散結(げどくさんけつ)
⇒毒性物質の分解を促して腫瘍を小さくする
などの効能があり、肺気虚の解消に役立つので金タイプにおすすめです。
水タイプ
五菜の記述には水タイプは淫羊霍(いんようかく)という植物が載っています。
淫羊霍には催淫作用があり感覚神経を刺激するとあります。
ですが、日本では流通していません。
そこで今回は、代わりとなる食材を紹介します。
五菜には豆の葉という記述もあり、豆の葉とは大豆の葉になるのでモヤシを指していると考えます。
ちなみに豆苗はえんどう豆の葉で幼苗です。
もやしにはビタミンB1やビタミンC、βカロテンに加えて、カリウムやカルシウム、食物繊維なども含まれています。
特に緑豆もやし1パックのビタミンCは、レモン果汁約1個分に相当します。
カリウムも豊富なので、昔からもやしは水分代謝を高める食べ物として重宝されています。
また豆の葉であるもやしにはアミノ酸の一種であるアスパラギン酸が豊富です。
アスパラギン酸とビタミンB1が含まれることで疲労回復には極めて効果的です。
もやしの栄養は少ないという説は水分の含有量が多いためです。
実際にはもやしを1袋食べればかなりの栄養を摂取できます。
薬膳から見ると
清熱利水(せいねつりすい)
⇒熱を発散して排尿を促す
の効能があり、腎気虚などで起こるむくみの解消に効果的です。
薬膳から見れば野菜には様々な効能があることが分かります。
五菜に限らず役立つ食材は多くありますが、体質に最もあうものを選ぶなら自分の体質を確認した上で食材を選ぶと健康を維持しやすくなります。
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