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入院生活

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2020.8.20-2021.11.20 2023.3.30-4.26 暇を持て余しての日記。
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2021年7月の記事一覧

退院したら食べたいもの

退院したら食べたいもの

①百音さんのお菓子
百音さんは僕の大好きな人でカフェの店主をしている。百音さんの作るタルトやチーズケーキに勝てるものはないと思ってる。タルトタタンも絶品。シフォンケーキもふわふわでしっとりしてて、スっと体の中に入っちゃう。百音さんのプリンは少し固めてカラメルはさらっとしてほろ苦く、他のお店では食べられない、僕らの中では″もねぷりん″と名付けている。お菓子だけじゃなくてキッシュとかも最高に美味しい。

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オーダーメイドにもヒントを頂戴

車椅子の業者さんとお話。
ようやく僕の車椅子を作るのだ。

とは言っても、まだ何も決まっていない。
役所に車椅子作りたいですって申請して、車椅子みてくれる専門の先生にみてもらって処方書いてもらって、役所でOKもらって補助金おりたらメーカーに発注する、という手はず。
を、今日教えてもらった。
1~2ヶ月かかるのか。車椅子1つ作るだけでも大変なんだな。オーダーメイドだしな。

とにかく、自分の希望を明

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夜になる

夜になる

同室の患者さんが一気に退院して、3人部屋に僕1人、貸切状態になってしまった。
僕のベッドは廊下側に面している。窓側は、カーテンで隣のベッドと仕切られていて視界が塞がれている。
せっかくの貸切なんだし、と看護師さんが気を利かせて、そのカーテンを開け放してくれた。
今の病院に転院して9ヶ月近く。
初めて、この部屋から窓の景色を見た。

12階から見える景色は明るくて広くて、
すっかり夏の空だ。
すごい

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お散歩

僕は入院中に怪我をして、2月末からずっと病床安静の指示が出ている。初めの2ヶ月ほどは腹臥位以外禁止。6月半ばからリハビリ時のリハ室移動のみ許可がおりて、今でも1人で病室から出ることはできない。
怪我をするまでは院内フリーだったので、病棟を下りて外来スペースや院内のタリーズやローソンをうろついたり、それこそ禁止されている院外外出もしょっちゅうで、外の道に慣れようと毎日散歩し練習していた。外の道はきち

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16年後の七夕まで

朝のリハビリ。迎えに来た先生が病室に入るや否や「七夕ですね、お願い事は?」と聞いてきたので今日が七夕と知った。
「世界平和!!!!!!」
「大嘘つきめ」

七夕と言えば涼宮ハルヒ。笹の葉ラプソディ。
中学生のハルヒが夜の学校に侵入し、校庭に白線で落書きをするお話。みくると一緒に3年後から来たキョンと、そこで(時系列的には)初めてハルヒと出会う大事なエピソード。
そんなタイムトラベルの前に、ハルヒの

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若いっていいな?

「もう7月終わりますよ」
OTさんがそう言うので、
「、、、」
静かに両手で耳を塞いだ。

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自分の足で

歩けるかどうかはどうでもいい、歩けないことは僕にとってさほど大きくないことだとは言うものの、実際は、歩けるようになる為に全力を尽くしている訳で。

なんでかって。
「今は自分の足で歩けるようになることを願ってる」って言われたからだよ馬鹿やろう。
たったその一言で、それがその場しのぎの言葉だったとしても、構わず行動に移してしまうんだから、ほとほと呆れる。僕は馬鹿だ。

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りかばりー

入院して、色んな人から連絡を頂いた。
心配する声、回復を願う声、他人行儀な決まりきった文句、色々。
僕の身体の状態や予後を簡単に伝えると、揃って同じような返事がきた。
みんな、僕に歩いてほしいらしい。どうやら歩けなくなったことに僕がショックを受けているとでも思っているらしい。
ごめん。そこはどうでもいい。

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失われること

入院してから、夢の見方が変わった。

手術から意識が戻るまでの数週間については、以前noteにも書いてて。それはそれは不思議な体験、不思議な目覚め方をさせて頂きまして。
(リンク↓)

その後の話。

意識が戻ってしばらくしてから、主治医が挨拶に来た。「入院前のことは覚えてますか」
自分の身体の状況をまだ分かっていない僕は、質問を無視した。「いつ退院できますか」

脊髄損傷という言葉は使われなかっ

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