見出し画像

50代女性の【母の怒りが私に しんどい】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「母の怒りに振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#168

 50代の女性。医療関係の職場で働いています。コロナ禍で心身ともに疲弊する中、実家で暮らす80代の母の怒りのエネルギーがすさまじく対応に苦慮しています。

 友人や知人、通っている病院などへの悪口が止まりません。何十年も前の出来事を思い出して悔しがったり、絶対に許さないと言ったりします。いさめても聞かず、最近、怒りの矛先が私に向かい始めました。今まで一方的に話を聞いてあげていましたが、もう限界。母がしんどいです。

 母は生活や時間には余裕があるはずです。同居の兄も真面目に働いています。私の家族もみんな穏やかで優しいです。それなのに、自分を不幸だと思い込み、怒りを爆発させます。そんな状態で晩年を過ごしてほしくありません。穏やかな日常を過ごしてほしいのです。私が仕事を辞めて母の世話をした方がいいのでしょうか。(愛知・Y子)

(読売新聞2022年9月17日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・実家で暮らす80代の母が、自分を不幸だと思い込み、怒りを爆発させ、その怒りのエネルギーがすさまじくて、対応に苦慮している。

・友人や知人、病院などへの悪口が止まらず、悔しがったり、絶対に許さないと言ったりし、いさめても聞かない。

・最近は、母の怒りの矛先が自分に向かい始めて、もう限界で、母がしんどい。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・母には、今のような状態で晩年を過ごしてほしくなく、穏やかな日常を過ごしてほしいが、自分が仕事を辞めて母の世話をした方がいいのかどうか、自分がどう対応するのがいいのかを知りたい。

▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 相手をコントロールしよう(変えよう)としている


🚩 ①相手の困りごと、願いごとの話を受けとめたうえで、②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・コロナ禍の医療現場で心身ともに疲弊しながら、精一杯がんばられているのに、怒りのエネルギーのすさまじいお母さんに振り回されて、本当に苦慮なさっている様子が、伝わってきます。どうぞ、大変な状況にあるご自身への優しいいたわり、思いやりを大事になさってください。

・お母さんは、あなたが客観的に見ても、生活や時間には余裕があるはずであり、同居の兄も真面目に働いているし、あなたの家族もみんな穏やかで優しい、ということですね。

お母さんしだいで、不幸であることをやめて、幸せを感じることができそうな状況なのに、お母さんは、変わろうとする気持ちも、気配もなさそうですね。

あなたは、自分が仕事を辞めて母の世話をしたら、お母さんは変わってくれるかもしれないと思われているようですが、いったい具体的にどのような世話をしたら、お母さんに変わってもらえそうですか?

仮に、あなたが、おかあさんの希望するままに世話をしたとしても、おかあさんにとっては、あなたの世話を受けることと、悪口をいうことは別のことではありませんか?

また、お母さんの悪口をやめてもらおうと思えば、説教のようなことを言う必要があると思いますが、お母さんは、人から説教を受けて変わるタイプの人ですか?

もし、あなたが仕事をやめて、お母さんに変わってもらおうと思って努力しても、お母さんが変わってくれないときには、どうされますか?

・また、もし、あなたが仕事を辞めてお母さんの世話をし始めるとしたとき、あなたのご主人やお子さんは、どのような影響を受けそうですか? あなたのご家族はどのような影響を受けそうですか。あなたが相談されたら、どのような回答が返ってきそうですか?

・同居のお兄さんに、あなたの思っていることを相談されたとしたら、どのような答えが返ってきそうですか? お兄さんは、お母さんが変わると思っていそうですか?

・今のあなたは、お母さんにひどく振り回されている一方で、「お母さんを変えたい」「自分には変えられない相手」を、自分の生活や仕事を犠牲にして、何とか変えようとされているように思えます。

このようなときは、難しいかもしれませんが、「相手を変えることはできない」と割り切って考えてみることも、大きな人生の知恵であるかもしれません。

ありそうにない話かもしれませんが、もし万一、あなたが仕事を辞めてお母さんの世話しなくても、お母さんが自ら変わって、穏やかな日常を取り戻されたとしたら、そのときには、あなたや、あなたのご家族は、どのような日常生活や、生き方、楽しみ方ができそうですか? どんなことでも、できるだけ挙げて見てください。

そして、少なくとも、今しばらくは、お母さんに今以上に振り回されず、上記のように、「お母さんが変わって、穏やかな日常を取り戻されたとしたら、そのときに、あなたや、あなたのご家族がしたい日常生活や、生き方、楽しみ方」を、積極的にされたらいかがかと思いますが、どうでしょうか?

・また、折衷案の提案になりますが、そのような「あなたや、あなたのご家族がしたい日常生活や、生き方、楽しみ方」をされながら、そして、お仕事も続けながら、できる範囲で、お母さんの世話をしてみる、お母さんの悪口の背景にある原因などを探ってみる、ということも考えられるかもしれません。


以上のようなことを、考えて見られて、何か気づかれたこととか、ありますか。どんなことでも、挙げて見てください。


✅参考:回答者(大日向雅美さん)の言葉です💖

 コロナ禍の激務でお疲れのところに、お母様の暴言を聞かされ続けるのはおつらいことと思います。

 お母様があなたの心境を察することができないのは残念ですが、あなたになら何を言っても許されると考えているのではないでしょうか。わが子と自分の境が見えず、自分自身につぶやいているような感覚なのかもしれません。すべてをなげうって子育てに懸命に尽くす中で、いつしか子どもに癒着していることに無自覚になってしまう、母親がよく陥りがちな過ちです。

 お母様に心穏やかに過ごしてほしいとのことですが、そのためにあなたがお仕事を辞めてお母様の世話に専念することが良い解決策になるでしょうか? それでお母様の悪口が収まる保証はありません。物理的な距離がなくなることで、あなた自身もあなたの大切なご家庭も壊れる可能性が高いと思います。

 お母様は暴言を口にすることでストレスを発散しているとも言えます。適当に聞き流すしかありませんが、あなたならけっして冷たい対応にはならないと思います。

 あなたの優しさも真面目なお兄様もお母様が育ててくださったからでしょう。そのことをあなたがよく分かっていらっしゃるからです。

(読売新聞2022年9月17日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

              😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい。人間関係、結びつき、親密、メンバーの一員など)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・効果的な行動を選択するために、「自分が満たせていない基本的欲求(ニーズ)が何か」を、自分に問いかけましょう。

🌻 選択理論の第2の原理 
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・相手の外的コントロールに対する自分の抵抗や逃避も、そして、「自分」の気分や感情、生理反応、症状なども、「自分で自分を守るための精一杯の行動」なのだと捉えて、受け容れましょう。


🌻 外的コントロールをやめて、人間関係を近づける
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受けとめると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いについて交渉する、などの行動です。

・「人間関係を害する行動」をやめましょう。具体的には、強制する、批判する、責める、脅す、文句を言う、ガミガミ言う、罰を与える、ほうびで釣る、などの行動です。

🌻 「一番気になる人間関係の相手」に気づいて、関係を改善する

・外的コントロールを相手にしたり、相手からされたりして、反応しあい、自己防衛のための行動を取り合っているときは、自分も、相手も、それぞれの心の中の大切な基本的欲求(ニーズ)に、関心の目が向けられていないことに気づきましょう。

・自分の中の大切な基本的欲求(ニーズ)が何かに気づいて、それを満たせる行動をとりましょう。

・自分の中の基本的欲求(ニーズ)が満たせるような相手の具体的な行動を、相手にとってくれるようにリクエストしてみましょう。

🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動や反応(抵抗、攻撃、逃避など)も、自分のと同じく、相手が本人のニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。

相手も、あなたとの関係で、相手の中のどのような基本的欲求(ニーズ)が満たせていないか、について考えてみましょう。

・相手の中の大切な基本的欲求(ニーズ)を考えてみて、相手がそれを満たせるように、「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し、支援しましょう。

・相手が相手の基本的欲求(ニーズ)を満たせるように、自分にリクエストしたい具体的な行動が何かあるか、を相手に聞いてみましょう。

 
🌻 相手の「現状(のステージ)の知覚と将来の願望」
・相手は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入っていて)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、

そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

二方向のかっとうでは、それぞれの極端を考えて見ることが、自分の望む立ち位置を明確にするのに役立ちます。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・辛い思いをしている「自分」は、どうなりたい、本当はどうありたいと望んでいるのか、「自分」の心の声を聴いてみましょう。

・もし、第3者が「今の自分」の状況だったら、自分は「その第3者」の状況をどのように考え、どんなアドバイスをするかを考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動とこれからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うこんな行動をするだろう」という具体的な行動を考えてみて、先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

🌸<選択理論でコーチング塾のご案内>

将来に向けての、自分の社会活動のプラットフォームとして、「選択理論でコーチング塾」のサイトを立ち上げました。選択理論とコーチングについても、わかりやすく紹介しています。よかったら訪問してみてください。

「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ


「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?