見出し画像

クリエイターを目指す人のための映画『数分間のエールを』『ルックバック』

帰省やイベントなどもあって、4月5月は映画を観られなかった。6月に入ってからも、体調不良を引きずってほとんど見られなかった。
末頃にリハビリで68分の『数分間のエールを』を観て、いけるかと思って『マッドマックス フュリオサ』を観たら2時間越えの映画はまだしんどく(大変面白くはあったのだが、怒りのデスロードの方をまだ観ていないので、感想は今は書かない)、再度リハビリのつもりで58分の『ルックバック』を観た。

『マッドマックス』を間に挟んだが、偶然にもこの短めの映画2作がクリエイターのためのアニメ映画だったので、覚え書きをしておこうと思う。
ネタバレには配慮していないので、そこんところよろしくお願いします。ネタバレOKの人はスクロールして読んでね。










『数分間のエールを』


最初全然観る気がなかったのですが、6月末までのチケットがあったので友達に「これいいんじゃない?」と勧められて鑑賞。
ミュージックビデオを作るのが趣味の男子高校生が、音楽の道を諦めた新任教師の歌を偶然聞いて感動し、彼女の歌のミュージックビデオを作ろうとする、というストーリー。
『数分間のエールを』というタイトルと、「自分の精一杯は誰かの心を動かせるだろうか」というキャッチコピーが、そのままストーリーになっているような映画だった。
どこまでもまっすぐな物語だった。教師の方はもう音楽の道を諦めていて最後の思い出としてMVの作成を了承しているんだけど、主人公の方はMVを作ることで先生の歌をもっと広めたいと思っていて、その考え方のズレから一度は離れることを選ぶ。だけど、色々あってもう一度先生の意志を汲んだMVを作ることにして、完成したMVは先生の心を動かして、先生は学校を辞め再び音楽の道へと一歩を踏み出す。
これでもかというほど青春で、ご都合主義かと思うほどわかりやすく挫折と再起が描かれるんだけど、68分という尺を考えると過不足なくまとまっているなと思った。圧倒的な希望の物語。
MVという数分間の動画で誰かにメッセージを届けられるか、というテーマが上手く出ていた。
3Dアニメだけど2Dっぽく見えるように工夫されていて、3Dアニメにありがちな「服のしわの感じや髪や手足の動きのブレなさによるお人形感」は上手くごまかしていたと思う。この辺は3Dアニメの課題だと思うので。


『ルックバック』

原作未読。漫画を描く話だというのはそれとなく知っていた。
小学校の学年新聞の漫画を描いて得意げにしていた藤野が、不登校だけど自分よりも高い画力を持つ京本に対抗心を燃やして絵を練習しまくるが、差は縮まらず拗ねて漫画を描くのを辞めてしまう。しかし京本にリアルで会ってみると、彼女は藤野のファンだと告白してきて、気を良くした藤野は彼女を家から連れ出して一緒に漫画を描き始める。っやがて二人はデビューし、ついに連載が決まるが、京本を引っ張っていくばかりだった藤野は、彼女の手が離れつつあることに気づかず……というストーリー。
原作が読み切り漫画らしいので、変に膨らませずに潔く58分にしたのは正解だと思う。
これ、学年新聞の4コマ、京本の方が明らかに絵は上手いんだけど、漫画としての面白さは明らかに藤野の方が上なんだよね。だから、漫画家になった後も京本は背景作画に徹しているし、最終的に漫画ではなく「背景美術」に興味がいくのも、京本の本来の適正が漫画じゃなかったから必然なんだろうなぁって。実際、藤野は京本がいなくなった後も漫画家として成功しているしね。
しかし『数分間のエールを』は圧倒的な希望の物語だったが、『ルックバック』は失意の物語だった。
藤野は漫画家として成功しているし、物語の最後も結局漫画を描き続けることを選んでいるので、バッドエンドというわけではないのだが……。
あんな形で京本を永遠に失って、結果論とはいえ自分が京本を外に連れ出したことで京本が事件に巻き込まれてしまって、京本の運命を変えることを夢想しても当然それが現実になることはなくて……と考えると、これは失意の物語なんだなって思う。挫折の物語ではないけど、失意の物語ではある。
結局描き続けるしかないんだってことが藤野の選択だし、それは確かに再生ではあるんだけど、やりきれない……。
事件が明らかに京アニ事件をモデルにしているので、その辺で好みが分かれそう。私は正直辛かった。まだまだ私の中であの事件がかみ砕けていないので。京アニのファンってわけじゃないんだけど、本当に理不尽な理由でクリエイターがたくさん死んだ事件だから、犯人への刑が確定するまではかみ砕けないと思う……。


とまぁ、こんなところで。
選んだのは偶然なんですが、クリエイターの挫折と再生を描いたアニメを観るのが続いたな、という。
間に観た『マッドマックス フュリオサ』も割とそういうネタだったので(家族や恋人を殺された女が復讐をやりとげる話だしな)なんかこういう流れが今のブームなんか?たまたまか。

次に観る映画は何かな……キングダムかな。私がわざわざ話題にしなくても、いっぱい人が入るだろうなって作品は感想を書かなかったりするのですが、実はキングダムシリーズ全部映画館で観てるんですよ。
映画館、真夏でも快適に2時間を過ごせるので、好きです。真冬はあったかいから好きです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集